アニメーション・アニメーション!

【考察】高橋留美子「めぞん一刻」はラブコメの元祖?(新海誠「天気の子」との関係も)

高橋留美子原作『めぞん一刻』のテレビ・アニメ版(全96話)を初めてU-NEXTの配信で観た。そのきっかけとなったのはギルバート・オサリバンが歌った"Alone Again"である。詳しくは下記事に書いた。

"Alone Again"は石原真理子主演、澤井信一郎監督の映画『めぞん一刻』実写版(駄作)の主題歌としてエンドロールで流れた。そして1986年の映画公開に合わせて、特別にアニメ版の第24話でオープニングに"Alone Again"、エンディングに同じくオサリバンの"Get Down"が使用された。"Get Down" は「おすわり」という意味。可愛い恋人を犬に見立てた歌なので、『めぞん一刻』の内容にピッタリ。この〈幻のオープニング&エンディング〉 が一回きりで終わったのは著作権・使用料の問題であったようだ。

また第27話『消えた惣一郎!?思い出は焼き鳥の香り』では物語の終盤に挿入歌として"Alone Again"が使用された。これが大変な名場面で、僕は甚く感動した。脚本は後に押井守監督『機動警察パトレイバー the Movie 1 & 2』や、金子修介監督の平成ガメラ三部作で名を馳せることになる伊藤和典。こんな情景だ。

夕暮れの坂道。行方不明になった惣一郎(=犬。名前は死んだ夫に由来する)を探していた音無響子(アパート「一刻館」管理人)は坂の下方から見上げ、犬を連れて歩く五代裕作(「一刻館」住人で大学生)を見つける。そのシルエットから死んだ夫が蘇ったのではないかと錯覚した響子は思わず「惣一郎さん!」と叫ぶ。遠くを走る電車。その時、街灯が坂下から順番に灯り、五代の顔が照らされる。ここで"Alone Again" が静かに流れ始める。「五代さん……」がっかりしたような、それでいて逆に嬉しそうにも聞こえる響子の呟きだった。

これは『めぞん一刻』のターニング・ポイントと言える極めて重要なシーンで、響子の亡き夫への未練が、五代に対する愛に変化(していることを自覚)する瞬間を捉えている。

そして僕は即座に新海誠監督『天気の子』を思い出した。東京・田端駅近くの不動坂で帆高が陽菜の体が透き通っていることを発見する場面だ。刻限は夕方であり、灯る街灯の演出もそっくり。どう考えても間違いなく『めぞん一刻』へのオマージュだろう。新海監督は大学生の頃『めぞん一刻』を愛読していたことをインタビューで語っているし、そもそも年上の女の人を好きになる主人公という設定は既に『言の葉の庭』で使っている。アニメ版で音無響子の声を務めた島本須美が『天気の子』でも声の出演をしているのは決して偶然ではないだろう。

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さて、今回『めぞん一刻』という作品を通して観て感じたのは「これってもしかしたらラブコメの元祖なんじゃないか?」ということだった。

ラブコメの女王といえば言わずと知れたメグ・ライアンだ。彼女が脚本家ノーラ・エフロンと組んだラブコメ三部作の第一作『恋人たちの予感(When Harry Met Sally...)』が公開されたのは1989年。それ以前のハリウッド映画のラブコメは思いつかない。

高橋留美子の漫画『うる星やつら』初掲載は1978年、『めぞん一刻』が80年である。柳沢きみお『翔んだカップル』をラブコメの元祖とする説もあり、この連載開始が1978年。あだち充が『みゆき』の連載を開始したのが1980年、『タッチ』が81年なのでほぼ同時期と言えるだろう。

2021年現在、『愛の不時着』など韓国ドラマはラブコメの絶頂期を迎えている。しかし韓国でラブコメの源流を探ると、せいぜい2001年に公開された映画『猟奇的な彼女』あたりだろう。やはり世界的に眺めても、高橋留美子はラブコメの元祖(同時多発した作家の一人)と言えるのではないだろうか?

以前ハリウッド映画には〈スクリューボール・コメディ〉というジャンルがあった。スクリューボールは当時のクリケットや野球の用語で「スピンがかかりどこへ飛ぶか予測がつかないボール」を指し、転じて突飛な行動をとる登場人物が出てくる映画をこう呼ぶようになった。代表作に次のような作品がある。

・或る夜の出来事(1934)
・特急二十世紀(1934)
・赤ちゃん教育(1938)
・ヒズ・ガール・フライデー(1940)
・フィラデルフィア物語(1940)
・レディ・イヴ(1941)
・教授と美女(1941)
・結婚五年目/パームビーチ・ストーリー(1942)

従って、これらを撮ったフランク・キャプラ、ハワード・ホークス、ジョージ・キューカー、プレストン・スタージェスらが〈スクリューボール・コメディ〉の名手と言える。

またこれと一部重なるが〈ロマンティック・コメディ〉とか、〈ソフィスティケイテッド・コメディ〉と呼ばれるジャンルがあり、その代表作が以下の通り。

・極楽特急(1932)
・生活の設計(1933)
・青髭八人目の妻(1938)
・ニノチカ(1939)
・天国は待ってくれる(1943)
・ローマの休日(1953)
・麗しのサブリナ(1954)
・昼下がりの情事(1957)
・お熱いのがお好き(1959)
・アパートの鍵貸します(1960)

上記のリストでも明らかな通り、このジャンルの名手といえばエルンスト・ルビッチとビリー・ワイルダー、女優の代表選手はオードリー・ヘップバーンということになる。

しかしここからプッツリと伝統は途絶え、〈ロマンティック・コメディ〉暗黒時代が1960年代〜70年代〜そして『恋人たちの予感』が登場する80年代後半までほぼ30年間続くことになる。

やはり大きな影を落としたのがベトナム戦争と米ソ冷戦(ベルリンの壁が築かれるのが1961年)、そしてアフリカ系アメリカ人による公民権運動だろう(キング牧師による「ワシントン大行進」が1963年、マルコム・X暗殺が65年)。混乱の時代だった。

1960年代にフランス・ヌーベルバーグ(新しい波)が台頭し、60年代後半にアメリカン・ニューシネマに飛び火した。フランソワ・トリュフォーとジャン・リュック・ゴダールが乗り込んでカンヌ国際映画祭を中止に追い込んだのが1968年、同じ時期日本は安保闘争や東大安田講堂事件(1969)に揺れ、72年のあさま山荘事件に雪崩込んでいく。前衛・アヴァンギャルドの時代であり、独立プロやATGが活発になった。ハリウッドでは大手映画会社が市場を牛耳るスタジオ・システムが呆気なく瓦解し、〈ロマンティック・コメディ〉どころではなくなった。ようやく『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』が公開された1977年辺りから映画界は落ち着きを取り戻していく。〈ハリウッド・ルネッサンス〉の到来である。

あと『めぞん一刻』で感じたのは、非常に落語的だということ。一浪し三流大学に入学した五代はアパートの住人たちから「意気地なし」「甲斐性なし」「落ちこぼれ」と言われる。また日曜日の昼間から住人4人が寝間着姿で五代の部屋に集まって、ぐうたらしていると、五代は響子から「若いうちからこんな生活してたら、駄目になっちゃいますよ」と言われる。

駄目でいいんだという価値観。「ダメ人間万歳!」つまり、立川談志が言うところの〈人間の業の肯定〉が『めぞん一刻』の根底にある。

立川談志の著書に「現代落語論」がある。そしてその続編「あなたも落語家になれる」に、かの有名な一節が登場する。

 落語というものを、みなさんはどう解釈しているのか……、おそらく落語家を"笑わせ屋"とお思いになってるでしょう。(中略)
 でも、私の惚れている落語は、決して「笑わせ屋」だけではないのです。お客様を笑わせるというのは手段であって、目的は別にあるのです。なかには笑わせることが目的だと思っている落語家もいますが、私にとって落語とは、「人間の業」を肯定してるということにあります。「人間の業」の肯定とは、非常に抽象的な言い方ですが、具体的に言いますと、人間、本当に眠くなると、"寝ちまうものなんだ"といってるのです。分別のある大の大人が若い娘に惚れ、メロメロになることもよくあるし、飲んではいけないと解っていながら酒を飲み、"これだけはしてはいけない"ということをやってしまうものが、人間なのであります。
 こういうことを八っつぁん、熊さん、横丁の隠居さんに語らせているのが落語なのであります。

この解説で『落語』を『めぞん一刻』に置き換えると、そのままピッタリ当てはまるのだ。

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真風涼帆(主演)宝塚宙組「アナスタシア」と、作品の歴史を紐解く。

11月23日(祝)宝塚大劇場で『アナスタシア』を観劇した。

1997年に公開されたアニメーション映画『アナスタシア』に着想を得たミュージカルで、2017年4月24日にブロードウェイで開幕。以降、2019年3月まで2年間に及ぶロングラン上演となった。日本では2020年3月にヒロイン・アーニャ(アナスタシア)を木下晴香と葵わかなのダブル・キャストで東京公演が行われたが新型コロナウィルス禍の影響で度々中断され、4月に梅田芸術劇場で予定されていた大阪公演は全て中止となった。僕は購入していたチケットの払い戻しをする羽目になった。また当初6〜7月に予定されていた宝塚歌劇版も延期となり、漸く11月7日に幕が開いた。

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1990年代初頭、ウォルト・ディズニー・スタジオは『アラジン』(1992)、『ライオンキング』(1994)などの大ヒットで第二次黄金期を迎えていた。 映画『アナスタシア』はフォックス・アニメーション・スタジオの第1回長編作品で、アカデミー賞の作曲賞と歌曲賞にノミネートされた。

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ミュージカル仕立てを基本とするディズニー・アニメのスタイルを踏襲した本作はちゃんとヒットしたが、次作のSFアニメ『タイタンA.E.』が7500万ドルの製作費に対し、たった2200万ドルの収入で大赤字となり、2000年にはスタジオが閉鎖された。 一方ワーナー・ブラザースはブラッド・バードを監督に迎え1999年に『アイアン・ジャイアント』を製作したが、こちらも興行的に振るわず、ワーナーはアニメーション部門を凍結、ブラッド・バードはピクサーに移籍し『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』でアカデミー賞を受賞することになる。こうしてセル画による2Dアニメーション映画の相次ぐ失敗を受け、ハリウッドの各スタジオは3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)への完全移行を余儀なくされた。

なお20世紀フォックスという映画会社そのものが2019年にディズニーに買収され消滅したため、現在映画『アナスタシア』はDisney+から配信されている(こちら)。

ブロードウェイ・ミュージカル版はアニメから引き続き作詞:リン・アレンス、作曲:ステファン・フラハティが担当した。このコンビはブロードウェイ・ミュージカル『ラグタイム』でトニー賞の楽曲賞を受賞している。他にドクター・スースの絵本を原作とするミュージカル『スーシカル(Seussical)』がある。僕は『ラグタイム』の音楽が大好きなのだが、1998年のトニー賞に12部門ノミネートされながら、台本賞・楽曲賞・助演女優賞(オードラ・マクドナルド)・オーケストレーション賞しか受賞出来なかった。実はこの年の対抗馬がディズニー製作のミュージカル『ライオンキング』で、ミュージカル作品賞・演出賞をはじめ話題を全てそちらに持っていかれてしまったのである。WASP/ユダヤ人/アフリカ系アメリカ人(黒人)の対立を描くという題材の難しさもあって、日本での『ラグタイム』上演は未だ実現していない。

また舞台版『アナスタシア』の台本を書いたテレンス・マクナリーは「愛!勇気!同情!」や「マスター・クラス」などでトニー賞を4回受賞した劇作家で、2020年新型コロナ感染症で亡くなった。彼はアニメ版に関わっていない。

アニメ版から舞台版への移行で最も大きな変更点は敵側の設定である。アニメ版ではロシアの怪僧ラスプーチンの亡霊(本人はロシア帝政末期1916年に暗殺された)がアーニャの前に立ちはだかった。しかし舞台版でラスプーチンは一切登場せず、ボリシェヴィキの警視副総監グレブ・ヴァガノフが新たに設定された。正直このグレブという新キャラクターに全く魅力がなく、彼抜きでも物語は成立するのでは?という気がする。ただグレブを省くと、大本のネタであるイングリット・バーグマン、ユル・ブリンナー主演の映画『追想(原題はAnastasia)』(1956年、20世紀フォックス)と全く瓜二つになってしまう。苦しいところである。僕は元々バーグマンが2度目のアカデミー主演女優賞を受賞した『追想』も大好きで、アルフレッド・ニューマンの音楽も素敵だ。このロマンティックな物語には何か強く惹かれるものがある。

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僕はアニメ版『アナスタシア』を1997年12月の日本公開時に映画館で観ているし、音楽が大いに気に入ってサントラCDも購入した。だから待望の舞台版である。

プロローグの"Once upon a December"(昔々、ある12月に)や、アカデミー歌曲賞にノミネートされた"Journey to the Past"(過去への旅)は舞台版にも流用された。一方で当然ながらラスプーチンの歌はことごとく廃棄され、沢山の新曲が加わった。

ロマノフ王朝の末裔、皇女アナスタシアがロシア革命時の処刑から難を逃れて生きているという伝説は実際に根強くあった。しかし結局2007年までに皇帝一家全員の遺骨が発掘され、遂に生存者なしと確認された。

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偽アナスタシアの中でも有名なのがアンナ・アンダーソン。彼女の死後10年が経過した1994年にDNA鑑定が実施され、漸く偽者(僭称者)であることが判明した。

さて、宝塚歌劇版の出演は真風涼帆、星風まどか、芹香斗亜ほか。グレブ・ヴァガノフを演じた芹香は影が薄かった。華がない。果たしてこれで将来、トップになれるのか?

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真風は鷹揚としたトップで、存在感があってセンターがよく似合う。星風はきりりとして逞しく、芯が強いアーニャにピッタリ!このふたりは文句なし。

潤色・演出の稲葉太地は場面転換がスピーディで「盆(回り舞台)」の使い方が抜群に上手い!背景を彩る映像とのコンビネーションも手練れの技で、特に雪景色の中を疾走する列車の場面は絶品だ。

待ちに待った公演であり大満足、2021年2月11日にBlu-rayが発売されたら必ず購入するつもりなのだが、最後に一言だけ文句を言わせてください。

第一幕フィナーレで名曲中の名曲、"Journey to the Past"(過去への旅)を男役の真風が歌い始めたときにはずっこけた。これ、アニメ版もブロードウェイ版もアーニャ(アナスタシア)のソロ・ナンバーなんですけど!?途中から星風が加わりデュエットとなるのだが、『エリザベート』同様、タイトルロールである娘役最大の見せ場を男役が奪わないでほしいと切に願う。いや、事情は分かるよ。宝塚歌劇というのは現代日本において唯一〈男尊女卑〉が正々堂々とまかり通る世界であり、娘役より圧倒的に男役ファンの方が多い。そりゃ、第一幕の幕切れを「所詮添え物にすぎない」娘役のソロというわけにはいかないだろうさ。でもね、それでも……。もし潤色・演出が小池修一郎だったら、こんな酷い扱いはしなかっただろうと僕は信じる。稲葉よ、再演の際はこのシーンをもう一度考え直してほしい。頼みます。

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アカデミー長編アニメーション部門のノミネートは確実!「ウルフウォーカー」

アイルランドのアニメーション・スタジオ、カートゥーン・サルーンは今まで『ブレンダンとケルズの秘密』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』『生きのびるために/ブレッドウィナー』と製作した全ての長編アニメーション映画でアカデミー賞ノミネートを果たしている。『ブレンダン』『ソング・オブ〜』に続くケルト三部作の掉尾を飾る『ウルフウォーカー』もノミネートは確実、そろそろ受賞も夢ではないのではなかろうか?

僕が初めてこのスタジオの作品を観たのはトム・ムーア監督『ソング・オブ・ザ・シー』だった。絵の美しさとケルト神話の世界に魅了された。多神教のケルト神話が日本人にすごく身近に感じられるのは、八百万の神々を想起させるからではないだろうか?また『ソング・オブ〜』は人間とアザラシが結婚して子供が生まれるお話なので、日本昔話『狐女房』に通じる異類婚姻譚だなと思った。

『ソング・オブ・ザ・シー』に登場する狼の描き方は高畑勲監督『太陽の王子ホルスの大冒険』を意識しているのでは?と感じたのだが、『ウルフウォーカー』も『ホルス』は勿論のこと、線描の力強さが『かぐや姫の物語』を彷彿とさせるし、宮崎駿監督『もののけ姫』へのオマージュが鮮明に刻印されている。

評価:A+  公式サイトはこちら

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本作は城壁に囲まれた中世の街と、その外に広がる森の対立が描かれる。それは文化と自然の対立であり、ひいてはイングランドとアイルランド、さらに一神教であるキリスト教とケルト神話の対立でもある。そして城壁内に暮らす人々のキャラクターデザインや美術は四角形を主体とする角張ったもので、一方の森は円を主体に描かれる。

イングランドからアイルランドにやって来た少女ロビンが森でウルフウォーカーのメーヴと出会うことで、ロビンを取り巻く角張った世界が次第に円形の世界へ吸収され、融合していく。それはとても感動的な情景だった。

ケルト三部作のみならずアフガニスタンを舞台とする『生きのびるために/ブレッドウィナー』も含め、カートゥーン・サルーン作品における円とは、チベット仏教の曼荼羅のように完全性とか、文化と自然の調和を象徴しているのではないかと僕は考えている。

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余談だが、主人公のロビンはイングランドの妖精ロビン・グッドフェローに由来する。シェイクスピア『夏の夜の夢』に登場する妖精パックもロビン・グッドフェローと呼ばれる。つまりロビンはトリックスター(境界を超える者)なのだ

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【考察】「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は何故、これだけの大ヒットになったのか?

新海誠監督『君の名は。』が世界的メガヒットを飛ばした時、プロデューサーの川村元気がその要因を「集合的無意識にヒットした」と解説した。また日本で過去最高の興行成績を上げた宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』は主人公の女の子がトンネルを潜り、集合的無意識の世界で八百万(やおよろず)の神々と出会う物語だった。

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今回の劇場版『鬼滅の刃』大ヒットの要因も集合的無意識が関わっているのではないかという気がする。『君の名は。』は他者の夢の中に入っていくということがテーマになっていたが、『無限列車編』もやはり、他者の夢に入って行く。そして夢を覆う膜を引き裂くと外側に無意識の領域が広がっており、そこに精神の核があるという設定は非常にユング心理学的だなと思った。

さらに列車という装置は宮沢賢治『銀河鉄道の夜』や松本零士『銀河鉄道999』と同様に、心の内奥(ないおう)への旅を想像させる。

そもそも『鬼滅の刃』における「鬼とは何か?」を考えてみると、不安とか恐怖、怒りといった諸々の感情が渦巻く人間の集合的無意識が生み出した魔物と言えるのではないだろうか?また鬼を消滅させる陽の光とは、覚醒の暗喩と解釈出来る。

主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は他者への共感性が強いこと特徴だが、それは彼が、集合的無意識という井戸の底に深く潜っていって、他者と繋がる才能に長けていることを意味しているのだろう。『君の名は。』で言うところの〈ムスビ/産霊〉だ。絵柄も浮世絵とか錦絵を連想させ、日本人の心を揺さぶる。

21世紀の日本は核家族化、少子化が進み、経済的な豊かさや家事の自動化などにより、親もまた一人の人間として生を謳歌し、自分の自己愛を追求しようとするようになった。それによって子供に与えられる愛情は不安定なものとなりやすく、また「隣は何をする人ぞ」と地域住民相互の交流は失われた。社会の自己愛性は、非共感性が幅を利かせていることを意味する。他人の心の痛みに対して無関心な人が増え、ネットリンチ(ネットいじめ)が横行、社会は分断され不認証環境(自分が表した気持ちに対し適切な対応が得られず、嘲笑われたり、否定されたり、無視されたりする状況)を呈している。しかし一方で「関係性喪失」への漠然とした不安を感じ、無意識のうちに「今のままでは駄目だ。人と人の絆、共感性を取り戻さなければ」という想いや、焦りもあるだろう。そうした願いが『鬼滅の刃』への支持に結びついたと言えるのではないだろうか?

『無限列車編』の場合、父親から認めてもらえなかったというトラウマを抱えた煉獄さんの〈承認欲求〉が最後に満たされ、彼が〈自己実現〉を果たすまでの物語という捉え方も出来る。故に「我々はなぜ生きるか?」という根源的問いに答えてくれるような作品に仕上がっているな、と僕は感じた。

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ぶっちぎりのロケットスタート!「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」

前代未聞、桁外れの特大ヒットである。僕が観た兵庫県西宮市のTOHOシネマズでは公開初日金曜日の上映回数が30回!レイトショーは20時00分、10分、20分、30分、40分と10分刻みの上映開始で、「電車の時刻表か!」と呆れた。TOHOシネマズ新宿は全12スクリーンのうち11スクリーンを稼働し、1日で42回上映したという。週末3日間の興行収入は46億円を突破。日本国内で公開された映画(洋画含む)の興行収入と動員の歴代1位となった。昨年の興収トップだった『天気の子』と比較して、約3倍とぶっちぎりである。最終的に『天気の子』の記録、141億9000万円を超えるのではないだろうか。

東宝は『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』に社運を賭けており、新型コロナ禍で落ち込んだ収益をここで一気に挽回するぞと鼻息が荒い。

評価:A

Kime

京アニ『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、テレビ・シリーズを観ていなくてもこれまでの経緯がわかるような親切な構成だったが、『鬼滅の刃』はそんなことを一切斟酌しない。テレビ・シリーズを観ていることが大前提で話は展開する。僕も当然、全26話を鑑賞した上で映画館に臨んだ。

原作者・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)は覆面漫画家であり、その正体は男なのか女なのかが議論の的になっている。僕は女性だと確信している。漫画家・きたがわ翔と山田玲司も対談(『れいとしょう』)の中で、女性説を支持している。その根拠となっているのが鬼殺隊に退治された鬼の死に際。人間だった頃の回想が長々とあり、この世の未練を切々と語る。それを傾聴した主人公・炭治郎が「可哀想に。辛かったろう」と涙を流す。その共感性の高さが女性作家ならではだというのだ。つまりemotional、今流行りの言葉で表現するなら「エモい」。

『無限列車編』も過剰なまでにエモい、そして熱い、いや、熱苦しい。些かtoo muchで辟易すると言えなくもないが、それは本シリーズ一貫した特徴なので、肯定的に受け取りたい。僕は幼少期から女性作家と相性が良いのだ(マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ」、ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』、アガサ・クリスティの推理小説、紫式部『源氏物語』、角田光代『対岸の彼女』『八日目の蝉』、宮部みゆき『火車』)。

夢と無意識がテーマという点でも大いに気に入った。とってもカール・グスタフ・ユング的。そういう意味で『君の名は。』『インセプション』『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『劇場版 まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』に近い。テレビ・アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』なら第14話〈魔女はささやく〉が該当する。こういうの、大好物です。

あと本作は、煉獄さんの〈承認欲求〉が満たされるまでの物語という捉え方も可能だろう。

客層の男女比はほぼ半々で、やや女性が多めか。クライマックスではあちらこちらからすすり泣く声が聞こえてきた。

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「愛してる」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

評価:A+

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映画公式サイトはこちら

テレビ・アニメ版が全13話、そして第4話と第5話の間に位置するExtra Episodeが1話、さらに映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ー永遠と自動手記人形ー』があり、全てNetflixが独占配信している。本作はそれらを受けての大団円である。

僕は当然ながら全ての作品を観て臨んだが、今回の劇場版が初体験となる人でも今までの経緯が理解出来るよう配慮されており、抜かりがない。

もう大満足。観たいと思っていたものを、しっかりと観せてくれた。パーフェクト、感無量である。

アニメ映画『リズと青い鳥』『若おかみは小学生!』に続き、吉田玲子の脚色が圧倒的に素晴らしい!ヴァイオレットが生きた時代の(恐らく)100年後から、物語を照射するという趣向が鮮烈である。

とはいえ、些か不満がないではない。例えばヴァイオレットが少女兵だった陸軍時代の上官で、大戦で大怪我を負って安否不明「未帰還兵扱い」となっているギルベルト・ブーゲンビリア少佐の生死の謎もミエミエだし(そもそも上のポスターが既にネタバレになっている!ここまで引っ張るほどのネタではないだろう)、クライマックスの海の場面では「エエッ、この島こんなに遠浅なん??これじゃ船を接岸出来ないでしょ!」とかツッコミを入れたくもなるが、それは野暮というもの。大目に見よう。あと『涼宮ハルヒの憂鬱』の時代から『響けユーフォニアム』にしても京アニ作品には必ず巨乳キャラが登場し、それば『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』も例外ではない(自動手記人形のカトレア)。しかし「そこまでヲタクに媚びなくても」という気もするのである。閑話休題。

僕はこの作品の世界観が好きだ。衣装デザインが美しいし、ヴァイオレットちゃんは健気だしね。吹奏楽ファンなので『響けユーフォニアム』も大のお気に入りだが、やはり『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』こそ京アニの最高傑作では?と思うのだ。

「大切なことは言葉にならない」は映画『海獣の子供』のキャッチコピーだが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は「言葉にしなければ自分の想いをしっかりと相手に伝えられない」ということを教えてくれる。

痛ましく辛いあの事件を乗り越え、スタジオの総力を結集して金字塔を打ち立てた!京都アニメーション、「心から、愛してる」。

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わが心の歌 25選 ②「One more time, One more chance」「なんでもないや」

「歌はいいね。歌は心を潤してくれる。リリン(=人類)の生み出した文化の極みだよ」渚カヲル〜『新世紀エヴァンゲリオン』より

One more time, One more chance(山崎まさよし)”を初めて聴いたのは 1996年12月に公開された映画『月とキャベツ』の主題歌としてだった。歌手・山崎まさよしの俳優デビュー作であり、彼は後に韓国映画のリメイク『8月のクリスマス』でも主演を務めている。

ぶっちゃけ『月とキャベツ』は死にそうなくらい退屈で、最早どんな物語だったかすら記憶にない。しかし主題歌はしみじみ「いい曲だなぁ」と想った。「でも映画の出来が悪くてもったいない。宝の持ち腐れだ」

それからすっかり忘却の彼方にあったのだが、久しぶりにこの歌を耳にしたのが2013年。DVDで鑑賞した新海誠監督のアニメーション映画『秒速5センチメートル』のクライマックスで大々的に使用されていたのである。

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これにはぶっ飛んだ。新海監督は音楽の小節ごとにピッタリ合わせて畳み掛けるようにショットを積み重ねていくので、編集にキレがある。ロバート・ワイズ監督のミュージカル映画『ウエストサイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』を彷彿とさせる。この特徴は『君の名は。』や『天気の子』も同様。

長い年月を経て遂にこの歌の真価を十二分に発揮する映像にめぐり逢った、という感慨を覚えた。なんて切なくて、心にズシンと来るのだろう。Spotifyではこちら

新海監督が本作の後に世に問うた『言の葉の庭』では、主人公たちの感情が爆発する場面で大江千里(作詞・作曲)"Rain"がすこぶる印象的に使われた。槇原敬之はこの曲を2度もカヴァーしており、映画では秦基博によるカヴァー・バージョンが流れる。Spotifyはこちら。大江は大阪府に生まれ、関西学院大学(兵庫県西宮市)入学後に音楽活動を始めているので、"Rain"で歌われているのは大学のある阪急今津線(宝塚ー西宮北口)沿線の情景かな?と想像している。ちなみにこの路線は映画『阪急電車』の舞台となった。

「なんでもないや -movie ver. (RADWIMPS - 上白石萌音)」は言うまでもなく、映画『君の名は。』の幸福感溢れるエンディングに流れる歌。

ただしRADWIMPSはサブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービスで聴けないので……と書く予定だったのだが、な、な、なんと2020年5月15日から電撃的に全シングル・アルバム作品が一挙解禁となった!サウンドトラック盤の彼らのパフォーマンスはこちら。「夢灯籠」や、『天気の子』の「大丈夫」も甲乙つけ難い。加えて上白石萌音がしっとりと歌い上げるカヴァー盤も素晴らしい(こちら)。『君の名は。』三葉の声で聴けるという至福。僕は彼女の生パフォーマンスも体験している。

なおRADWIMPSの野田洋次郎が再び作詞作曲・プロデュースし、上白石萌音が歌ったのが映画『楽園』の主題歌「一縷」(Spotifyはこちら)。また野田洋次郎が楽曲提供・プロデュースしたAimerの「蝶々結び」は明らかに『君の名は。』のために書かれ、採用されなかった楽曲と思われる(こちら)。

更に、彼らが新型コロナウィルスが蔓延したこの世の中に対峙し生まれた最新曲「新世界」には衝撃を受けた(こちら)。圧倒的な絶望の闇の中に、微かに垣間見える希望の光。

僕ら長いこと 崩れる足元を
「上を向いて歩けよ」と 眼をそらしすぎた

歌詞が刺さる。あたかも宮本亜門が立ち上げた「上を向いて~SING FOR HOPE プロジェクト」に対する強烈なアンチテーゼのように耳朶に響く。『天気の子』にも通ずる社会性がある。

「希望は残っているよ。どんな時にもね」渚カヲル〜『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より

次回はフランスのシャンソン「聞かせてよ愛の言葉を」と、20世紀の日本を代表する作曲家・武満徹との密接な関係について語る予定。

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高校生の間に一度は絶対観ておけ、この映画!/ジャンル別ベスト

高校生の三年間でこれだけは是非観ておいてほしい、君たちにとってこれからの人生が変わるかもしれないという映画を厳選した。

【青春映画】

  • ふたり
  • 廃市
  • 青春デンデケデケデケ
  • 幕が上がる
  • ヒポクラテスたち
  • 太陽の少年
  • 冒険者たち
  • ブレックファスト・クラブ
  • ヤング・ゼネレーション
  • スウィングガールズ

いつも青春は時をかけるー大林宣彦監督「時をかける少女」のキャッチコピーである。

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赤川次郎原作「ふたり」は事故死してしまったしっかり者の姉と、姉に頼ってばかりいた妹との、奇妙な共同生活を描いている。表面上は幽霊譚になっているけれど、一人の少女の意識(自我)と無意識(自己)という二面性および、その融合(自己実現)の物語であるとも言える。それを象徴するのがラストシーン。まず丘を登ってくる妹・美加(石田ひかり)をカメラが正面から捉える。次のショットで歩き去ってゆく後ろ姿を捉えるのだが、よくよく観るとそれは姉・千津子(中嶋朋子)なのだ。ふたりでひとり。実は、僕も初めてこの作品に出会ってから10年間くらい全く気が付かなかった。その間、繰り返し観ていたのに。このシーンで流れ出すのが大林宣彦作詞、久石譲作曲の主題歌「草の想い」。名曲中の名曲である。大林監督と久石さん本人が歌う。

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僕にとって我が生涯ベスト・ワンである大林宣彦監督「はるか、ノスタルジィ」も似たような構造を持っている。東京で小説家になった中年の主人公・綾瀬慎介(ペンネーム)は数十年ぶりに故郷・小樽を訪ねる。そこでバンカラ姿の学生・佐藤弘に出会う。それは青年時代の慎介そのものだった(佐藤弘は本名)。これはユング心理学でいうところの無意識に存在する子供元型(The Child Archetype)に遭遇する物語であり、最後に自我(意識)と元型(無意識)は融合され、自己実現に至る。どんなに年令を重ねても、人は変われるのだ。

僕が映画「廃市」と出会ったのは18歳だった。それから原作者・福永武彦の文学にのめり込み、20代の時に全小説を読破した。大林監督がライフワークとしていた福永の小説「草の花」映画化が実現しなかったことが無念で仕方ない。

幕が上がる」は全国高等学校演劇大会という特殊な世界が描かれている。火傷するくらい熱いぞ!

京都府立医科大学を卒業した大森一樹監督「ヒポクラテスたち」は医学生たちの群像劇。僕は高校生の時にこれを観て、「医学部って面白そう」と興味を持ち、進学を決めた。そして現在は医学博士である。やはり医師免許を持つ手塚治虫が映画で小児科教授を演じ(学生のひとりが手塚漫画「ブラック・ジャック」を読んでいたりもする)、怪盗役で映画監督の鈴木清順が登場する。

「太陽の少年」は中国映画の傑作。岩井俊二監督「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」に通じるものがある。

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「冒険者たち」はフランスのフィルム・ノワール。でも暗黒ではなくロマンティック。なんと言っても口笛で奏でられる〈レティシアのテーマ〉!→こちら

ジョン・ヒューズ監督「ブレックファスト・クラブ」は恐らく世界で初めてスクール・カーストを描いた映画だと思う。画期的なディスカッションが展開され、ワクワクする。併せて「フェリスはある朝突然に」もどうぞ。映画「デッドプール」の元ネタだ。

「ヤング・ゼネレーション」はアカデミー脚本賞受賞。自転車レースに青春を賭ける若者たちを描く。心に翼を持て。

【恋愛映画】

  • ラ・ラ・ランド
  • 太陽がいっぱい
  • Love Letter(岩井俊二監督)
  • ボヴァリー夫人(ヴィンセント・ミネリ監督)
  • ライアンの娘
  • ある日どこかで
  • フォロー・ミー
  • いつも2人で
  • ピアノ・レッスン
  • めまい

「ラ・ラ・ランド」については以下の記事をご参照あれ。

「太陽がいっぱい」はアラン・ドロンが主演した1960年のフランス映画。パトリシア・ハイスミス原作でミステリとしても大傑作なのだが、ゲイ映画という観点で見直すと全く別の物語が浮かび上がってくるという驚くべき仕掛けが施されている。その構造を世界で最初に見抜いたのがテレビ「日曜洋画劇場」の解説を長年勤め、「サヨナラ」おじさんと呼ばれた映画評論家・淀川長治氏で、彼もゲイだった。パトリシア・ハイスミスも同性愛者で偽名を使って「キャロル」を書き、そちらも映画化された。

アラン・ドロンはロミー・シュナイダーと同棲・婚約したり、ナタリー・ドロンと結婚・離婚するなど華麗な女性遍歴があるので多分ストレート(ノン気)なのだろう。しかしバイセクシャルだったイタリアのルキノ・ヴィスコンティ監督から愛され、その切実な想いは「若者のすべて」や「山猫」といった芸術映画に昇華された。ヴィスコンティがアラン・ドロンとロミー・シュナイダー主演で計画していたマルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」の映画化が頓挫したことは大変惜しまれる。そして、小説「失われた時を求めて」は岩井俊二の映画「Love Letter」で極めて重要な役割を果たす。映画は繋がっている。「Love Letter」の25年後に撮られた姉妹編「ラストレター」も併せてどうぞ。

ヴィンセント・ミネリの「ボヴァリー夫人」については下記事をお読み頂きたい。狂気が疾走する。

そしてデイヴィッド・リーン監督の名作「ライアンの娘」は「ボヴァリー夫人」を下敷きにしている。

「ある日どこかで」については、

「フォロー・ミー」については、

「いつも2人で」の監督は「雨に唄えば」「シャレード」のスタンリー・ドーネン。キネマ旬報社から発行された「私の一本の映画」という本があり、そこに村上春樹がエッセイを書いたのが本作。彼が高校生の時、当時のガールフレンドと神戸の映画館でこれを観たそうだ。主演はオードリー・ヘップバーンとアルバート・フィニー(「オリエント急行殺人事件」のポアロ役)。中年夫婦の危機を描くが、ふたりの12年間を5つの時間軸が交差する形で描く凝った構成になっている。何より僕は"Two for the Road"という原題が好き!味がある。

ホリー・ハンターがアカデミー主演女優賞を受賞し、カンヌ国際映画賞では最高賞のパルム・ドールに輝いたフランス、ニュージーランド、オーストラリアによる合作映画「ピアノ・レッスン」の主人公エイダを一言で評するならば〈女ヒースクリフ〉。本作が描いているのはエミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」と同じ、狂恋。不用意に触ると火傷する。だから「嵐が丘 」を事前に読んでおくことは必須。ジェーン・カンピオン監督にはいつか映画「嵐が丘」を撮って貰いたい。

Vertigo

「めまい」はアルフレッド・ヒッチコック監督の最高傑作。過去の女の記憶に囚われて目の前の女を愛すことが出来ず、自分の持つ理想像(ユング心理学におけるアニマ・アニムス)を投影してそれに女を近づけようと画策する男の異常心理を描いている。これは大林宣彦監督「時をかける少女」冒頭に掲げられるテロップと、密接な関係がある。

ひとが、現実よりも、
理想の愛を知ったとき、
それは、ひとにとって、
幸福なのだろうか?
不幸なのだろうか?

【深く人生を考える/哲学的映画】

  • メッセージ
  • 桐島、部活やめるってよ
  • タクシー・ドライバー
  • ブレードランナー
  • 山の音
  • 市民ケーン
  • イヴの総て
  • サンセット大通り
  • カビリアの夜
  • ベニスに死す
  • ピクニック at ハンギング・ロック
  • いまを生きる
  • 生きる(黒澤明監督)
  • ミツバチのささやき/エル・スール
  • ギルバート・グレイプ
  • フィールド・オブ・ドリームス

SF映画「メッセージ」は時間とは何か?を深く考えさせてくれる。そして思考はその人が学んだ言語と密接に結びついているという説が非常に興味深かった。これを〈サピア=ウォーフの仮説(言語相対性仮説)〉という。あと〈非ゼロ和 non zero sum〉!

桐島、部活やめるってよ」はキネマ旬報ベストテンで第2位、ヨコハマ映画祭では作品賞・監督賞など4冠を獲得した。高校生ではちょっと難しいかも知れない。ある意味フェデリコ・フェリーニ監督「甘い生活」に似たところがある。正直僕も高校生の時に「甘い生活」に歯が立たなかったからね。真の傑作だと漸く理解出来たのは40歳くらい。まぁ挑戦してみて。時には背伸びしてみることも必要、当たって砕けろ!だ。

「タクシー・ドライバー」はベトナム帰りの元兵士が主人公なので、社会派ジャンルとも言える。

「ブレードランナー」(1982)は近未来都市のヴィジュアル造形が秀逸。ただ映画の設定は2019年11月なので、既に現実が追い越しているのだけれど。本作には、レプリカント(人造人間/人工知能)は人の心を持てるのか?という問いがある。主人公デッカードが人なのか、レプリカントなのか?ということもしっかり考えてみてください。「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーブ監督が撮った続編「ブレードランナー 2049」も傑作。

川端康成原作「山の音」は鎌倉を舞台に初老の男(山村聡)が息子の嫁(原節子)に対して抱く、淡い恋心を繊細に描いている。死への恐怖、そして色恋沙汰に進展するかどうかの境界で揺れ動く心理描写が絶妙。大人の世界を垣間見よう。

「市民ケーン」といえば〈バラのつぼみ Rosebud〉。これは隠れキリシタンをテーマとする遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督「沈黙 -サイレンス-」のラストシーンにも引用されている。

アカデミー作品賞・監督賞・脚本賞などを受賞した「イヴの総て」は食うか食われるかという、芸能界における生存競争の苛烈さを、鮮やかに描いている。これを下敷きにしたのがポール・バーホーベン監督「ショーガール」で、こちらの方は最低の映画を選ぶラジー(ゴールデン・ラズベリー)賞で7部門を制覇した。

ビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」は後世の映画に多大な影響を与えた。例えばロバート・アルドリッチ監督「何がジェーンに起ったか?」とか、デヴィッド・リンチ監督「マルホランド・ドライブ」は、完全に「サンセット大通り」のヴァリエーションである(そもそもマルホランド・ドライブとサンセット・ブルーバードはどちらもロサンゼルスを走る道路の名称)。また死者が語り始めるという手法はサム・メンデス監督「アメリカン・ビューティ」(アカデミー作品賞・監督賞受賞)に引き継がれた。

「ベニスに死す」については、次のようなことを書いた。

「ピクニック at ハンギング・ロック」については下記。

「いまを生きる」はこちら。

黒澤明「生きる」は進行がん患者への病名告知やquality of lifeの問題をテーマとしている。

「ミツバチのささやき/エル・スール」については、

「ギルバート・グレイプ」は当時未だ10代だったレオナルド・デカプリオの演技に注目!時には束縛にもなる家族から解き放たれて、主人公(ジョニー・デップ)が旅立つ物語。

「フィールド・オブ・ドリームス」に登場する作家テレンス・マン(ダース・ベイダーの声で有名なジェームズ・アール・ジョーンズが演じる)は原作小説で「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャーであることは重要。だから映画「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」と併せて観ると、より理解が深まるだろう。

【歴史を知る映画】

  • 大いなる西部
  • 死刑執行人もまた死す
  • 大いなる幻影
  • 灰とダイヤモンド
  • 無防備都市
  • 第三の男
  • アンネの日記
  • アラビアのロレンス
  • ドクトル・ジバゴ
  • 僕の村は戦場だった
  • ひとりぼっちの青春
  • さらばわが愛/覇王別姫
  • 善き人のためのソナタ

イタリア映画「無防備都市」はネオレアリズモの代表選手。大きな歴史のうねりとしてネオレアリズモ(イタリア)の精神は→ヌーヴェル・ヴァーグ(フランス)→アメリカン・ニューシネマと伝播した。共通する志は〈既成の価値観・体制の破壊〉である。ハリウッドで「無防備都市」を観て感激したイングリッド・バーグマンは直ちにロベルト・ロッセリーニ監督にファン・レターを書き、夫や娘を捨ててローマに旅立った。一大スキャンダルになったことは言うまでもない。イングリッドとロベルトの間に生まれたのがイザベラ・ロッセリーニで、長じて女優となり「ブルーベルベット」や「フィアレス」などに出演した。イングリットも〈既成の価値観の破壊者〉であった。

「第三の男」は第二次世界大戦後、敗戦国オーストリア(首都:ウィーン)が勝者である連合国ーアメリカ、ソ連、イギリス、フランスの4国によって分割統治されていた時代のお話。白黒映像美の極致。

「アンネの日記」は1959年にジョージ・スティーヴンスが監督・製作したもの。アンネを演じたミリー・パーキンスが素晴らしい!1995年に日本が製作したアニメーション版もあるが、こちらはイマイチ。但し、マイケル・ナイマンによる音楽は◯。

「ひとりぼっちの青春」の原題は"They Shoot Horses, Don't They?"つまり「彼らは廃馬を撃つ」。1932年、大恐慌時代の悲惨を描くアメリカン・ニューシネマの傑作。ここでアメリカン・ニューシネマについて説明しておこう。1960年代後半から1970年代前半までのムーブメントで、ベトナム戦争に対する反戦運動や、ヒッピー文化と連動している。反抗的な若者が体制に敢然と闘いを挑むのだが、最後は大人・社会に圧殺されるなど、悲劇的な結末で幕を閉じる。基本的に挫折する物語だ。「俺たちに明日はない」「明日に向って撃て!」「イージー・ライダー」が代表格。

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた「さらばわが愛/覇王別姫」が描くのは中国・文化大革命の悪夢。コン・リーとレスリー・チャン最高。また、僕たちが知らない京劇の世界を垣間見ることができる。

ドイツ映画「善き人のためのソナタ」はアカデミー外国語映画賞を受賞。冷戦時代の東ドイツが舞台で、監視社会の実像に迫る。

【コメディ/ブラック・ユーモア】

  • 雨に唄えば
  • プロデューサーズ
  • 博士の異常な愛情
  • まぼろしの市街戦
  • チャップリンの独裁者
  • 恋はデジャ・ブ
  • 生きるべきか死ぬべきか

フランス映画「まぼろしの市街戦」(1966)は第一次世界大戦末期、フランスの田舎町が舞台。人々が町から逃亡し、取り残された精神病院の患者たちと、町を取り巻く軍隊の人間と、どちらが〈狂気〉でどちらが〈正気〉なのかという問いが本作にはある。

「恋はデジャ・ブ」(1993)の原題はGroundhog Day。Groundhogはウッドチャックを意味し、2月2日に開催される春の訪れを予想する占い行事のこと。 ある一日をエンドレスに繰り返す男の話である。ビル・マーレイがすっとぼけた、いい味を出している。同じネタで押井守監督「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)という先達があり、こちらも傑作。さらに派生作品として京アニ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンドレスエイト(第12-19話)や、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語」がある。こうしたループものとして、ケン・グリムウッドのSF小説「リプレイ」が有名だが、1987年の出版であり、やはり「ビューティフル・ドリーマー」が元祖と言えるだろう。

【社会を知る映画】

  • 真昼の暗黒
  • 橋のない川 
  • バトル・ロワイアル
  • ブラッド・ダイヤモンド
  • シティ・オブ・ゴッド
  • 風の丘を越えて/西便制
  • トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
  • 殺人の追憶
  • パラサイト 半地下の家族

「真昼の暗黒」(1956)は冤罪事件を扱う。橋本忍のシナリオが秀逸。

部落差別を扱う「橋のない川」は1969-70年の今井正監督版(第一部・第二部)と、1992年東陽一監督版がある。どちらも見応えあり。

「バトル・ロワイアル」(2000)は劇薬だ。中学生どうしが国家命令により殺し合いをするという衝撃的な内容で、R-15指定のため中学生は劇場で観ることが出来なかった。公開当時、この映画に対する政府の見解を求める質疑が国会で行われるなど物議を醸した。そもそも高見広春が書いた原作自体、日本ホラー小説大賞の最終候補まで残るが、選考委員から猛烈な非難を浴び落選した。その後高見は一切作品を発表していない。深作欣二監督は太平洋戦争中、学徒動員に駆り出されたときの「国家への不信」「大人への憎しみ」といった自分の想いを本作に託した。

レオナルド・ディカプリオ主演「ブラッド・ダイヤモンド」を観れば、アフリカは地獄だ、と思い知るだろう。

「シティ・オブ・ゴッド」はブラジルに住むストリートチルドレンたちの抗争を描く。

韓国映画「風の丘を越えて/西便制」では朝鮮文化における恨(ハン)という感情について学ぼう。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は赤狩りの勉強として。本作の後でダルトン・トランボがシナリオを書いた「ローマの休日」や「パピヨン」(1973年版)を鑑賞しよう。隠された寓意が見えてくる。

アカデミー作品賞・監督賞・国際長編映画賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が光を当てるのは格差社会である。

【アニメーション映画】

「秒速5センチメートル」については以下を参照されたし。

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【2020年最新版】選定!中学生に観せたい映画・アニメ

選定!中学生に観せたい映画」という記事を書いたのが2013年。あれから7年経過した。些か内容が古びた感があるので、ここでアップデートすることにした。新型コロナウィルスで非常事態宣言が発令され、遊びに出ることもままならない子どもたちを持て余している親御さんも少なくないだろう。何かの参考になれば幸いである。

新しい作品を優先して選んだが、「これだけは絶対に落とせない!」という古典的名作も残している。なお、過去にレビューを書いている作品は、タイトルをクリックすると該当記事に飛ぶようにしている。気に入るかどうかに性差があると思われる作品には男の子向け/女の子向けを明記した。

まずは基本中の基本、実写部門BEST 10。

ここで紹介している「ちはやふる」は広瀬すず主演の実写映画だが、テレビ・アニメ(シリーズ)版も良い。競技かるたと百人一首(和歌)の世界を垣間見よう。

蜜蜂と遠雷」は音楽映画の傑作中の傑作。恩田陸の原作小説も併せて読みたい。

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「遠い空の向こうに」の原題はOctober Skyで、アルファベットの順番を入れ替えると原作小説のタイトルRocket Boysになる。アナグラムだ。NASAの技術者になったホーマー・ヒッカムの自伝である。

「リトル・ダンサー」(原題:ビリー・エリオット Billy Elliot)は後に舞台化され、トニー賞でミュージカル作品賞・演出賞など10部門を独占した。「ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー」というタイトルでBlu-ray/DVDが発売されている。男らしさ/女らしさ って、一体何?という問いが本作にはある。映画の最後に名ダンサー、アダム・クーパーが踊るのにも注目!

沈黙 -サイレンス-」は遠藤周作原作。篠田正浩監督版もあるが、マーティン・スコセッシ監督版の方が俄然出来が良い。キリシタン弾圧の歴史を学ぼう。

おくりびと」では死と向き合うことで、生についてしっかり考えよう。

舟を編む」は辞書編纂という作業を通して、日本語について学べる。

ドリーム」は邦題が酷い。原題は"Hidden Figures"つまり「隠された姿」という意味で、NASAでアポロ計画に先立つマーキュリー(有人宇宙飛行)計画に携わった3人の黒人女性にスポットライトを当てる。「ライト・スタッフ」と併せて観ることで、より深く味わうことが出来るだろう。

英国王のスピーチ」はアカデミー作品賞・監督賞を受賞。人前で上手に話すコツが詰まっている。そして、吃音の原因として幼児虐待があることを教えてくれる。

ゼロ・グラビティ」は宇宙を舞台にしているが、物語構造は受精卵→胎児→誕生のメタファーとなっており、同時に海洋生物が陸に上がり、直立歩行するまでの人の進化についても語っている(人間の胎児は進化の過程を繰り返すー反復説)。

続いてBEST 20まで。

シン・ゴジラ」はダイアログの洪水。繰り返し観て社会勉強をしよう。

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「大人は判ってくれない」の切実さを理解するのは中学生には難しいかも知れない。しかし将来きっと判る日が来る。諦めないで。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 」と「スタンド・バイ・ミー」は精神的に繋がっている。原作者が同じスティーヴン・キングだしね。そしてNetflixのドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」も、J・J・エイブラムス監督「SUPER 8/スーパーエイト」も「スタンド・バイ・ミー」なくして生まれなかった。

アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」は銃社会アメリカについて考えさせられる。

ファースト・マン」はアポロ11号の船長ニール・アームストロングを主人公とする実話。トム・ハンクスが主演した「アポロ13」も併せて観よう。

ソロモンの偽証」は宮部みゆき原作のミステリ。中学生たちが主人公で、学校内裁判を開廷するという展開がユニーク。

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「がんばっていきまっしょい」は愛媛県松山市の高校を舞台に、ボート部の活動に打ち込む5人の女子高校生たちの姿を描いた物語。テレビドラマにもなった(放送途中で内博貴が不祥事を起こし降板、第4話から役者が変わった)。これに似た青春映画として「幕が上がる」とか「青春デンデケデケデケ」「ヤング・ゼネレーション」も取り上げたかったのだが、どちらかといえば高校生向きかなと思い直した。特に高校演劇を扱う「幕が上がる」なんか、ニッチでディープだからね。

尾道三部作「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は言わずと知れた大林宣彦監督の名作中の名作。まずは黙って観ろ!後悔なんてさせないから。

Senjo

1917 命をかけた伝令」と「戦場の小さな天使たち」は、戦争とは何か?について学ぶテキストとして最適。残酷描写もないしね。

さらにBEST30。

グローリー ー明日への行進ー」を観て、マーティン・ルーサー・キング牧師のことを知ろう。その際、是非キング牧師の歴史的なスピーチ"I Have A Dream"も勉強しよう。動画はこちら!併せてアカデミー作品賞・監督賞を受賞した「ガンジー」も観ておきたい。

「インファナル・アフェア」は香港映画の金字塔。フィルム・ノワールの大傑作で後にハリウッドでリメイクされた。→マーティン・スコセッシ監督「ディパーテッド」

「不都合な真実」は地球温暖化について学べるドキュメンタリー映画。アカデミー賞受賞。

北野武監督の「キッズ・リターン」はラストの決め台詞に痺れろ!中学生たちよ、大志を抱け。

あと古典的名作として、

  • 風と共に去りぬ
  • 嵐が丘(1939年版)
  • カサブランカ (男の子)
  • ローマの休日 (女の子)
  • 赤い靴 (女の子)
  • 七人の侍 (男の子)
  • アラバマ物語
  • シベールの日曜日
  • まぼろしの市街戦
  • 屋根の上のバイオリン弾き
  • ハロルドとモード/少年は虹を渡る
  • ゴッドファーザー/ゴッドファーザー PART Ⅱ
  • 砂の器
  • ジョーズ
  • 未知との遭遇
  • ロッキー
  • ポセイドン・アドベンチャー
  • タワーリング・インフェルノ
  • バックドラフト
  • アマデウス
  • ショーシャンクの空に
  • 櫻の園(1990年版) (女の子)
  • ターミネーター/ターミネーター2 (男の子)
  • リング/仄暗い水の底から

を推しておく。

「櫻の園」は1990年版と2008年版があるので要注意。中島ひろ子やつみきみほが出演している方。キネマ旬報ベスト・ワンに輝いた。

エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」は繰り返し映画化されており、松田優作主演で舞台を鎌倉時代の日本に置き換えたバージョンまである。僕の一押しはウィリアム・ワイラー監督版。これをハリウッドで撮っていたローレンス・オリヴィエを追っかけてヴィヴィアン・リーが英国から渡米。その時なかなか決まらなかった「風と共に去りぬ」スカーレット・オハラ役をオーディションで勝ち取るという伝説を生んだ。

フランス映画「まぼろしの市街戦」(1966)は第一次世界大戦末期、フランスの田舎町が舞台。人々が町から逃亡し、取り残された精神病院の患者たちと、町を取り巻く軍隊の人間と、どちらが〈狂気〉でどちらが〈正気〉なのかという問いが本作にはある。

「ジョーズ」は当初小学生向けにお勧めしようかと考えたのだが、これを観て水恐怖症になったという人の話を聞き対象年齢を上げた。本多猪四郎監督「マタンゴ」を幼少期に観てキノコが食べられなくなったという人もいて、正にトラウマ映画だね。

「未知との遭遇」については下記事をお読みください。

「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」はパニック映画(Disaster Movies)の代表作。他に「大空港」がある。

そして長編アニメーション映画部門。

テレビ・アニメ(シリーズ)

「君の名は。」については過去に当ブログで語り尽くした。

「天気の子」は以下の通り。

「風立ちぬ」については下記。

〈大切なことは言葉にならない〉〜「海獣の子供」の名台詞。

Maimai

マイマイ新子と千年の魔法」は「この世界の片隅に」の片渕須直監督作品。高校生になったら「この世界の片隅に」も観よう。

響け!ユーフォニアム」2nd seasonは既視(マンネリ)感が強いので、1st seasonのみで十分だろう。続いてスピンオフ「リズと青い鳥」を観よう。

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【2020年最新版】選定!小学生に観せたい映画・アニメ

選定!小学生に観せたい映画」という記事を書いたのが2013年。あれから7年経過した。些か内容が古びた感があるので、ここでアップデートすることにした。新型コロナウィルスで非常事態宣言が発令され、遊びに出ることもままならない子どもたちを持て余している親御さんも少なくなかろう。何かの参考になれば幸いである。

近日中に「【2020年最新版】選定!中学生に観せたい映画・アニメ」も上げる予定なので、乞うご期待。

新しい作品を優先して選んだが、「これだけは絶対に落とせない!」という古典的名作も残している。なお、過去にレビューを書いている作品は、タイトルをクリックすると該当記事に飛ぶようにしている。気に入るかどうかに性差があると思われる作品には男の子向け/女の子向けを明記した。

まずは基本中の基本、実写部門BEST 10。

  • オズの魔法使い
  • やかまし村の子どもたち/やかまし村の春夏秋冬
  • スター・ウォーズ エピソード4-6 (男の子)
  • E.T.
  • リトル・プリンセス (女の子)
  • ハリー・ポッター(シリーズ)
  • サウンド・オブ・ミュージック (3・4年生以上)
  • パディントン/パディントン2
  • 美女と野獣
  • シンデレラ (女の子)

ハーマイオニーこと、エマ・ワトソンが主演したディズニー映画「美女と野獣」(2017)と、絶世の美女リリー・ジェームズが主演した「シンデレラ」(2015)は勿論アニメ版もあるが、こちらは実写版。また「美女と野獣」アニメ版(1991)はアニメーション映画史上初めてアカデミー作品賞にノミネートされた名作中の名作(これを契機に長編アニメーション部門が新設された)。

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ジュディ・ガーランド主演「オズの魔法使い」はスティーブン・スピルバーグ監督が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために自宅隔離している人々に向けて、お勧めの一本として選んだ作品。詳細はこちら。キーとなる台詞は"There's no place like home."(わが家にまさるところなし)。

「やかまし村」二部作はスウェーデンのラッセ・ハルストレム監督で、原作は児童文学作家アストリッド・リンドグレーン。「長く下のピッピ」が有名。実は高畑勲と宮崎駿は「長くつ下のピッピ」のアニメーション映画化を準備していたが原作者からの許可が降りず、いくつかの設定を流用して製作したのが「パンダコパンダ/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」なのだ。

「リトル・プリンセス」のアルフォンソ・キュアロンは後に「ゼロ・グラビティ」と「ローマ」で2度アカデミー監督賞を受賞。撮影監督のエマニュエル・ルベツキは3年連続でアカデミー撮影賞を受賞した。緑が美しい。「女の子はみんな、プリンセスなのよ」

「ハリー・ポッター」は第一作「賢者の石」から第三作「アズカバンの囚人」まで観れば十分だろう。「アズカバンの囚人」はキュアロンが監督している。

続いて実写BEST 20に入るのは、

さらに白黒映画だが、チャップリンの「モダン・タイムズ」や、心温まるクリスマス物語「素晴らしき哉、人生!」も是非観ておきたい名作である。そして特撮もので忘れてはいけないのが平成ガメラ三部作(「ガメラ 大怪獣空中決戦」「ガメラ2 レギオン襲来」「ガメラ3 邪神覚醒」)。

「禁じられた遊び」は子どもたちに、戦争とは何か?を教える教材として極めて重要。

「赤い風船」と「白い馬」はフランスのアルベール・ラモリスが監督したファンタジー映画の秀作。「素晴らしい風船旅行」という素敵な作品もある。

イギリス映画「小さな恋のメロディ」(1971)は既に欧米ですっかり忘れ去られているが、日本でだけ大ヒットして未だに愛されているという不思議な映画。トレイシー・ハイドとマーク・レスターが大変魅力的。あとビー・ジーズの音楽!

マイライフ・アズ・ア・ドッグ」はラッセ・ハルストレムがスウェーデン時代に撮った名作で、人工衛星に乗せられて地球最初の宇宙旅行生物になったライカ犬の話が出てくる。ハルストレムは相当な犬好きらしく、ハリウッドに進出してからも「HACHI 約束の犬」とか「僕のワンダフル・ライフ」を撮っている。

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」は後にアニメ版が制作されたが、こちらは岩井俊二が監督したオリジナル実写版。僕は奥菜恵に胸を射抜かれた。

「GODZILLA ゴジラ」はギャレス・エドワーズが監督した2014年ハリウッド版。ローランド・エメリッヒが監督した1998年版は救いようのない駄作なので絶対に間違わないで!!本来なら本多猪四郎(監督)・円谷英二(特技監督)の1954年オリジナル版を観て欲しいところだが、古い白黒映画だからねぇ……。

「パシフィッ・リム」も怪獣映画。ギレルモ・デル・トロ監督は後に半魚人を主人公とする「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー作品賞・監督賞受賞という快挙を成し遂げた。

レディ・プレーヤー1」はゲーム感覚で楽しめるが、出来れば事前にスタンリー・キューブリック監督「シャイニング」をご覧になっておかれることをお勧めする。

他にも色々あるので旧版「選定!小学生に観せたい映画」も併せてご覧頂きたい。

では、長編アニメーション部門に移ろう。まずBEST 10。

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」はアイルランドのスタジオ、カートゥーン・サルーンの作品。ケルト神話を題材にしているのがとっても素敵。後で紹介するテレビ・シリーズ「ウーナとババの島」(Netflix)もここが手掛けた。

ティム・バートンのダーク・ファンタジー「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」と併せて、「フランケンウィニー」も是非どうぞ。

怪盗グルー(シリーズ)」の魅力はなんと言ってもサブキャラのミニオンズだろう。

続いてBEST 20は、

さらにBEST30。

「メトロポリス」は手塚治虫原作で、監督が「銀河鉄道999」のりんたろう、脚本が「AKIRA」の大友克洋という強力な布陣。全米で最も影響力のある映画評論家といわれたロジャー・イーバートは満点評価である4つ星を与え、アニメ史上最高の作品の一つであると称えた。

ここまでに入り切らなかった古い名作を下にまとめた。

  • 太陽の王子ホルスの大冒険
  • 空飛ぶゆうれい船
  • パンダコパンダ/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻
  • ふしぎの国のアリス
  • ダンボ
  • くまのプーさん (1977年完全保存版/2011年版)
  • ルパン三世カリオストロの城
  • 機動警察パトレイバー the movie 1・2
  • アラジン
  • ライオンキング
  • アイアン・ジャイアント
  • ウォレスとグルミット 短編三部作

クレイアニメ「ウォレスとグルミット」短編三部作とは「チーズ・ホリデー」「ペンギンに気をつけろ!」「危機一発!」を指す。長編の「野菜畑で大ピンチ!」は詰まらない。

パンダコパンダ/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」は「となりのトトロ」の原点であり、街が水没する設定は「崖の上のポニョ」に流用されている。

最後にテレビ・アニメ(シリーズ)もいくつかご紹介しておこう。

宇宙よりも遠い場所」はニューヨーク・タイムズの「ベストTV 2018 インターナショナル部門」(The Best International Shows)に選出、激賞された。Netflixで配信中。京アニの「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」もNetflixで観れます。

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