アート・ギャラリー

2013年8月21日 (水)

宮崎駿「風立ちぬ」とモネの「日傘を差す女」

宮崎駿監督「風立ちぬ」のポスターになった場面はクロード・モネが描いた「日傘の女」へのオマージュであることは既に多くの人が指摘しており、今更言うまでもない。

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そこでこの記事では「どうして、いきなりモネ!?」という疑問を解明すべく、考察してみたい。

まず「日傘の女性、モネ夫人と息子日傘をさす女)」を見て下さい。

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モデルは妻のカミーユと息子のジャン。描かれたのは1875年。その4年後にカミーユは32歳の若さで亡くなった。そして彼女は結核を患っていた。つまり「風立ちぬ」に繋がっているのだ!

カミーユの死後7年経過した1886年にモネは再び同じ題材の作品に取り組んでいる。それが下の二点である。

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女の顔はぼんやりして見分けがつかなくなっている。あたかも黄泉の国からふと、現世に立ち現れたかのようだ。これはモネが夢で見た情景、幻想なのかも知れない。そういう意味において、やはり「風立ちぬ」ラストシーンの世界観を彷彿とさせる。

なお、最後の絵については女性の影がないと指摘する声もある。ただ僕は、光が右斜め前方から射しているので、影は左後方にあるんじゃないかと解釈しているのだが、皆さんはどうお考えになるだろうか?

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2013年1月 7日 (月)

エル・グレコ展

国立国際美術館@大阪市へ。

エル・グレコの「受胎告知」はわが郷里・岡山県倉敷市にある大原美術館所蔵なので、幼い頃から親しんできた。しかし彼がギリシャのクレタ島生まれで、ヴェネツィア、ローマを経てスペインに没したという経歴は知らなかった。

今回、気に入った作品を幾つかご紹介しよう。

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聖ラウレンティスの前に現れる聖母
(1578-81年、ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アンティグア財団、モンフォルテ・デ・レモス)

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聖母戴冠(1603-05、カリダード施設院、イリェスカス)

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聖衣剥奪(1605年、サント・トメ教区聖堂、オルガス)

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受胎告知(1600年頃、ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード)

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無原罪のお宿り(1607-13,サンタ・クルス美術館寄贈、トレド)

エル・グレコの絵は背景がのことが多いが、人物の衣装にを配することにより、鮮烈な印象を生み出している。また天使がチェンバロやコントラバスを弾き、正に壮大な「天上の音楽」を奏でているのも圧巻だった。

あと「鳩」が光源となり、光と影を生み出しているのが面白いね!

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2012年11月 4日 (日)

マウリッツハイス美術館展と「真珠の耳飾りの少女」

僕は数年前から、オランダ、デン・ハーグにあるマウリッツハイス美術館に行こうと本気で計画していた。ここは古楽のメッカ、オランダ王立デン・ハーグ音楽院(フラウト・トラヴェルソの有田正広さん、バロック・ヴァイオリンの寺神戸亮さん、バロック・チェロの鈴木秀美さんらがここで学んでいる)があることでも知られている。

その目的はフェルメールが描いた「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞することにあった。

2003年にイギリス・ルクセンブルク合作の「真珠の耳飾りの少女」という映画があった。アカデミー賞で撮影賞・美術賞・衣装デザイン賞にノミネートされたことでも伺えるように、高い評価を得た作品であった。画家フェルメールを演じたのは後に「英国王のスピーチ」でアカデミー主演男優賞に輝くコリン・ファース。モデルの少女をスカーレット・ヨハンソンが演じた。僕はこの映画がすごく好きで、特に撮影と音楽の美しさに陶酔した。ちなみに音楽は「ラスト、コーション」「英国王のスピーチ」「ハリー・ポッターと死の秘宝」「アルゴ」のアレクサンドル・デプラ(デスプラ)である。

どうしてもこの絵を、本物を観たいと希った。そしてその願いは、何と日本で叶うことになった。

神戸市立博物館へ。

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マウリッツハイス美術館展でまず印象に残ったのがルーベンスの「聖母被昇天」(アントワープの大聖堂にある作品の下絵)。小説「フランダースの犬」でネロとパトラッシュが死ぬ瞬間まで見つめていた絵だ。

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この絵の美しさの秘密はその構図にある。絵の左下端を焦点として、放射状に人物や事物が描かれているのだ。

そして待望の「真珠の耳飾りの少女」。

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吸い込まれそうなくらい白い肌、何かを語りかけてくるような眼差し。少女は微笑んでいるようでもあり、同時に哀しみを湛えているようでもある。貴重な鉱石ラピスラズリを原料とする絵の具「ウルトラマリンブルー」も勿論、印象的。観ていて出るのはただ、感嘆の溜め息ばかり。生きててよかった。

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2011年10月 3日 (月)

京の茶漬け&「フェルメールからのラブレター展」「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」@京都市美術館

京都へ!

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お昼に京都御所近く、丸太町の「十二段家」で京の茶漬けをいただく。

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ここはご飯がすごく美味しいので、一膳目はお茶をかけずそのままで。また出し巻きが、おだしが効いていて絶品。

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季節の一品は鱧(はも)と秋の京野菜。

そして京都市美術館へ。

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「フェルメールからのラブレター展」は10月16日まで開催中。世界に三十数点しか存在しないフェルメールの絵画が三点も集まったというのは画期的ではないだろうか?手紙を読む女、そして手紙を書く女たち。窓から差し込む光、それが作り出す影とのハーモニー。そしてラピスラズリを原料とする”フェルメール・ブルー”の美しさが印象深い。

またデ・ホーホの「中庭にいる女と子供

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そして「室内の配膳室にいる女と子供

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二枚の絵の遠近感が素晴らしかった。開放されたドアや窓から見える風景が効果的。

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フェルメール展は入場待ちが40分かかったが、「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」は待ち時間なし。こちらは11月27日まで。フェルメール展の半券提示で入場料100円引きだった。

ゴッホの自画像がこの展示の”売り”だが、僕はむしろモネの二点が良かった。

まず「ヴェトゥイユの画家の庭

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三人の人物の配置が見事。燦燦と降り注ぐ陽光、鮮やかな色彩感。この絵を観ながら心の中でディーリアスの音詩(tone poem)、例えば「夏の庭園にて」とか「夏の歌」が流れるのを感じた。考えてみればディーリアスは晩年をパリ郊外にある田舎町グレ・シュル・ロアンで過ごした。両者に共通するものがあるのは決して偶然ではあるまい。

そして僕が最も心奪われたのは「日傘の女性、モネ夫人と息子日傘をさす女)」何度も何度もこの絵に戻ってきて、見入ってしまった。

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モデルは妻のカミーユと息子のジャン。被写体が逆光というのが斬新だし、ヴェールに覆われたカミーユの表情が魅惑的。また実際の絵を観て初めて気付いたのだが、彼女の上半身と下半身で吹いている風向きが逆なのである。

この絵が描かれたのは1875年。その4年後にカミーユは32歳の若さで亡くなった。そして歳月が経ち1886年にモネは再び、同じ題材の作品に取り組んだ。それが下の二点である。

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顔に注目。この時の画家の心境や如何に、と僕は想いを馳せるのである。

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2011年3月 5日 (土)

誕生150年記念/アルフォンス・ミュシャ展

堺市立博物館へ。

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19世紀末から20世紀初頭のパリに花開いたアール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャ展に行く。

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そもそも大阪府・堺市は、500点に及ぶミュシャのコレクションを持っており(→アルフォンス・ミュシャ館公式サイトへ)、僕は以前サントリーミュージアム天保山で開催されたミュシャ展にも足を運んだのだが、今回の展覧会は今まで見たこともない作品が沢山海外から取り寄せられており、大変見応えがあった!感動した。

今回特に気に入ったのは、まずチョコレートの宣伝ポスター。

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そして「ムーズ川のビール」

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モラヴィア(オーストリア帝国領、現在のチェコ)に生まれたミュシャが後年、故郷に帰ってから描いた「モラヴィア教師合唱団コンサート用ポスター」の少女も可愛く魅力的である。

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また元々、堺市のコレクションにあるのだが、下の「音楽」という作品をご覧頂きたい。

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女性が耳をそばだて、音楽を聴いている情景を示しているわけだが、この絵には様々な工夫が凝らされ、ダイナミックに描かれていることに今回初めて気が付いた。

まず彼女の背景。木の枝に鳥がとまって囀っているが、これが五線譜と音符に見える。また女性を取り巻く円の中に描かれた指を順に目で追ってゆくと、まるでハープを爪弾いているかのような錯覚に陥る仕掛けが施されている。さらに絵の上、両隅にト音記号が描かれているのが分かりますか?画面下、女性のスカート部はヘ音記号だ。

それからミュシャの髪の毛の描き方とか、少女の周りに星を散らす手法とかが、日本の少女漫画に与えた影響の大きさも再認識した。

ミュシャってやっぱり凄い!必見。

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2010年7月21日 (水)

金沢・加賀温泉郷の旅

連休は金沢へ、ぶらり一泊旅行をした。

大阪駅からサンダーバードで二時間強。金沢に着いて直ぐに21世紀美術館へ。

全体的に客層が若く、お洒落な人が沢山いた。そして意外(?)にも外国人が多数来ていた。

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レアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》をまず上から覗き込む。だまし絵の3Dバージョン?

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こちらは下から撮影。

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ジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》。立方体の部屋に入ると、天井が正方形にぽっかり切り取られている。部屋の壁沿いに座ってぼーっと空を見つめる。不思議なほど空が近い。

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写真正面、屋根の上に立つのは、ヤン・ファーブル作《空を測る男》。

現在、21世紀美術館で開催されているのが、Alternative Humanities 〜 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル × 舟越桂である。この展覧会が非常に良かった。

舟越桂の彫刻には見覚えがあった。よくよく考えて、はたと気がついた。あぁ、天童荒太の小説「永遠の仔」(日本推理作家協会賞受賞、「このミステリがすごい!」第1位)の表紙の人だ!

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実物は初めて見た。首がモディリアーニの絵のように長く、目がやぶにらみなのが特徴的。

ヤン・ファーブルの作品もとても面白い。特に虫のドレス《昇りゆく天使たちの壁》は印象的。グロテスク、だけど美しい。虫に対する偏執狂(monomania)的性癖を感じた。調べてみると、「ファーブル昆虫記」で有名なジャン=アンリ・ファーブルは彼の曾祖父にあたるそう。成る程、血は争えない。

その後兼六園をチラリと見るが、猛暑のためさっさと宿へ向かう。

カメリアイン雪椿は"暮しの手帖"にでも出てきそうな、レトロで乙女チックな宿。アンティークがそこかしこに置かれ、椿のモチーフが散りばめられている。鍵やテーブルマットも椿。

夕方になると、散歩がてら茶屋街へ。道すがら、旦那衆が茶屋へ通ったという"暗がり坂"があった。

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金沢の夕暮れ。橋の下では、釣りをする地元の人々がいた。

そして目的地「御料理 貴船」へ到着。

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先付けのジュレに入っていたウニの甘さ、ノドクロの造り、焼き鮎ご飯、生姜とレモンのデザート等が印象に残った。特に各々の部屋で炊かれる土鍋ご飯は美味しく、御代わりして全部平らげてしまった。

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翌朝、宿の朝食が凝っていて、加賀野菜のサラダが大変美味しかった。

金沢を発ち、山中温泉へ。「花つばき」で外来入浴を楽しむ。

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湯畑と名付けられた川沿いの大小の露天風呂群があり、愉しい。

加賀温泉郷では山中温泉は一番駅から遠く不便な場所にあるせいか他に客はおらず、貸切状態。蝉の鳴き声と木々を渡る風の音、渓流のせせらぎだけが聞こえてくる。

ここの鶴仙渓には川沿いに遊歩道があった。

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近くの酒蔵獅子の里にて活性純米吟醸(発泡性のお酒)を買ったり、魚そうめんや酒粕ソフトクリームを楽しんで帰路へ。心身ともにリフレッシュした旅であった。

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2010年2月19日 (金)

京都でハプスブルク気分!

一路、京都へ。

南禅寺の近く、ウェスティン都ホテルのハプスブルク展記念スペシャルランチに出向いた。チケット付き4,000円という値段もあって、あまり期待はしていなかった。店内はガラガラで少々不安に。が、食べてびっくり、これはお得!

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開催中のハプスブルク展にちなんだ、ドイツ・スペイン・オランダ・オーストリアをテーマにしたメニューとなっている。肉、魚ありのフル・コース。メインのウィンナーシュニッツェル(ウィーン風カツレツ)はザルツブルグを旅した時にも食べたので、懐かしかった。ちなみにこの料理、ザルツブルグを舞台にしたミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」のナンバー”私のお気に入り”の歌詞にも登場する。

見た目は地味だが、フレンチに食傷気味な舌には新鮮な、素朴だが美味しいヨーロッパ地方料理。パンも焼き立てで美味しいし、とにかくこれで4,000円は安すぎ。

ホテルを後に、歩いて南禅寺へ。

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境内の水路閣(ローマ水道)。

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なんだか「廃墟」のような浪漫を感じる。

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上の写真は南禅院方丈庭園。

続いて建仁寺へ。

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これは潮音庭。

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○△□乃庭。禅宗の四大思想(地水火風)を象徴したものとか。う~ん、哲学的。

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法堂(はっとう)の天井画「双龍図」。2002年の作品で、新しい。

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そして最終目的地、京都国立博物館に到着。

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一番の目的は、写真右上「オーストリア皇后エリザベート」の肖像画を見ることであった。

この絵は宝塚歌劇によるウィーン・ミュージカル「エリザベート」にも登場し、1幕のフィナーレではヒロインが、正に肖像画と同じドレスと髪型で階段を下りてくるシーンが、このミュージカル最大のハイライトとなっている(何度観ても息を呑む場面である)。

実物を見ると等身大の巨大なキャンバスで、度肝を抜かれた。

写真左上、「11歳の女帝マリア・テレジア」はとても可憐な少女であった。ウエストがむちゃくちゃ細くて「これはいくらなんでも、誇張だろ~!あり得ない」と想った。

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ベラスケスが描いた、上の写真左手「白衣の王女マルガリータ・テレサ」も美しく、素敵だった。写真右、同じくベラスケスの「皇太子フェリペ・プロスペロ」は哀しく切ない絵であった。病弱だった皇太子はこの絵が描かれた2年後に亡くなっている。肌はぬける様に白く、皇太子の体を心配した両親が、沢山の鈴やお守りを身に付けさせているのが痛ましい。

ハプスブルク展は3月14日(日)まで。内容が充実しており、これは必見。

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2009年10月 3日 (土)

スタジオジブリ・レイアウト展

サントリーミュージアム(天保山)にてスタジオジブリ・レイアウト展を鑑賞。

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レイアウトとはいわば、アニメーションの設計図である。画面の構図のみならず、カメラの動き、描かれた雲が移動するスピード、ここは(美術監督が担当する)背景画なのか、あるいは(動画アニメーターの受け持ちである)セル画なのか等、細かく記載されている。

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宮崎駿さん(以下、”宮さん”と呼ぶ)が初めてこのレイアウトを手がけたのが東映動画時代の「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)。その後、劇場用中篇アニメーション「パンダコパンダ」(1972)を経て、テレビ「アルプスの少女ハイジ」(1974)で本格的に取り組むことになる。なんと全52話のレイアウトを宮さんがたった一人で担当したそうだ。しかしその時代”レイアウト”という言葉はなく、高畑勲監督は宮さんのために苦心して”場面設定”、”画面構成”といった用語を編み出した。

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展覧会の方は「風の谷のナウシカ」から「崖の上のポニョ」までの宮崎駿監督によるアニメーション映画のみならず、初期のテレビ作品「アルプスの少女ハイジ」「母を訪ねて三千里」「赤毛のアン」(宮さんがレイアウトを担当したのは1-15話まで。「アンは嫌いだ。後はよろしく」と言い残し、映画「ルパン三世 カリオストロの城」に着手)「未来少年コナン」「ルパン三世」などのレイアウトまで展示されていたのには驚いた。

兎に角、膨大な数のコレクションであった。作品によって残っているものと、ないものの差があり、「魔女の宅急便」はたった2枚しかなく残念であったが、その代わり米アカデミー賞長編アニメーション部門を征した「千と千尋の神隠し」コーナーのボリュームには圧倒された。天井まで壁一面がレイアウトに覆い尽くされている。鑑賞する人々から「オォ!」と驚嘆の声が漏れる。天才・宮崎駿の偉業、ここに極まれり。

また千尋の両親が豚に変身する前、食べたメニュー(香辛料をたっぷりすり込んだ鳩の丸焼き、汁気たっぷりの具を詰めた鳥、変わり春巻き、カレー味の魚、モルモットの味噌煮、豚の角煮)が判明したのがちょっと嬉しかった。

なにしろ1,300点もあるので、全部に十分な時間は掛けられない。当然、僕が大嫌いな高畑勲監督作品(「火垂るの墓」「おもいでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョ となりの山田くん」)や宮さんの息子(「ゲド戦記」)のコーナーは素通りすることとなった。

レイアウト展の開催期間は10月12日まで。必見!

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2009年9月11日 (金)

藤城清治 光と影の世界展

京都文化博物館で開催中の「藤城清治 光と影の世界展」に行く。

藤城さんの幻想的な作風に惹かれてか、来場者は女性が殆どで大盛況。

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とにかく作品数が多くて驚いた。初期の油絵数点から、モノクロの影絵、閉店した店の為に制作されたもの、こびとシリーズ、童話つき連作、水と鏡を効果的に使って展示された作品、京都を題材にした新作など盛りだくさんである。

シンプルな意匠の初期作品から、作風がどんどん洗練され華麗に繊細に変化してゆく様も興味深い。

特に印象に残ったのは「月光の響き」、紅葉の清水寺、そして新ヤマハ銀座ビルの為に制作された壁画「リーフがそよぐシンフォニー」。サイズも大きく、ハッとするほど美しい。展示の後半にあった柳の童話も印象に残った。藤城さんの柳はほの暗く寂しくて、その幽玄の美が影絵によく似合う。

ポスターにもなったアリスの影絵は凄い人気で、売店の絵はがきなども売り切れているようだった。

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