段田安則の「リア王」
4月20日(土)ブロードウェイ・ミュージカル『カム フロム アウェイ』に゙続き、大阪に新たに出来たSkyシアターMBSで『リア王』を観劇した。
翻訳:松岡和子、演出:ショーン・ホームズ、美術・衣装:ポール・ウィルス。出演は...
段田安則、小池徹平、上白石萌歌、江口のりこ、田畑智子、玉置玲央、入野自由、前原滉、盛隆二、平田敦子、高橋克実、浅野和之 ほか。
因みに段田安則と浅野和之はかつて野田秀樹が主催していた「夢の遊眠社」で活躍した仲間である。
段田は2022年にもショーン・ホームズとタッグを組んだ『セールスマンの死』で読売演劇大賞 最優秀男優賞を受賞している。
ポスターでリア王の顔は傷だらけ、泥まみれになっているが実際の舞台ではこれほど汚いメイクではなかった。コピー機やウォーターサーバーがあるオフィスみたいな舞台装置に登場人物はスーツにネクタイ姿、つまり現代を舞台にした「読み替え」演出だ。
実はヨーロッパの歌劇場ではオペラの「読み替え」演出が当たり前のことになっており、例えばかつてのジャン=ピエール・ポネルとか、『ラ・ボエーム』『トゥーランドット』で名高いフランコ・ゼフィレッリのような、台本に書かれた時代に合わせた衣装や舞台装置による演出は現在、殆ど見かけない(アメリカのメトロポリタン歌劇場なら、まだたまにある)。多分「読み替え」演出の先駆者と言えるのは1976年バイロイト音楽祭におけるパトリス・シェローによる楽劇『ニーベルングの指環』あたりではないだろうか?ピエール・ブーレーズが指揮したあれだ。
「読み替え」には当初、違和感を覚えたし世間では賛否両論ある。しかしもう慣れた。結局、この手法の肝は「21世紀の現代において古典を上演する意義を考えろ!」ということなのだろう。1600年代初頭に初演されたシェイクスピア劇を、当時のまま再現することに果たして意味はあるのだろうか?そういうことだ。
段田は無論のことだが、底意地が悪い長女ゴリネル(江口のりこ )と次女リーガン(田畑智子)、そして清純なコーディリア(上白石萌歌)の三姉妹が出色の出来。大満足。
考えてみれば今までミュージカル『ロミオ&ジュリエット』やブリテンのオペラ『夏の夜の夢』、ヴェルディの『オテロ(オリジナルは『オセロー』)』など観劇してきたが、シェイクスピアのストレート・プレイを観るのはこれが初めてかも。『ハムレット』もオペラ化されているし(アンブロワーズ・トマ/ブレット・ディーン )、『十二夜』は色々なヴァージョンでミュージカル化されている(例えば原田諒が作・演出した宝塚歌劇団『ピガール狂騒曲』)。しかし『リア王』は聞いたことがない。そういったアレンジには向いていないのかも。
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