デューン 砂の惑星PART2
評価:A+
IMAXで鑑賞。
パート2まで観て判ったのは1965年に出版された原作小説が後のSF作品に多大な影響を与えた、ということだ。女性だけの教団ベネ・ゲセリットが企てる「人類改良血統計画」は『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する秘密結社ゼーレによる「人類補完計画」を彷彿とさせるし、巨大なサンドワーム(砂虫)や惑星アラキスの生態系は明らかに『風の谷のナウシカ』の王蟲や腐海に繋がっている。主人公ポールの母が砂漠の民フレメンの教母になり、説く内容は『ナウシカ』の大ババが語る「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地へ導かん」に一致する。また『スター・ウォーズ』の舞台となる砂漠の惑星タトゥイーンも然り。
一方、砂漠の美しさや戦闘シーンの迫力はデヴィッド・リーン監督『アラビアのロレンス』(1962)以来のスケール感ではないかと驚嘆した。よくよく考えると本作と『アラビアのロレンス』の物語構造は似ている。よそ者であるイギリスの陸軍将校ロレンスが、オスマン帝国からのアラブ独立闘争を率いて英雄になっていく姿が、『砂の惑星』のポールがフレメンを率いて戦う姿に重なる。また『アラビアのロレンス』でアンソニー・クイン演じるアウダ・アブ・タイが本作ではフレメンの部族長スティルガーに該当するし、だったらオマー・シャリフ演じるシャリーフ・アリは?と考えた時、ゼンデイヤ演じるチャニではないか?と奇抜な発想が湧いた。ロレンスは砂漠の英雄になるが、そこには常に迷いがあり虚無感が漂うし、それはポールも同様。
こうした創作物のバトンがすごく面白いな、と思った。
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コメント
なるほど、アラビアのロレンスに繋がるとは面白いですね!
確かに、主人公に漂う虚無感、似てるかもしれません
にしても、次作まで何年待たなくちゃなのだろう...
投稿: onscreen | 2024年4月14日 (日) 00時30分
『アラビアのロレンス』と『デューン』はいわゆる白人酋長モノですよね。『地獄の黙示録』『アバター』などもそう。そして主人公が闇落ちしていくという点でも『アラビアのロレンス』と『デューン』は共通しています。
ポールの妹役としてアニャ・テイラー=ジョイが登場したときにはぶっ飛びました。『マッドマックス:フュリオサ』ですよ!!ノン・クレジットだから不意を突かれました。ドゥニ・ヴィルヌーヴ、続きもやる気満々だな、と思いました。
投稿: 雅哉 | 2024年4月14日 (日) 23時58分