2024年 アカデミー賞総括(宴のあとで)
今年のアカデミー賞予想、僕の的中は全23部門中18部門(外したのは主演女優・短編ドキュメンタリー・短編アニメ・音響・メイクアップ)だった。まぁまぁだが、20部門当てた過去もあるのでちょっとガッカリ。
なお、星海社新書から刊行されている【なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」】の著者、 Ms.メラニーは18部門的中なので同点。またWOWOWで授賞式の中継番組を担当したフリー(元TBS)アナウンサー・宇垣美里は20部門当てたそうなので (とTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で言っていた)、負けました。
昨年まで独立系のA24とか配信系のNetflixなどが強く、元気がなかったメジャー・スタジオが久しぶりに気を吐いた(ユニバーサル・ピクチャーズ の『オッペンハイマー』が7部門、ディズニー傘下サーチライト・ピクチャーズ『哀れなるものたち』が4部門受賞)。配信系は明らかに後退した。
授賞式で助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・Jr.がプレゼンターのキー・ホイ・クァンを無視して他の人々とだけ握手をしたり挨拶を交わしたと非難され、主演女優賞のエマ・ストーンもミシェル・ヨーに対して無礼な振る舞いをしたとして「東洋人を人種差別した」とバッシングを受けた(詳細はこちら)。言いがかりも甚だしい。現在のアメリカで人種問題はとてもセンシティブなのだなぁと改めて実感した次第である。しかしそんな中、『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』に出演したアメリカ先住民の俳優リリー・グラッドストーンが主演女優賞を獲れなかったのは投票するアカデミー会員の国際化が進み、最早アメリカ国内だけの祭典では無くなったことを端的に示している。だからこそ『君たちはどう生きるか』や『ゴジラ -1.0』が受賞出来たのだろう。本当に良かった。やはり宮崎駿監督は世界の映画人から尊敬されているのだということが良く分かったし、ゴジラの海外人気も日本人の想像以上だ。既にハリウッド・リメイクが何本もあり、ギレルモ・デル・トロ監督『パシフィック・リム』でもKaijuという言葉がそのまま使われている。山崎貴監督が視覚効果賞を勝ち取れたのは「完全にゴジラのおかげ」と言っているのはその通りで、特技監督・円谷英二の時代から培われてきた日本の特撮技術がようやく世界で認められたのだ。授賞式会場に伊福部昭が作曲した『ゴジラ』の音楽が流れたことには感慨深いものがあった。
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