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2024年3月15日 (金)

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」に投稿した、映画『アメリカン・フィクション』のレビューが読まれました。

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評「ムービーウォッチメン」に投稿した原稿が一部抜粋して読まれた。今回対象になった作品は先日のアカデミー賞で脚色賞を受賞し、現在AmazonのPrime Videoで独占配信中の『アメリカン・フィクション』同コーナーに僕の文章が採用されるのはこれが4回目である。

 ・ TBSラジオ「アフター6ジャンクション」に投稿したメールが読まれました。お題はNetflix映画『ROMA/ローマ』 2019.03.08
 ・ 
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』のレビュー 2020.07.02
 ・ 
『ハウス・オブ・グッチ』のレビュー 2022.02.14

Americanfiction

 以下、送ったメールの原文ママ。  

作品賞・主演男優賞などアカデミー賞5部門にノミネートされた本作が日本では劇場公開されず、配信スルーになったのはとても残念です。ほとんど黒人しか出ない映画は恐らく興行的に難しいのでしょう。例えばアカデミー作品賞を受賞した『ムーンライト』(2016)ですが、日本の興行成績は3.5億円。これはその前後に公開されたオスカー受賞作『バードマン』(2014):4.3億円、『スポットライト 世紀のスクープ』(2015):4.4億円、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017):8.9億円と比較すると寂しい数字です。ミュージカルとしてリメイクされ、今年公開された『カラーパープル』も初週興行成績トップ10にランクインせず、苦戦しているようです。

『アメリカン・フィクション』はアメリカの白人が黒人に対してどういう見方をしているか、そのステレオタイプを風刺することがキモなので、日本人にはピンとこなくても仕方がないかなと思いました。劇中で主人公が「その根底には白人の我々に対する罪悪感がある」と述べていて成る程なと思いましたが、日本人はアフリカ系アメリカ人に対して何ら疚(やま)しい点がありませんから根本的に立場が違います。

それで連想したのが今年のアカデミー主演女優賞です。『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』のリリー・グラッドストーンはアメリカ先住民として初めて演技部門にノミネートされましたが、英国アカデミー賞(BAFTA)ではされませんでした。イギリス人にはネイティブ・アメリカンに対する罪悪感や忖度が欠片もないからでしょう。

黒人の悲劇を題材とした文学や映像作品を免罪符として消費するアメリカの白人社会という構造は日本に置き換えてみると24時間テレビとかで「がんばる障害者」を出演させ、それを健常者が消費する〈感動ポルノ〉に似たところがあって、色々と考えさせられました。家族のドラマとしても秀逸だったと思います。

ところで『アメリカン・フィクション』主演のジェフリー・ライトはマイク・ニコルズが監督したHBO製作のテレビ・ミニ・シリーズ『エンジェルス・イン・アメリカ』(2003)でエミー賞やゴールデングローブ賞を受賞した時から印象的な役者でした。彼のどこに惹かれるんだろう?とず〜っと考えていたのですが、今回ようやくわかりました!あの低音で響き渡る声がとっても素敵なんです。ダース・ベイダーの声で有名なジェームズ・アル・ジョーンズを彷彿とさせます。

放送された音声(映像付き)はこちらからどうぞ。

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