礼真琴・舞空瞳(主演)宝塚星組「RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~」「VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)」
下記事も併せて是非お読みください。
・ 宙組の存亡をめぐって宝塚歌劇団への提言 (2023.12.15)
1月16日(火)宝塚大劇場へ。星組公演を観劇した。
『RRR』は主人公を礼真琴、その好敵手を暁千星が演じる。娘役トップは舞空瞳。脚本・演出は谷貴矢(たにたかや)。谷は2011年に入団。21年花組「元禄バロックロック」で大劇場公演演出家デビューを果たし、これが2作目。原作は日本でも大ヒットしたインド映画で言語はテルグ語。
一言にインド映画と言っても実は色々あり、北インドのボリウッド(ヒンディー語)が年間で約400本ほど制作し、南インドのトリウッド(テルグ語)、コリウッド(タミル語)、モリウッド(マラヤーラム語)、サンダルウッド(カンナダ語)がそれぞれ約200本ほど制作しているという。『RRR』の主題歌「ナートゥ」はゴールデン・グローブ賞および米アカデミー賞で歌曲賞を受賞するという快挙を成し遂げた。非英語の歌が同賞を受賞するのは極めて珍しい。
舞台版も「ナートゥ」(日本語訳)を歌い踊るのが最大の見せ場。華やかで楽しく、気分は最高潮に。物語は熱く面白いし、音楽も踊りもこれまで宝塚ではなかったタイプで物珍しく、最後まで飽きさせない。ハイテンションで突っ走り、最後はもうお腹いっぱい。後半のショーなしで一本立てでも良かったんじゃないかと感じたが、なんと休憩の後にとんでもない体験が待ち受けていた!!今回の演目はむっちゃお得な組み合わせだ。
110年という長い宝塚歌劇の歴史の中で、ショーの最高傑作は恐らく鴨川清作(作)『ノバ・ボサ・ノバ』(1971年初演)だろう。多くのファンが同意してくれる筈。『ノバ・ボサ・ノバ』の舞台はブラジル、リオ・デ・ジャネイロでラテン系の作品だが、一方、ヨーロッパ的でシックなショーなら荻田浩一(作・演出)『パッサージュ -硝子の空の記憶-』(2001年雪組公演)にとどめを刺す。もう、夢のように美しい作品であった。しかしオギーは2008年に宝塚歌劇団を退職、最早あれ以上のものは観られないのでは?と半ば諦めかけていた。
ところが、今回『VIOLETOPIA』を観て腰を抜かした。素晴らし過ぎる!!演出家・指田珠子(さしだしゅこ)の大劇場デビュー作である。耽美で衣装や美術が洗練されており、うっとり見惚れた。サーカスの場面があったりして『パッサージュ』を彷彿とさせる。フェデリコ・フェリーニ(イタリア映画 『甘い生活』『8 1/2』『アマルコルド』『フェリーニの道化師』の監督)的幻想世界と言っても良いかも知れない。蜃気楼のような作品。
音楽のセンスも抜群。特にモーリス・ラヴェル(作曲)管弦楽のための舞踏詩 『ラ・ヴァルス』の使い方には唸らされた。またモノトーンの舞台で静かに鳴り渡るフランシス・レイ(作曲)『白い恋人たち』も心に染みる。
「もう宙組は消滅したっていい。ここに確かな希望、春の兆しがあるのだから」そう思った。
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