キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
評価:A+
まず現時点で僕が気に入っているマーティン・スコセッシ監督による映画のベスト5を挙げておこう。因みに世間的に(映画評論家から)彼の最高傑作と言われている『レイジング・ブル』と『グッド・フェローズ』は余り好みじゃない。多分僕が間違っているのだろうとそれぞれ3回は観たがどうもピンとこない。それからアカデミー賞で作品賞・監督賞を受賞した『ディパーテッド』は凡作。オリジナル版・香港映画『インファナル・アフェア』の方が断然優れている。あとスコセッシがNetflixで撮った『アイリッシュマン』もイマイチだった。
1.タクシードライバー
2.キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
3.沈黙 ーサイレンスー
4.キング・オブ・コメディ(『ジョーカー』の元ネタ)
5.ヒューゴの不思議な発明
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は既に「ナショナル・ボード・オブ・レビュー」で最優秀作品賞・監督賞・主演女優賞(リリー・グラッドストーン)を受賞。ニューヨーク映画批評家協会賞では作品賞・主演女優賞に輝いた。
今年のアカデミー賞で作品賞・監督賞は本作と、クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』の一騎打ちになるだろう。僕の希望としては作品賞が『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で監督賞がノーランというのが誰もが納得行く結果ではないかという気がする。主演女優賞はリリー・グラッドストーンでほぼ決まり。僕は『マエストロ:その音楽と愛と』のキャリー・マリガンを推したいが、受賞は絶望的だ。演技の質どうこうよりも、今は白人より有色人種である方が賞レースに有利に働く。前回の主演女優賞を『TAR/ター』のケイト・ブランシェットではなく『エブエブ』のミッシェル・ヨーが受賞したもその傾向を端的に示している。そりゃ誰がどう見たってケイトの演技の方が凄いさ。
上映時間3時間26分、休憩なしと聞いた時にはびびった。果たしてその間トイレを我慢出来るだろうか?昔の映画、例えば『風と共に去りぬ』上映時間3時間42分、『マイ・フェア・レディ』上映時間2時間50分、『ドクトル・ジバゴ』上映時間3時間17分、『サウンド・オブ・ミュージック』上映時間2時間54分にはちゃんと途中休憩があった。
本作はApple TV+ 製作であり、つまり本来配信用の映画だからトイレ休憩など配慮する必要はないということなのだろう。そんな殺生な。
しかし気合を入れて劇場に足を運んだので、杞憂に終わった。余裕で大丈夫だった。ただ掛け値なしの傑作ではあるが人の生理を無視した上映形式のハードルが高く、2回目を観に行こうとは思わない。配信でいいや。
ヨーロッパからの移民である白人が、アメリカ大陸の先住民に対し、どういう扱いをしてきたかということが良く分かる作品である。特に最後、ラジオ劇になる場面が秀逸で、久しぶりに監督自身も役者として登場(『タクシードライバー』を思い出す)、熱いスピーチを披露した。
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