藤岡幸夫(指揮)ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番 再び
4月29日(祝)ザ・シンフォニーホールへ。
藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、
・田中カレン:ローズ・アブソリュート
・田中カレン:アーバン・プレイヤー(都会の祈り)〜チェロとオーケストラのための
・ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番
チェロ独奏は長谷川陽子。客席は7割程度の寂しい入り。
田中カレンという作曲家は今まで全く知らなかった。1曲目は「Annick Goutal」という香水店の「Rose Absolue」という香水からインスピレーションを受けたそう。静謐で繊細。エストニア生まれのアルヴォ・ペルトの楽曲を連想した。
2曲目"Urban Prayer"は色彩豊か。3楽章形式で第2楽章は竹林を渡る風が目に浮かんだ。アン・リー監督『グリーン・デスティニー』(中国・香港・台湾・米国の合作映画 )の雰囲気。中々素敵な音楽で気に入った。
ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番は同じコンビで2017年にも聴いている。
・ ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番とロンドン大空襲(The Blitz)〜藤岡幸夫/関西フィル定期 2017.05.18
第2次世界大戦中ナチス・ドイツによる空襲に見舞われる中、1943年に初演されたこのシンフォニーは優しさと祈りで聴衆を包み込むような作品だ。ヴォーン・ウィリアムズが古の教会音楽を研究した成果もはっきりと見て取れる。
第1楽章 プレリュードはゆっくり、慈しむように進行する。事前に僕はアンドルー・マンゼ/ロイヤル・リヴァプール・フィルと、ブライデン・トムソン/ロンドン交響楽団の音源(Spotify)で予習して臨んだのだが、藤岡のテンポはより遅く設定されていた。これはこれで良い。
第2楽章 スケルツォは闇の世界。作曲家が師事したモーリス・ラヴェルの影響が色濃く影を落とす。
第3楽章 ロマンツァはひたすら美しく、首席ヴィオラ奏者と首席チェロ奏者のソロが心に沁みる。
第4楽章 パッサカリアの主題と、第3楽章でコーラングレが奏でる旋律は歌劇『天路歴程 (The pilgrim's progress)』第1幕 第2場「美しい家(The House Beautiful)」から採られているらしい。暗い時代に、教会のステンドグラスから「希望」という名の一条の光が差し込むよう。
プーチンのロシアに蹂躙されるウクライナに思いを馳せながらコンサートを堪能した。
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