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2023年6月 2日 (金)

【考察】空耳力が半端ない!YOASOBI「アイドル」英語版/「推しの子」黒川あかねの覚醒

こちら↓も併せてお読みください。

 ・ 【考察】全世界で話題沸騰!「推しの子」とYOASOBI「アイドル」、45510、「レベッカ」、「ゴドーを待ちながら」、そしてユング心理学

ヒットチャートを爆走中のテレビ・アニメ『推しの子』主題歌・YOASOBI『アイドル』英語版“Idol”を聴きながら、テレビ朝日系列の深夜バラエティ番組『タモリ倶楽部』の名物コーナーだった“空耳アワー”を思い出した。多分多くの人が同じ感覚を味わったのではないだろうか?試聴はこちら

Idol

具体例を挙げよう。“that emotion”の箇所が「誰も」にしか聞こえない。また“Damn it !”というスラングがあり、「ちくしょう!」「くそ!」といった意味。これを短縮すると“dammit”になる。『アイドル』の中で “dammit,dammit” と連呼されるのだが、これが「ダメダメ」に聞こえるといった具合。逆に英語版の後に日本語版を聴くと、「誰も」 が“that emotion” に聞こえるという摩訶不思議な体験が味わえる。訳詞を担当したKonnie Aokiは凄腕だ。

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ネタバレ警告!以下、アニメ第七話の内容について触れます。

番組をご覧になった後にお読みください。

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アニメ『推しの子』第七話【バズ】は視聴者から「第一話に匹敵する神回!」と称賛された。僕も最後に黒川あかねが覚醒する姿を観て鳥肌が立った。

あかねは劇団「ララライ」に所属し女優として活動する高校2年生。子役時代は劇団「あじさい」に所属していた。これは間違いなく劇団ひまわりのパロディで、「ひまわり」が8月、太陽の季節なら「あじさい」は6月の雨。しっとり濡れた感じがあかねのイメージに相応しい。

第七話の最後に、ファンの手で殺された星野アイ(自称“歌い踊り舞う私はマリア”)が黒川あかねを依代(よりしろ)に降臨するわけだが、つまりあかねは巫女(日本の東北地方北部ではイタコと呼ばれる)の役割を果たしていると言えるだろう。

あるいは、あかねが憑依型の女優であるという解釈も可能なわけで、僕は美内すずえの漫画 『ガラスの仮面』で泥まんじゅうを食べた北島マヤのことを真っ先に思い出した。ネットの評判の中にも「黒川あかね、おそろしい子」というのがあり大爆笑。往年の大女優・月影千草が、当時中学生だった北島マヤの才能を見出した時の台詞である。ガラ仮面を連想したのが僕だけではなかったと分かり、嬉しかった。

考えてみればアイドル(偶像)とファンの関係って、宗教に似ている。「神曲」とか「布教活動」「お布施」といったオタク用語もそのままズバリだ。アイを刺殺した男も彼女を愛していた訳で、イエス・キリストとユダの関係に置き換えることが出来るだろう。ユダがイエスを裏切った後、絶望し自殺したのも符合する。

死者が生者を支配する世界。『推しの子』はますますダフニ・デュ・モーリエ(著)『レベッカ』の様相を帯びてきた。また男(アクア)の好みに合わせて死んだ女(アイ)を蘇らせるという意味ではアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『めまい』も彷彿とさせる。そういえば『レベッカ』もヒッチコックが映画化しており、両者が似通った構造を持っていることを『推しの子』を通じて初めて気付かされた次第である。恐れ入りました、感服です。

今まで有馬かな“推し”だったのだが、黒川あかねに“推し変”しそうな自分が怖い。

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