ヒラリー・ハーンが弾くベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ@兵庫芸文
6月3日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。
ヒラリー・ハーンのヴァイオリン・リサイタルを聴く。ピアノはアンドレアス・ヘフリガー。
・ ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル」
・ ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第10番
アンコールは、
・ J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より サラバンド
・ ワーグナー(リスト編):トリスタンとイゾルデより 愛の死 (ピアノ独奏)
・ 佐藤聡明:微風
『微風』はヒラリー・ハーンが17ヶ国26人の現代作曲家にヴァイオリンとピアノのためのアンコール・ピースを委嘱したもので、大島ミチルの『Memories』と共に「27の小品集」というCDに収録されている。
彼女を聴いた過去の感想は以下の通り。
・ ヒラリー・ハーン@兵庫芸文 2016.06.20
・ ヒラリー・ハーン/ヴァイオリン・リサイタル@兵庫芸文 2013.05.20
・ ヒラリー・ハーン/ヴァイオリン・リサイタル 2009.01.14
2009年の記事で僕は「アメリカのヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンはまるで妖精のような人だ」と書いた。あれから14年。彼女は現在43歳で、さすがにティンカー・ベルとは言えなくなったけれど、妖艶な人になった。髪の毛は白いものが混じり、演奏中はメガネを掛けるようになり、時が経つのは早いなぁと思った。
兵庫芸文では7年ぶりのコンサート。実は今回と同じ出演者・プログラムで2022年2月24日に公演が予定されていたのだが、新型コロナウイルス感染症の水際対策強化のため中止になってしまった。
前回は紙の楽譜だったが、今回はiPadに。音の線は細いが弱々しくはなく、針金のように芯が強い。表情は繊細で透明感がある。
「クロイツェル」の終楽章はしなやか。水を跳ねる魚のよう。
ソナタの第10番は陽だまりの音楽。第5番「春」みたいに朗らかなベートーヴェン。冒頭のトリルからは鳥の囀りが聴こえてくる。このソナタは作品96で、作品93の交響曲第8番と同じ1812年に作曲された。第9番「クロイツェル」作品47が作曲されたのは1803年なので、交響曲第3番「英雄」作品55が完成する1年前である。だから両者には9年の隔たりがあり、作風が大いに異なる。
第10番の明るさは3年間に及ぶ新型コロナ禍で溜まった鬱憤を吹き飛ばしてくれるような趣があり、何だかウキウキときめく心持ちになった。
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