2022年映画ベスト25+α & 個人賞発表!
毎年恒例、映画ベストを発表しよう。2022年に劇場で初公開された作品及び、Netflix, Amazon Prime Videoなどインターネットで配信された作品を対象とする。『ザ・クラウン』『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン 』『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』など連続ドラマは除外するが、今年は特別枠としてTV作品賞・個人賞を設定した。それだけ充実していたということだ。なお、現時点で評判のいい『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『RRR』『THE FIRST SLAM DUNK』『こちらあみ子』は未見である。悪しからず。
1.すずめの戸締まり
2.ウエスト・サイド・ストーリー
3.ナイトメア・アリー
4.ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(Netflix配信)
5.ある男
6.地球外少年少女(Netflix配信)
7.ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦
(National Geographic / Disney+配信)
8.ベルファスト
9.シン・ウルトラマン
10.ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(日本未公開 / Netflix配信)
11.犬王
12.ちょっと思い出しただけ
13.マチルダ・ザ・ミュージカル(Netflix配信)
14.トップガン マーヴェリック
15.西部戦線異状なし(ドイツ映画 / Netflix配信)
16.ザ・バットマン
17.Coda コーダ あいのうた
18.ナイブズ・アウト: グラスオニオン(Netflix配信)
19.さがす
20.ホワイト・ノイズ(Netflix配信)
21.プレデター:ザ・プレイ(Disney+配信)
22.ハウス・オブ・グッチ
23.ウェンデルとワイルド(Netflix配信)
24.私ときどきレッサーパンダ(Pixar / Disney+配信)
25.NOPE/ノープ
26.余命10年
監督賞:スティーブン・スピルバーグ(ウエスト・サイド・ストーリー)
主演女優賞:小松菜奈(余命10年)
主演男優賞:佐藤二朗(さがす)
助演女優賞:アリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー)
助演男優賞:トロイ・コッツァー(コーダ あいのうた)
オリジナル脚本賞:新海誠(すずめの戸締まり)
脚色賞:トニー・クシュナー(ウエスト・サイド・ストーリー)
撮影賞:クラウディオ・ミランダ(トップガン マーヴェリック)
美術賞:タマラ・デヴェレル、シェーン・ヴィア(ナイトメア・アリー )
衣装デザイン賞:ルイス・セケイラ(ナイトメア・アリー )
編集賞:新海誠(すずめの戸締まり)
作曲賞:アレクサンドル・デスプラ(ギレルモ・デル・トロのピノッキオ )
歌曲賞:野田洋次郎(『すずめの戸締まり』より“すずめ feat.十明”)
TV作品賞:ウェンズデー(Netflix配信)
TV演出賞:大根仁(エルピス ー希望、あるいは災いー)
TV主演女優賞:ジェナ・オルテガ(ウェンズデー)
TV主演男優賞:眞栄田郷敦(エルピス ー希望、あるいは災いー)
TV助演女優賞:宮沢りえ(鎌倉殿の13人)
TV助演男優賞:鈴木亮平(エルピス ー希望、あるいは災いー)
TV脚本賞:渡辺あや(エルピス ー希望、あるいは災いー)、三谷幸喜(鎌倉殿の13人)
TV美術賞:マーク・スクルートン(ウェンズデー)
TV衣装デザイン賞:コリーン・アトウッド(ウェンズデー)
TV作曲賞:ダニー・エルフマン(ウェンズデー)、エバン・コール(鎌倉殿の13人)
TV視覚効果賞:ハウス・オブ・ザ・ドラゴン(HBO Max配信)
『ウエスト・サイド・ストーリー』 とにかく、アカデミー賞を10部門も制覇したロバート・ワイズ監督による不朽の名作『ウエストサイド物語』をリメイクしようなんて、狂気の沙汰である、と誰もが思ったことだろう。「勝算なんか、ある筈がない」と僕も確信していた。ところが!、である。今更ながらスティーブン・スピルバーグの演出力に舌を巻いた。アリアナ・デボーズのアニタにも痺れた。旧バージョンのリタ・モレノを超えた。
『ピノッキオ』は『ナイトメア・アリー』同様、ギレルモ・デル・トロお得意のダーク・ファンタジーだ。出てくるキャラクターが名作『パンズ・ラビリンス』を彷彿とさせる。原作をアレンジし、ムッソリーニとファシスト党・黒シャツ隊を登場させているのも、『パンズ・ラビリンス』がフランコ将軍によるスペイン内戦を背景にしていることに似ている。
『ある男』 久しぶりに骨のある社会派ミステリーを観た。『砂の器』を思い出したのは、僕だけではあるまい。松本清張亡き後、こういう日本映画が減ってしまった。「私は誰?」アイデンティティーの消失。
『地球外少年少女』は本格的SFでありながらジュブナイルでもあるという離れ業を成し遂げた。そういう意味で『時をかける少女』(大林宣彦版/細田守版)の功績に匹敵する作品。
『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』は狂気についてのドキュメンタリー映画である。僕はアカデミー賞を受賞した『マン・オン・ワイヤー』とテーマが似ているなと思った。それは不条理についてアルベール・カミュが考察したエッセイ『シーシュポスの神話』に繋がっている。
『犬王』 相変わらず湯浅政明監督はぶっ飛んでいる。能楽師・犬王の人生をロックンロール・ミュージカルとして描くという発想が凄い!
僕は『世界の中心で、愛をさけぶ』だの、『君の膵臓をたべたい』だの、『四月は君の嘘』といった、男性作家が〈夢の女〉を描いた〈お涙頂戴〉の難病ものが嫌いである。反吐が出る。しかし『余命10年』は違った。原作者が女性であり、彼女の持病について語った小説だったからだろう。あざとさが微塵もなく、リアリティを感じたのである。なお彼女は肺動脈性肺高血圧症で2007年に没している。享年38歳だった。そして映画でヒロインを演じた小松菜奈の輝くばかりの美しさときたら!!
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コメント
べスト20、参考になります!
まずは「ピノッキオ」みてみようかな〜
投稿: onscreen | 2023年1月 2日 (月) 11時38分
onscreenさん
コメントありがとうございます。後日さらにリストに『ちょっと思い出しただけ』『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』を追加し、『ピノッキオ』へのコメントも書き足しました。読んでいただけると幸いです。
投稿: 雅哉 | 2023年1月 5日 (木) 08時25分
見事にまで、1作も被ってない!
あっ、トムちんは流石に入ってましたねー(笑)
昨年最大のヒット作がコレでよかったなと…
投稿: onscreen | 2023年2月 1日 (水) 06時05分