TBSラジオ「アフター6ジャンクション」に投稿した映画『ハウス・オブ・グッチ』のレビューが採用されました。
ヒップホップグループ、RHYMESTER 宇多丸がパーソナリティを務めるTBSラジオ「アフター6ジャンクション」において、2月11日に放送された〈週間映画時評 ムービーウォッチメン〉のコーナーで僕が書いた感想メールが読まれた。 お題は巨匠リドリー・スコット監督『ハウス・オブ・グッチ』である。
評価:A 映画公式サイトはこちら。
僕の投稿が「ムービーウォッチメン」で採用されるのはアルフォンソ・キュアロン脚本・監督『ROMA/ローマ』と、グレタ・ガーウィグ 脚色・監督『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』に続いて3回目。
以下、送ったメールの原文ママ。
格調高い作品も撮れるリドリー・スコットですが、今回は下世話なエンターテイメントに徹しており、上映時間157分と長尺ながら、一瞬たりとも飽きることなく最後まで愉しく観ることが出来ました。
レディ・ガガ演じる欲望むき出しのヒロインは自信とバイタリティに溢れ、その下品でギラギラした押しの強さはポール・バーホーベンの『ショーガール』にも通じるものがあると思いました。『エイリアン』のリプリーは勿論のこと、『テルマ&ルイーズ』にせよ、近年では『最後の決闘裁判』のマルグリットにせよ、リドリー・スコットが描く女性像はみな意思が強く凛としています。しかし本作の後半、占い師の言いなりになり身を破滅していく彼女の姿は滑稽で哀れでもあり、韓国の元大統領・朴槿恵(パク・クネ)の末路に重なるものがありました。
『ハウス・オブ・グッチ』最大の魅力はなんといっても名優たちの演技のアンサンブルの見事さにあります。アダム・ドライバーの上手さは今更言うに及ばず、気品のある貴族を演じさせたら現在ジェレミー・アイアンズの右に出る者はいないと思いますし、アル・パチーノはゴッドファーザーを彷彿とさせる堂々とした凄みがあり、特殊メイクを駆使したジャレッド・レトの怪演は『ハンニバル』で大富豪を演じたゲイリー・オールドマンのことを思い起こさせました。
あと音楽ついても触れないわけにはいけません。特に結婚式のシーンでジョージ・マイケルの『Faith』が軽妙に流れるという、意表を突く選曲の妙には痺れました。
朴槿恵(パク・クネ)の箇所だけ割愛され、あとは概ね読まれた。嬉しかった。
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