「らくだ」笑福亭鶴瓶落語会 2021 @兵庫芸文
1月31日(日)兵庫県立芸術文化センターで笑福亭鶴瓶落語会を聴く。
- 笑福亭鶴瓶:鶴瓶噺
- 笑福亭鶴瓶:癇癪(私落語)
- 桂三度:心と心(三度 作)
- 笑福亭鶴瓶:らくだ
鶴瓶噺(Stand Up Comedy)では新型コロナ禍のエピソードをあれこれと。第1回目の緊急事態宣言が発令される前の2020年2月28日、東京で『桂文珍 国立劇場20日間独演会』にゲストとして出演した。その時文珍が掛けたネタが『くっしゃみ講釈』。「あの頃はまだ、高座でハクションを連発しても許されていたんですね」と鶴瓶。
ある日自宅でくつろいでいたらネジが出てきた。「なんや、これ?」と、よくよく考えたらTBS『半沢直樹』(1st season)に主人公の父親として出演したときの記念の品だった。ネジ工場を夫婦で経営している役だった。「みなさん、わかってますか?僕が首を吊らなかったら、今の『半沢直樹』ブームはなかったんですよ!」と。
また話題になっていたから予備知識ゼロで劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』を観に行ったが、さっぱり理解出来なかった。「なんやあの、かまぼこ咥えとる娘は??」(←禰豆子/ねずこ)途中我慢ができなくなってトイレに行ったが、すすり泣きしている周りの観客に申し訳なかった。
『癇癪』は六代目笑福亭松鶴師匠と過ごした日々のスケッチ。文句なしに面白い。
「世界のナベアツ」として活躍していた三度。2011年、桂文枝に弟子入りして吉本興業から給料を3分の1まで下げられた。そして2018年、苦節4度目の挑戦で『NHK新人落語大賞』を受賞したネタが『心と心』。コンビニ強盗とそれに対応する店員、店長、店内に居合わせた客2人、計5人を演じ分け、会話だけではなく心の声も語るという野心作。上方落語の特徴である、見台・膝隠し・小拍子が好きだとマクラで語り、小拍子をチョンと打つことで時空間を跳躍できるという説明が、実はサゲ(落ち)の仕込み・伏線になっているというべらぼうな上手さ。こいつは天才だと唸らされた。
鶴瓶は六代目から落語を一本も教えてもらえなかったが、『らくだ』は師匠の口演を文字で書き起こすよう命じられた。今思い起こすと、あれがとても役に立った。弟弟子の笑福亭鶴志が松鶴の口跡にとても似ているので、『らくだ』は彼に任せようと考えていたのだが、2020年5月に亡くなってしまった(死因は新型コロナウィルス感染症ではない)。「だったら僕が継ごう」と決心して、鶴志の遺族に承諾を得て、彼の演出も取り込み「これが笑福亭の『らくだ』だ!」と胸を張って言える集大成にしたい、と抱負を語った。
『らくだ』を創作したのは(四代目)桂文吾。文吾の師匠が立川八百蔵(たてかわ やおぞう)で、更にその師匠が初代笑福亭松鶴という縁がある。大正時代に三代目柳家小さんが東京へ移植した。
鶴瓶の『らくだ』は笑福亭らしく下品な感じが凄くいい。またラストのどんでん返しも秀逸。
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