芦田愛菜「星の子」と原田知世「時をかける少女」
評価:B+
映画公式サイトはこちら。
僕が芦田愛菜ちゃんを初めて映画で観たのは松たか子主演『告白』(2010)で、その次が『阪急電車 片道15分の奇跡』(2011)だった。彼女は兵庫県西宮市出身なので『阪急電車』は地元の撮影で、当時6歳だった。
そして映画『星の子』撮影時、彼女は15歳。丁度、原田知世が初主演映画、大林宣彦監督『時をかける少女』(1983)に出演した年齢である。
さて、『星の子』で芦田愛菜ちゃんの母親役を原田知世が演じている。夫役が永瀬正敏で、病弱な娘の命を守るために夫婦で新興宗教を信仰しているという設定だ。娘は両親たちの行為を馬鹿げたことだと心の中では分かっているのだが、入信の原因が自分にあるので、なかなか言い出せない。そういう複雑な心境を愛菜ちゃんは巧みに演じていた。中学生役ということで見始めた当初は「えっ?」と思ったが、身長が低い彼女はしっかりそう見えた。
原作者の今村夏子は『こちらあみ子』(2011)で三島由紀夫賞、『むらさきのスカートの女』(2019)で芥川賞を受賞。『星の子』(2017)も芥川賞候補になった。非常に良く出来たお話である。
映画は親子三人で薄っすらと雪が積もった丘の上で星空を眺めるという場面で終わる。主人公のちひろには流れ星が見えるのに、両親には見えない。
ここで「ハッ!!」としたのが、このラストシーンが大林版『時をかける少女』の冒頭に繋がっているという事実である。『時をかける少女』はスキー場で原田知世・高柳良一・尾美としのりの三人が夜空を眺めている場面から始まる。そしてしっかりと流れ星も見えるのだ。大森立嗣監督の粋な計らいに乾杯!
なお、原田と高柳はいまでも家族ぐるみで親しくしていて、年に数回会っているという(出典はこちらの記事)。
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