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ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞(監督賞)に輝く「スパイの妻」を観て悲しい気持ちになった。

黒沢清監督『スパイの妻<劇場版)>』はヴェネチア国際映画祭で監督賞に相当する銀獅子賞を受賞した。日本映画が銀獅子賞を獲得するのは北野武監督『座頭市』以来、17年ぶりの快挙である。今年のコンペティション部門審査委員長は女優のケイト・ブランシェット。

評価:B+  

Spy

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何故わざわざ<劇場版>と銘打たれているかというと、元々NHK神戸放送局の企画で、2020年6月6日にBS8Kで放送されたテレビドラマだからである。そういう意味で村上春樹原作、イ・チャンドン監督による韓国映画『バーニング 劇場版』に近い形態であると言えるだろう。『バーニング』は劇場公開より先に短縮版がNHK BS4KやNHK総合で放送された(日本語吹替)。

脚本の完成度が高く、物語として面白い。中盤に登場するチェス盤が象徴するように、夫と妻が丁々発止とやり合うゲーム性がスリリング。NHK大河ドラマ「いだてん」のオープンセットを再利用した場面も違和感がなく、悪くない。

しかし如何せん予算の無さが画面から滲み出てきており、悲しい気持ちになった。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演した黒沢監督の談話によると、一切CGが使えないという撮影条件だったそうで、例えば蒼井優が路面電車(神戸市電は1910年に開業、71年に全線が廃止された)に乗る場面では窓の外の風景が全く見えない。あまりにも不自然。また高橋一生演じる夫が営む貿易会社の場面も、窓から光が差し込むだけで何も映らない。まるでホワイトアウト(雪や雲などによって視界が白一色となる現象)だ。日本映画の貧しさが骨身に沁みた。辛い。

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