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僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46

「拘束されているときに『不協和音』の歌詞がずっと頭の中で浮かんでいました」

香港の民主活動家で、香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕された周庭(アグネス・チョウ)氏は保釈後にこう発言し、アイドルグループ欅坂46が再び脚光を浴びた。秋元康が生み出した楽曲はこうして国境を軽々と超えた。

センターの平手友梨奈が「僕は嫌だ!」と絶叫する『不協和音』を彼女たちは2017年の第68回紅白歌合戦で歌い、パフォーマンス直後にメンバー3人が過呼吸で倒れた。2019年の紅白でも『不協和音』に挑戦し、ふたたび平手が倒れ周りのメンバーに抱きかかえられ舞台袖まで搬送された。

年が明けて2020年1月23日、平手はグループ脱退を発表し、世間に衝撃を与えた。結局紅白での『不協和音』が彼女にとって、欅坂46としての最後のパフォーマンスとなった。

評価:A+

Keyaki

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大傑作である。元々予感はあった。不朽の名作『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら夢を見る』の高橋栄樹監督だったからだ。僕は2012年に公開された映画の年間ベストワンに『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら夢を見る』を選んだし、【2000年以降の映画ベスト60!】にも入れた。2011年東日本大震災についてのドキュメンタリーであり、〈戦争映画〉でもあった。

“平成の山口百恵”こと、平手友梨奈については今までも折に触れて言及してきた。

結局、欅坂46は“平手友梨奈と愉快な仲間たち”と表現しても過言ではないグループだった。総合プロデューサーの秋元康も、振付師のTAKAHIRO(上野隆博)も平手にぞっこん惚れ込んでおり、他のメンバーは単なる背景に過ぎなかった。そのことを象徴する楽曲が『二人セゾン』であり、最後に平手以外は全員、欅の木と化す。デビュー作『サイレントマジョリティー』の振付では平手を旧約聖書のモーセ(預言者)に見立て、出エジプト記が表現される。平手以外のメンバーは真っ二つに割れる紅海(=オブジェ)だ。

そのアイドルグループとしての歪さと、他のメンバーたちの苦悩や葛藤が本作では赤裸々に描かれている。単体で見ると皆、可愛い子たちばかりで、気の毒としか言いようがない。しかし一方で平手という〈カリスマ=巫女=預言者〉抜きではこれだけ世間の注目を集めなかっただろうということも真実であり、複雑な気持ちになる。秋元康も罪な男よのう……。劇場版「さよなら銀河鉄道999 〜アンドロメダ終着駅〜」でキャプテン・ハーロックが黒騎士ファウストに言う台詞「鬼だな」を思い出した。

本編中に高橋監督がTAKAHIROに対して、子どもたちに対する大人の責任を問う。その意地悪な質問に戸惑い、後ろめたさを漂わせながら訥々と答えるTAKAHIROが最高に可笑しい!

またドキュメンタリー部分だけではなく、ライブでのパフォーマンスがいい音でたっぷりと堪能できるよう仕上げられており、抜かりがない。

2019年秋に予定されていた9thシングル発売延期について、ミュージック・ビデオ撮影現場に平手が姿を現さなかったことが原因であったことが明らかにされる。

2020年9月8日に放送されたTOKYO FMの『TOKYO SPEAKEASY』に平手友梨奈とRADWIMPSの野田洋次郎が登場し、大いに語り合った。その対談の中で平手は、つい数日前に秋元康と食事をしたこと、欅坂46に入り秋元と連絡先を交換した際、「毎日交換日記をしよう」と秋元から提案され、今でも続いていることを明かした。つまりそれは平手が9thシングルMVの撮影現場に行かないことを秋元は事前に知っており承認していたこと、平手の脱退についても全く感情を害していないことを意味している。いやはや!

秋元と彼のミューズ(Angel of Music)平手が今後、どのような作品を生み出していくのか、目が離せない。

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