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TBSラジオ「アフター6ジャンクション」に投稿したメールが読まれました。お題は映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』

6月26日(金)ヒップホップグループ、RHYMESTER 宇多丸がパーソナリティを務めるTBSラジオ「アフター6ジャンクション」 #アトロク #utamaru の〈週刊映画時評「ムービーウォッチメン」〉で僕の投稿が読まれた。これが2回目。今回のお題は『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』。

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以下、送ったメールの原文ママ。

僕は中学生の時に読んだオルコットの小説「若草物語」が大好きで、映画もジョーをキャサリン・ヘップバーンが演じた1933年版と、ジューン・アリソンによる49年版、ウィノナ・ライダーの94年版を観ています。そして今回の最新版が最高の出来でした!文句なしです。ジョー役のシアーシャ・ローナンが走っている画面を見ているだけで心が高鳴り、「レディ・バード」に続いて彼女とティモシー・シャラメとの相性の良さも抜群。特に舞踏会の場面で群衆から離れ、ふたりだけでポーチではしゃいで踊る場面は躍動感溢れ、ワクワクしました。

今回のグレタ・ガーウィグ版で目を瞠ったのは脚色の上手さです。原作の「続・若草物語」で作家志望のジョーが自分の原稿を出版社に持ち込む場面から映画は始まり、続いて7年前「若草物語」時代の回想になります。その後は青色を基調とする寒色系で描かれる現在と、暖炉の炎を連想させる橙色を基調とする過去を行ったり来たりするアクロバティックな構成になっています。そして映画終盤、ジョーが長編小説を書き始めると寒色系の画面に沢山の蝋燭の炎が灯り、そこからは彼女の脳内で創造されたフィクション部分が暖色、現実世界が寒色になるという創意工夫が凝らされています。

本作のテーマは〈結婚は経済の問題である〉ということに集約されるでしょう。「女が独身のまま自立するには売春宿を経営するか、女優になるしかないわ。まぁ、どちらも同じようなものだけど」という台詞を、かの大女優メリル・ストリープに言わせるとは大胆不敵!舌を巻きました。〈結婚することが女の幸せであり、ゴールである〉という当時の風潮に対してジョーは徹底的に抗います。

しかし原作を読んだことのある人なら知っています。「続・若草物語」の最後にジョーがベア教授と結婚することを。ジョーは原作者オルコットの分身ですが、オルコット自身は生涯を独身で通しました。果たしてこの矛盾にどう向き合うのか?グレタ・ガーウィグはメタフィクションの手法を用いて、この難問を鮮やかに解決しました。まさかこんな手があったとは!!と心底驚かされました。

グレタには是非今後、劇中でも言及されるブロンテ姉妹の「嵐が丘」や「ジェーン・エア」再映画化にも取り組んで欲しいと思います。

これが端折られて読まれた、番組公式書き起こしはこちら。実際放送された音声も聴ける。

正直、『若草物語』の読者は圧倒的に女性が多く、アトロクへの投稿も多分女性の感想のほうが有利だろうから、今回選ばれるのは難しいだろうなと思っていた。だから宇多丸さんや番組のスタッフの方々にはここで深謝したい。男性の意見というのが珍しかったのかも?

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