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2020年4月

高校生の間に一度は絶対観ておけ、この映画!/ジャンル別ベスト

高校生の三年間でこれだけは是非観ておいてほしい、君たちにとってこれからの人生が変わるかもしれないという映画を厳選した。

【青春映画】

  • ふたり
  • 廃市
  • 青春デンデケデケデケ
  • 幕が上がる
  • ヒポクラテスたち
  • 太陽の少年
  • 冒険者たち
  • ブレックファスト・クラブ
  • ヤング・ゼネレーション
  • スウィングガールズ

いつも青春は時をかけるー大林宣彦監督「時をかける少女」のキャッチコピーである。

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赤川次郎原作「ふたり」は事故死してしまったしっかり者の姉と、姉に頼ってばかりいた妹との、奇妙な共同生活を描いている。表面上は幽霊譚になっているけれど、一人の少女の意識(自我)と無意識(自己)という二面性および、その融合(自己実現)の物語であるとも言える。それを象徴するのがラストシーン。まず丘を登ってくる妹・美加(石田ひかり)をカメラが正面から捉える。次のショットで歩き去ってゆく後ろ姿を捉えるのだが、よくよく観るとそれは姉・千津子(中嶋朋子)なのだ。ふたりでひとり。実は、僕も初めてこの作品に出会ってから10年間くらい全く気が付かなかった。その間、繰り返し観ていたのに。このシーンで流れ出すのが大林宣彦作詞、久石譲作曲の主題歌「草の想い」。名曲中の名曲である。大林監督と久石さん本人が歌う。

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僕にとって我が生涯ベスト・ワンである大林宣彦監督「はるか、ノスタルジィ」も似たような構造を持っている。東京で小説家になった中年の主人公・綾瀬慎介(ペンネーム)は数十年ぶりに故郷・小樽を訪ねる。そこでバンカラ姿の学生・佐藤弘に出会う。それは青年時代の慎介そのものだった(佐藤弘は本名)。これはユング心理学でいうところの無意識に存在する子供元型(The Child Archetype)に遭遇する物語であり、最後に自我(意識)と元型(無意識)は融合され、自己実現に至る。どんなに年令を重ねても、人は変われるのだ。

僕が映画「廃市」と出会ったのは18歳だった。それから原作者・福永武彦の文学にのめり込み、20代の時に全小説を読破した。大林監督がライフワークとしていた福永の小説「草の花」映画化が実現しなかったことが無念で仕方ない。

幕が上がる」は全国高等学校演劇大会という特殊な世界が描かれている。火傷するくらい熱いぞ!

京都府立医科大学を卒業した大森一樹監督「ヒポクラテスたち」は医学生たちの群像劇。僕は高校生の時にこれを観て、「医学部って面白そう」と興味を持ち、進学を決めた。そして現在は医学博士である。やはり医師免許を持つ手塚治虫が映画で小児科教授を演じ(学生のひとりが手塚漫画「ブラック・ジャック」を読んでいたりもする)、怪盗役で映画監督の鈴木清順が登場する。

「太陽の少年」は中国映画の傑作。岩井俊二監督「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」に通じるものがある。

Lesaventuriers

「冒険者たち」はフランスのフィルム・ノワール。でも暗黒ではなくロマンティック。なんと言っても口笛で奏でられる〈レティシアのテーマ〉!→こちら

ジョン・ヒューズ監督「ブレックファスト・クラブ」は恐らく世界で初めてスクール・カーストを描いた映画だと思う。画期的なディスカッションが展開され、ワクワクする。併せて「フェリスはある朝突然に」もどうぞ。映画「デッドプール」の元ネタだ。

「ヤング・ゼネレーション」はアカデミー脚本賞受賞。自転車レースに青春を賭ける若者たちを描く。心に翼を持て。

【恋愛映画】

  • ラ・ラ・ランド
  • 太陽がいっぱい
  • Love Letter(岩井俊二監督)
  • ボヴァリー夫人(ヴィンセント・ミネリ監督)
  • ライアンの娘
  • ある日どこかで
  • フォロー・ミー
  • いつも2人で
  • ピアノ・レッスン
  • めまい

「ラ・ラ・ランド」については以下の記事をご参照あれ。

「太陽がいっぱい」はアラン・ドロンが主演した1960年のフランス映画。パトリシア・ハイスミス原作でミステリとしても大傑作なのだが、ゲイ映画という観点で見直すと全く別の物語が浮かび上がってくるという驚くべき仕掛けが施されている。その構造を世界で最初に見抜いたのがテレビ「日曜洋画劇場」の解説を長年勤め、「サヨナラ」おじさんと呼ばれた映画評論家・淀川長治氏で、彼もゲイだった。パトリシア・ハイスミスも同性愛者で偽名を使って「キャロル」を書き、そちらも映画化された。

アラン・ドロンはロミー・シュナイダーと同棲・婚約したり、ナタリー・ドロンと結婚・離婚するなど華麗な女性遍歴があるので多分ストレート(ノン気)なのだろう。しかしバイセクシャルだったイタリアのルキノ・ヴィスコンティ監督から愛され、その切実な想いは「若者のすべて」や「山猫」といった芸術映画に昇華された。ヴィスコンティがアラン・ドロンとロミー・シュナイダー主演で計画していたマルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」の映画化が頓挫したことは大変惜しまれる。そして、小説「失われた時を求めて」は岩井俊二の映画「Love Letter」で極めて重要な役割を果たす。映画は繋がっている。「Love Letter」の25年後に撮られた姉妹編「ラストレター」も併せてどうぞ。

ヴィンセント・ミネリの「ボヴァリー夫人」については下記事をお読み頂きたい。狂気が疾走する。

そしてデイヴィッド・リーン監督の名作「ライアンの娘」は「ボヴァリー夫人」を下敷きにしている。

「ある日どこかで」については、

「フォロー・ミー」については、

「いつも2人で」の監督は「雨に唄えば」「シャレード」のスタンリー・ドーネン。キネマ旬報社から発行された「私の一本の映画」という本があり、そこに村上春樹がエッセイを書いたのが本作。彼が高校生の時、当時のガールフレンドと神戸の映画館でこれを観たそうだ。主演はオードリー・ヘップバーンとアルバート・フィニー(「オリエント急行殺人事件」のポアロ役)。中年夫婦の危機を描くが、ふたりの12年間を5つの時間軸が交差する形で描く凝った構成になっている。何より僕は"Two for the Road"という原題が好き!味がある。

ホリー・ハンターがアカデミー主演女優賞を受賞し、カンヌ国際映画賞では最高賞のパルム・ドールに輝いたフランス、ニュージーランド、オーストラリアによる合作映画「ピアノ・レッスン」の主人公エイダを一言で評するならば〈女ヒースクリフ〉。本作が描いているのはエミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」と同じ、狂恋。不用意に触ると火傷する。だから「嵐が丘 」を事前に読んでおくことは必須。ジェーン・カンピオン監督にはいつか映画「嵐が丘」を撮って貰いたい。

Vertigo

「めまい」はアルフレッド・ヒッチコック監督の最高傑作。過去の女の記憶に囚われて目の前の女を愛すことが出来ず、自分の持つ理想像(ユング心理学におけるアニマ・アニムス)を投影してそれに女を近づけようと画策する男の異常心理を描いている。これは大林宣彦監督「時をかける少女」冒頭に掲げられるテロップと、密接な関係がある。

ひとが、現実よりも、
理想の愛を知ったとき、
それは、ひとにとって、
幸福なのだろうか?
不幸なのだろうか?

【深く人生を考える/哲学的映画】

  • メッセージ
  • 桐島、部活やめるってよ
  • タクシー・ドライバー
  • ブレードランナー
  • 山の音
  • 市民ケーン
  • イヴの総て
  • サンセット大通り
  • カビリアの夜
  • ベニスに死す
  • ピクニック at ハンギング・ロック
  • いまを生きる
  • 生きる(黒澤明監督)
  • ミツバチのささやき/エル・スール
  • ギルバート・グレイプ
  • フィールド・オブ・ドリームス

SF映画「メッセージ」は時間とは何か?を深く考えさせてくれる。そして思考はその人が学んだ言語と密接に結びついているという説が非常に興味深かった。これを〈サピア=ウォーフの仮説(言語相対性仮説)〉という。あと〈非ゼロ和 non zero sum〉!

桐島、部活やめるってよ」はキネマ旬報ベストテンで第2位、ヨコハマ映画祭では作品賞・監督賞など4冠を獲得した。高校生ではちょっと難しいかも知れない。ある意味フェデリコ・フェリーニ監督「甘い生活」に似たところがある。正直僕も高校生の時に「甘い生活」に歯が立たなかったからね。真の傑作だと漸く理解出来たのは40歳くらい。まぁ挑戦してみて。時には背伸びしてみることも必要、当たって砕けろ!だ。

「タクシー・ドライバー」はベトナム帰りの元兵士が主人公なので、社会派ジャンルとも言える。

「ブレードランナー」(1982)は近未来都市のヴィジュアル造形が秀逸。ただ映画の設定は2019年11月なので、既に現実が追い越しているのだけれど。本作には、レプリカント(人造人間/人工知能)は人の心を持てるのか?という問いがある。主人公デッカードが人なのか、レプリカントなのか?ということもしっかり考えてみてください。「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーブ監督が撮った続編「ブレードランナー 2049」も傑作。

川端康成原作「山の音」は鎌倉を舞台に初老の男(山村聡)が息子の嫁(原節子)に対して抱く、淡い恋心を繊細に描いている。死への恐怖、そして色恋沙汰に進展するかどうかの境界で揺れ動く心理描写が絶妙。大人の世界を垣間見よう。

「市民ケーン」といえば〈バラのつぼみ Rosebud〉。これは隠れキリシタンをテーマとする遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督「沈黙 -サイレンス-」のラストシーンにも引用されている。

アカデミー作品賞・監督賞・脚本賞などを受賞した「イヴの総て」は食うか食われるかという、芸能界における生存競争の苛烈さを、鮮やかに描いている。これを下敷きにしたのがポール・バーホーベン監督「ショーガール」で、こちらの方は最低の映画を選ぶラジー(ゴールデン・ラズベリー)賞で7部門を制覇した。

ビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」は後世の映画に多大な影響を与えた。例えばロバート・アルドリッチ監督「何がジェーンに起ったか?」とか、デヴィッド・リンチ監督「マルホランド・ドライブ」は、完全に「サンセット大通り」のヴァリエーションである(そもそもマルホランド・ドライブとサンセット・ブルーバードはどちらもロサンゼルスを走る道路の名称)。また死者が語り始めるという手法はサム・メンデス監督「アメリカン・ビューティ」(アカデミー作品賞・監督賞受賞)に引き継がれた。

「ベニスに死す」については、次のようなことを書いた。

「ピクニック at ハンギング・ロック」については下記。

「いまを生きる」はこちら。

黒澤明「生きる」は進行がん患者への病名告知やquality of lifeの問題をテーマとしている。

「ミツバチのささやき/エル・スール」については、

「ギルバート・グレイプ」は当時未だ10代だったレオナルド・デカプリオの演技に注目!時には束縛にもなる家族から解き放たれて、主人公(ジョニー・デップ)が旅立つ物語。

「フィールド・オブ・ドリームス」に登場する作家テレンス・マン(ダース・ベイダーの声で有名なジェームズ・アール・ジョーンズが演じる)は原作小説で「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャーであることは重要。だから映画「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」と併せて観ると、より理解が深まるだろう。

【歴史を知る映画】

  • 大いなる西部
  • 死刑執行人もまた死す
  • 大いなる幻影
  • 灰とダイヤモンド
  • 無防備都市
  • 第三の男
  • アンネの日記
  • アラビアのロレンス
  • ドクトル・ジバゴ
  • 僕の村は戦場だった
  • ひとりぼっちの青春
  • さらばわが愛/覇王別姫
  • 善き人のためのソナタ

イタリア映画「無防備都市」はネオレアリズモの代表選手。大きな歴史のうねりとしてネオレアリズモ(イタリア)の精神は→ヌーヴェル・ヴァーグ(フランス)→アメリカン・ニューシネマと伝播した。共通する志は〈既成の価値観・体制の破壊〉である。ハリウッドで「無防備都市」を観て感激したイングリッド・バーグマンは直ちにロベルト・ロッセリーニ監督にファン・レターを書き、夫や娘を捨ててローマに旅立った。一大スキャンダルになったことは言うまでもない。イングリッドとロベルトの間に生まれたのがイザベラ・ロッセリーニで、長じて女優となり「ブルーベルベット」や「フィアレス」などに出演した。イングリットも〈既成の価値観の破壊者〉であった。

「第三の男」は第二次世界大戦後、敗戦国オーストリア(首都:ウィーン)が勝者である連合国ーアメリカ、ソ連、イギリス、フランスの4国によって分割統治されていた時代のお話。白黒映像美の極致。

「アンネの日記」は1959年にジョージ・スティーヴンスが監督・製作したもの。アンネを演じたミリー・パーキンスが素晴らしい!1995年に日本が製作したアニメーション版もあるが、こちらはイマイチ。但し、マイケル・ナイマンによる音楽は◯。

「ひとりぼっちの青春」の原題は"They Shoot Horses, Don't They?"つまり「彼らは廃馬を撃つ」。1932年、大恐慌時代の悲惨を描くアメリカン・ニューシネマの傑作。ここでアメリカン・ニューシネマについて説明しておこう。1960年代後半から1970年代前半までのムーブメントで、ベトナム戦争に対する反戦運動や、ヒッピー文化と連動している。反抗的な若者が体制に敢然と闘いを挑むのだが、最後は大人・社会に圧殺されるなど、悲劇的な結末で幕を閉じる。基本的に挫折する物語だ。「俺たちに明日はない」「明日に向って撃て!」「イージー・ライダー」が代表格。

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた「さらばわが愛/覇王別姫」が描くのは中国・文化大革命の悪夢。コン・リーとレスリー・チャン最高。また、僕たちが知らない京劇の世界を垣間見ることができる。

ドイツ映画「善き人のためのソナタ」はアカデミー外国語映画賞を受賞。冷戦時代の東ドイツが舞台で、監視社会の実像に迫る。

【コメディ/ブラック・ユーモア】

  • 雨に唄えば
  • プロデューサーズ
  • 博士の異常な愛情
  • まぼろしの市街戦
  • チャップリンの独裁者
  • 恋はデジャ・ブ
  • 生きるべきか死ぬべきか

フランス映画「まぼろしの市街戦」(1966)は第一次世界大戦末期、フランスの田舎町が舞台。人々が町から逃亡し、取り残された精神病院の患者たちと、町を取り巻く軍隊の人間と、どちらが〈狂気〉でどちらが〈正気〉なのかという問いが本作にはある。

「恋はデジャ・ブ」(1993)の原題はGroundhog Day。Groundhogはウッドチャックを意味し、2月2日に開催される春の訪れを予想する占い行事のこと。 ある一日をエンドレスに繰り返す男の話である。ビル・マーレイがすっとぼけた、いい味を出している。同じネタで押井守監督「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)という先達があり、こちらも傑作。さらに派生作品として京アニ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンドレスエイト(第12-19話)や、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語」がある。こうしたループものとして、ケン・グリムウッドのSF小説「リプレイ」が有名だが、1987年の出版であり、やはり「ビューティフル・ドリーマー」が元祖と言えるだろう。

【社会を知る映画】

  • 真昼の暗黒
  • 橋のない川 
  • バトル・ロワイアル
  • ブラッド・ダイヤモンド
  • シティ・オブ・ゴッド
  • 風の丘を越えて/西便制
  • トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
  • 殺人の追憶
  • パラサイト 半地下の家族

「真昼の暗黒」(1956)は冤罪事件を扱う。橋本忍のシナリオが秀逸。

部落差別を扱う「橋のない川」は1969-70年の今井正監督版(第一部・第二部)と、1992年東陽一監督版がある。どちらも見応えあり。

「バトル・ロワイアル」(2000)は劇薬だ。中学生どうしが国家命令により殺し合いをするという衝撃的な内容で、R-15指定のため中学生は劇場で観ることが出来なかった。公開当時、この映画に対する政府の見解を求める質疑が国会で行われるなど物議を醸した。そもそも高見広春が書いた原作自体、日本ホラー小説大賞の最終候補まで残るが、選考委員から猛烈な非難を浴び落選した。その後高見は一切作品を発表していない。深作欣二監督は太平洋戦争中、学徒動員に駆り出されたときの「国家への不信」「大人への憎しみ」といった自分の想いを本作に託した。

レオナルド・ディカプリオ主演「ブラッド・ダイヤモンド」を観れば、アフリカは地獄だ、と思い知るだろう。

「シティ・オブ・ゴッド」はブラジルに住むストリートチルドレンたちの抗争を描く。

韓国映画「風の丘を越えて/西便制」では朝鮮文化における恨(ハン)という感情について学ぼう。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は赤狩りの勉強として。本作の後でダルトン・トランボがシナリオを書いた「ローマの休日」や「パピヨン」(1973年版)を鑑賞しよう。隠された寓意が見えてくる。

アカデミー作品賞・監督賞・国際長編映画賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が光を当てるのは格差社会である。

【アニメーション映画】

「秒速5センチメートル」については以下を参照されたし。

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TBSラジオ「アフター6ジャンクション」追悼特別企画への投稿:大林宣彦監督の思い出

僕と大林映画の出会いは、高校二年生だった1983年5月4日、日本テレビ「水曜ロードショー」で放送された「転校生 」でした。大林宣彦自ら再編集したもので、当時の大林映画では冒頭部に必ず「A MOVIE」と表示されていましたが、本作の冒頭は「A TELEVISION」と銘打たれていました。劇場版にはない音楽(臨海学校にバスで向かう場面でシベリウス「カレリア」組曲〜行進曲)が追加されたりもしました。「この監督の映画はすごく面白い」と思い、同年7月16日から上映された「時をかける少女」を満員の映画館に観に行って、打ちのめされました。白黒で始まり、次第に画面中央から色づき始め、タイトルが登場する場面でフルカラーに。この時点で僕は滂沱の涙を流しており、「この監督を信じて生きていこう」と決意していました。

「さびしんぼう」が公開された年に大学に入学し、ロケ地巡りをするために尾道に何度も行きました。今考えれば「聖地巡礼」の走りですね。当時、大林組の拠点になっていたジャズ喫茶TOMで大林監督ご本人にお会いして「いつか見た映画、いつか見た夢。」と走り書きされたサインを頂いたり、TOMのマスターから連絡を貰い、福山市・鞆の浦で撮影中だった「日本純情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群れ」のロケを見学する機会を得たりもしました。

また大林監督の「廃市」を観て、原作者・福永武彦の大ファンになり、20代は福永文学を読み耽りました。福永の息子が芥川賞作家・池澤夏樹で、そのお嬢さんが声優の池澤春菜さん、最近何度もアトロクに出演されていますね。

その後、公式ファンクラブ「OBs Club」が組織され入会、大林監督の自伝的映画「マヌケ先生」では尾道でエキストラとして出演したりもしました(まもなく解散)。宇多丸さんも御存知の通り、「マヌケ先生」の映像は遺作「海辺の映画館 キネマの玉手箱 」に引用されています。

大林監督に最後にお会いしたのは昨年11月24日、広島国際映画祭2019で「海辺の映画館」が上映された時でした。車椅子姿でかなり体力が衰えていらっしゃいましたが、しっかり握手をしてくださいました。

「時をかける少女」から37年。大林映画と出会っていなかったら僕の人生は随分と色あせたものになっていたでしょう。大林監督、本当にありがとうございました。ただ心底残念に思うのは、監督のライフワークだった檀一雄の小説「花筐」の映画化は実現しましたが、もうひとつの念願だった福永武彦の小説「草の花」映画化が叶わなかったことです(一時期、尾美としのり・富田靖子主演で企画されました)。しかし大林チルドレンと呼ばれる監督たち(細田守・岩井俊二・手塚眞・犬童一心ら)の誰かが、その想いを継いでくれるのではないだろうか、と秘かに期待しています。

なぜなら、大林監督の劇場映画デビュー作「HOUSE ハウス」最後のモノローグにこうあるのです。

ーたとえ肉体が滅んでも、人はいつまでも誰かの心の中に、その人への想いとともに生き続けている。だから愛の物語はいつまでも語り継がれていかなければいけない。愛する人の命を永遠に生きながらえさせるために。ー

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以上、(ラップグループ)RHYMSTER 宇多丸がパーソナリティーを務めるTBSラジオ「アフター6ジャンクション」(通称:アトロク)、【さよなら大林監督。追悼特別企画<第1回 大林宣彦映画 総選挙>】へ僕が投稿したメールの内容である。

総選挙の順位は上記事に書いた通り。僕個人の密やかなベストテンも挙げておこう。

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  1. はるか、ノスタルジィ
  2. 日本純情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群れ
  3. 時をかける少女
  4. 廃市
  5. 野のなななのか
  6. なごり雪
  7. EMOTION 伝説の午後=いつか見たドラキュラ(1967年 16mmフィルム)
  8. HOUSE ハウス
  9. 麗猫伝説(1983年 TV用映画)
  10. 彼のオートバイ、彼女の島

断腸の想いで次点を新・尾道三部作の第1作「ふたり」とする。同じ赤川次郎原作「あした」も是非観てください。

「転校生」(1982年版)と「さびしんぼう」を入れなかったのは、追悼記事で旧・尾道三部作のことばかり取り上げられるから。その後も沢山の傑作を撮っておられるのです。TV用映画「可愛い悪魔」「恋人よわれに帰れ LOVER COMEBACK TO ME」も忘れ難い。

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TBSラジオ「アフター6ジャンクション」presents:さよなら大林監督。追悼特別企画<第1回 大林宣彦映画 総選挙>

(ラップグループ)RHYMSTER 宇多丸がパーソナリティーを務めるTBSラジオ「アフター6ジャンクション」(通称アトロク)で【さよなら大林監督。追悼特別企画<第1回 大林宣彦映画 総選挙>】という番組があり、有効投票総数148通で以下の順位が発表された。

  1. 時をかける少女
  2. さびしんぼう
  3. 青春デンデケデケデケ
  4. ふたり
  5. 転校生 (1982年版)
  6. この空の花 長岡花火物語
  7. HOUSE ハウス
  8. 異人たちとの夏
  9. はるか、ノスタルジィ
  10. 花筐/HANAGATAMI

僕は「はるか、ノスタルジィ」に1票を投じた。

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以下、アトロクに投稿したメール内容である。

僕のオールタイム・ベストワンは大林宣彦監督「はるか、ノスタルジィ」です。北海道・小樽市には数回ロケ地巡り(今で言う「聖地巡礼」)に行きました。劇中、重要な場面となる「はるかの丘」も発見しました。物語はこうです。

東京で小説家になった中年の主人公・綾瀬慎介(ペンネーム)は数十年ぶりに故郷・小樽を訪ねる。そこで「はるか」という少女と、バンカラ姿の学生・佐藤弘に出会う。それは青年時代の綾瀬自身だった(佐藤弘は本名)。

これはユング心理学でいうところの無意識に存在する子供元型(The Child Archetype)に遭遇する物語であり、最後に自我(意識)と元型(無意識)は融合され、自己実現に至ります。本作にはどんなに年令を重ねても、人は変われるというメッセージが込められています。

大林監督は常々、「僕はベテランの18歳」と仰っており、監督の心の中には純粋無垢な少年時代の自分、つまり子供元型が生きているということなのですね。

画面には50歳の自分と、学生時代の自分が同時に存在しています。つまり本作は時間の流れに即した「通時的」映画ではなく、「共時的」映画です(フェリーニ「8 1/2」、ベルイマン「野いちご」のように)。過去と現在、そして未来が同時に「ここ」にある。他の大林映画、例えば「さびしんぼう」でも認められる特徴です。

ヒロイン「はるか」は、どうやら綾瀬が昔恋していた三好遥子(みよしようこ)の娘ではないかということが次第に明らかにされていきます。

そして綾瀬は「はるか」の髪型を「遥子」に似せようと画策し始めます。これが、宇多丸さんが大林監督との対談で指摘されたようにヒッチコックの「めまい」そっくりなんですね。宇多丸さんの発言でハッと気がついたのですが、オープニング・クレジットで「はるか」がクルクル回転するのも「めまい」へのオマージュになっています。

物語の最後に綾瀬は「はるか」と結ばれますが、彼女が綾瀬の娘であった可能性も残されている。なんと仄暗く、罪深い映画でしょうか!宇多丸さんの仮説、「時をかける少女」における深町くん昏倒レイプ犯説に通じるものがあります。故に「めまい」同様の異常心理を含めて、「はるか、ノスタルジィ」は大林監督の本質に迫る作品だと僕は思うのです。

さらに詳しいことは下記事に書いた。

番組内で宇多丸は「はるか、ノスタルジィ」について〈背徳的な〉〈世間的な良識から言うとなかなかなタブーに触れる〉〈ちょっと妖しい、危うい〉〈結構危険な、ヤバイ話〉とコメントした。全く同感である。ジークムント・フロイトの提唱する〈エディプス・コンプレックス〉とは、身も蓋もない言い方をすれば〈お母ちゃんとセックスをしたい〉願望、潜在意識を指すが(コンプレックス=心的複合体)、本作は〈娘コンプレックス〉を描いていると解釈出来る。危険な誘惑だ。なお、大林監督は手塚治虫について、〈シスター・コンプレックス〉の作家と評している。その典型例が初期作「ロスト・ワールド」だ。

ただ、今僕が考えているのは、「はるか」は綾瀬にとって、ユング心理学における〈アニマ〉なのではないか?という解釈である。それは自分の無意識に存在する元型・魂の一部であり、ゲーテが言うところの〈永遠に女性的なるもの〉を指す。「ファウスト」におけるグレートヒェンであり、ダンテ「神曲」におけるベアトリーチェだ(さらに言えば宮崎駿「風立ちぬ」の菜穂子)。

つまり映画「はるか、ノスタルジィ」の最後に主人公・綾瀬慎介(=大林宣彦)の自我(ego)は、それまで忘却の彼方にあった子供元型(プエル・エテルヌス:永遠の少年)と融合し、さらに「はるか」=アニマ(魂)とも結合を果たし、自己実現を成し遂げた。実に美しい、ハッピー・エンドではないだろうか?

思えばこれこそが、あなたが永遠に願った真実の恋の勝利というものではなかっただろうか?さびしんぼうよ、いつまでも。
おーい、さびしんぼう。  

(映画「さびしんぼう」より)

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【2020年最新版】選定!中学生に観せたい映画・アニメ

選定!中学生に観せたい映画」という記事を書いたのが2013年。あれから7年経過した。些か内容が古びた感があるので、ここでアップデートすることにした。新型コロナウィルスで非常事態宣言が発令され、遊びに出ることもままならない子どもたちを持て余している親御さんも少なくないだろう。何かの参考になれば幸いである。

新しい作品を優先して選んだが、「これだけは絶対に落とせない!」という古典的名作も残している。なお、過去にレビューを書いている作品は、タイトルをクリックすると該当記事に飛ぶようにしている。気に入るかどうかに性差があると思われる作品には男の子向け/女の子向けを明記した。

まずは基本中の基本、実写部門BEST 10。

ここで紹介している「ちはやふる」は広瀬すず主演の実写映画だが、テレビ・アニメ(シリーズ)版も良い。競技かるたと百人一首(和歌)の世界を垣間見よう。

蜜蜂と遠雷」は音楽映画の傑作中の傑作。恩田陸の原作小説も併せて読みたい。

Oct

「遠い空の向こうに」の原題はOctober Skyで、アルファベットの順番を入れ替えると原作小説のタイトルRocket Boysになる。アナグラムだ。NASAの技術者になったホーマー・ヒッカムの自伝である。

「リトル・ダンサー」(原題:ビリー・エリオット Billy Elliot)は後に舞台化され、トニー賞でミュージカル作品賞・演出賞など10部門を独占した。「ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー」というタイトルでBlu-ray/DVDが発売されている。男らしさ/女らしさ って、一体何?という問いが本作にはある。映画の最後に名ダンサー、アダム・クーパーが踊るのにも注目!

沈黙 -サイレンス-」は遠藤周作原作。篠田正浩監督版もあるが、マーティン・スコセッシ監督版の方が俄然出来が良い。キリシタン弾圧の歴史を学ぼう。

おくりびと」では死と向き合うことで、生についてしっかり考えよう。

舟を編む」は辞書編纂という作業を通して、日本語について学べる。

ドリーム」は邦題が酷い。原題は"Hidden Figures"つまり「隠された姿」という意味で、NASAでアポロ計画に先立つマーキュリー(有人宇宙飛行)計画に携わった3人の黒人女性にスポットライトを当てる。「ライト・スタッフ」と併せて観ることで、より深く味わうことが出来るだろう。

英国王のスピーチ」はアカデミー作品賞・監督賞を受賞。人前で上手に話すコツが詰まっている。そして、吃音の原因として幼児虐待があることを教えてくれる。

ゼロ・グラビティ」は宇宙を舞台にしているが、物語構造は受精卵→胎児→誕生のメタファーとなっており、同時に海洋生物が陸に上がり、直立歩行するまでの人の進化についても語っている(人間の胎児は進化の過程を繰り返すー反復説)。

続いてBEST 20まで。

シン・ゴジラ」はダイアログの洪水。繰り返し観て社会勉強をしよう。

Otona

「大人は判ってくれない」の切実さを理解するのは中学生には難しいかも知れない。しかし将来きっと判る日が来る。諦めないで。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 」と「スタンド・バイ・ミー」は精神的に繋がっている。原作者が同じスティーヴン・キングだしね。そしてNetflixのドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」も、J・J・エイブラムス監督「SUPER 8/スーパーエイト」も「スタンド・バイ・ミー」なくして生まれなかった。

アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」は銃社会アメリカについて考えさせられる。

ファースト・マン」はアポロ11号の船長ニール・アームストロングを主人公とする実話。トム・ハンクスが主演した「アポロ13」も併せて観よう。

ソロモンの偽証」は宮部みゆき原作のミステリ。中学生たちが主人公で、学校内裁判を開廷するという展開がユニーク。

Ganba

「がんばっていきまっしょい」は愛媛県松山市の高校を舞台に、ボート部の活動に打ち込む5人の女子高校生たちの姿を描いた物語。テレビドラマにもなった(放送途中で内博貴が不祥事を起こし降板、第4話から役者が変わった)。これに似た青春映画として「幕が上がる」とか「青春デンデケデケデケ」「ヤング・ゼネレーション」も取り上げたかったのだが、どちらかといえば高校生向きかなと思い直した。特に高校演劇を扱う「幕が上がる」なんか、ニッチでディープだからね。

尾道三部作「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は言わずと知れた大林宣彦監督の名作中の名作。まずは黙って観ろ!後悔なんてさせないから。

Senjo

1917 命をかけた伝令」と「戦場の小さな天使たち」は、戦争とは何か?について学ぶテキストとして最適。残酷描写もないしね。

さらにBEST30。

グローリー ー明日への行進ー」を観て、マーティン・ルーサー・キング牧師のことを知ろう。その際、是非キング牧師の歴史的なスピーチ"I Have A Dream"も勉強しよう。動画はこちら!併せてアカデミー作品賞・監督賞を受賞した「ガンジー」も観ておきたい。

「インファナル・アフェア」は香港映画の金字塔。フィルム・ノワールの大傑作で後にハリウッドでリメイクされた。→マーティン・スコセッシ監督「ディパーテッド」

「不都合な真実」は地球温暖化について学べるドキュメンタリー映画。アカデミー賞受賞。

北野武監督の「キッズ・リターン」はラストの決め台詞に痺れろ!中学生たちよ、大志を抱け。

あと古典的名作として、

  • 風と共に去りぬ
  • 嵐が丘(1939年版)
  • カサブランカ (男の子)
  • ローマの休日 (女の子)
  • 赤い靴 (女の子)
  • 七人の侍 (男の子)
  • アラバマ物語
  • シベールの日曜日
  • まぼろしの市街戦
  • 屋根の上のバイオリン弾き
  • ハロルドとモード/少年は虹を渡る
  • ゴッドファーザー/ゴッドファーザー PART Ⅱ
  • 砂の器
  • ジョーズ
  • 未知との遭遇
  • ロッキー
  • ポセイドン・アドベンチャー
  • タワーリング・インフェルノ
  • バックドラフト
  • アマデウス
  • ショーシャンクの空に
  • 櫻の園(1990年版) (女の子)
  • ターミネーター/ターミネーター2 (男の子)
  • リング/仄暗い水の底から

を推しておく。

「櫻の園」は1990年版と2008年版があるので要注意。中島ひろ子やつみきみほが出演している方。キネマ旬報ベスト・ワンに輝いた。

エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」は繰り返し映画化されており、松田優作主演で舞台を鎌倉時代の日本に置き換えたバージョンまである。僕の一押しはウィリアム・ワイラー監督版。これをハリウッドで撮っていたローレンス・オリヴィエを追っかけてヴィヴィアン・リーが英国から渡米。その時なかなか決まらなかった「風と共に去りぬ」スカーレット・オハラ役をオーディションで勝ち取るという伝説を生んだ。

フランス映画「まぼろしの市街戦」(1966)は第一次世界大戦末期、フランスの田舎町が舞台。人々が町から逃亡し、取り残された精神病院の患者たちと、町を取り巻く軍隊の人間と、どちらが〈狂気〉でどちらが〈正気〉なのかという問いが本作にはある。

「ジョーズ」は当初小学生向けにお勧めしようかと考えたのだが、これを観て水恐怖症になったという人の話を聞き対象年齢を上げた。本多猪四郎監督「マタンゴ」を幼少期に観てキノコが食べられなくなったという人もいて、正にトラウマ映画だね。

「未知との遭遇」については下記事をお読みください。

「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」はパニック映画(Disaster Movies)の代表作。他に「大空港」がある。

そして長編アニメーション映画部門。

テレビ・アニメ(シリーズ)

「君の名は。」については過去に当ブログで語り尽くした。

「天気の子」は以下の通り。

「風立ちぬ」については下記。

〈大切なことは言葉にならない〉〜「海獣の子供」の名台詞。

Maimai

マイマイ新子と千年の魔法」は「この世界の片隅に」の片渕須直監督作品。高校生になったら「この世界の片隅に」も観よう。

響け!ユーフォニアム」2nd seasonは既視(マンネリ)感が強いので、1st seasonのみで十分だろう。続いてスピンオフ「リズと青い鳥」を観よう。

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【2020年最新版】選定!小学生に観せたい映画・アニメ

選定!小学生に観せたい映画」という記事を書いたのが2013年。あれから7年経過した。些か内容が古びた感があるので、ここでアップデートすることにした。新型コロナウィルスで非常事態宣言が発令され、遊びに出ることもままならない子どもたちを持て余している親御さんも少なくなかろう。何かの参考になれば幸いである。

近日中に「【2020年最新版】選定!中学生に観せたい映画・アニメ」も上げる予定なので、乞うご期待。

新しい作品を優先して選んだが、「これだけは絶対に落とせない!」という古典的名作も残している。なお、過去にレビューを書いている作品は、タイトルをクリックすると該当記事に飛ぶようにしている。気に入るかどうかに性差があると思われる作品には男の子向け/女の子向けを明記した。

まずは基本中の基本、実写部門BEST 10。

  • オズの魔法使い
  • やかまし村の子どもたち/やかまし村の春夏秋冬
  • スター・ウォーズ エピソード4-6 (男の子)
  • E.T.
  • リトル・プリンセス (女の子)
  • ハリー・ポッター(シリーズ)
  • サウンド・オブ・ミュージック (3・4年生以上)
  • パディントン/パディントン2
  • 美女と野獣
  • シンデレラ (女の子)

ハーマイオニーこと、エマ・ワトソンが主演したディズニー映画「美女と野獣」(2017)と、絶世の美女リリー・ジェームズが主演した「シンデレラ」(2015)は勿論アニメ版もあるが、こちらは実写版。また「美女と野獣」アニメ版(1991)はアニメーション映画史上初めてアカデミー作品賞にノミネートされた名作中の名作(これを契機に長編アニメーション部門が新設された)。

Oz

ジュディ・ガーランド主演「オズの魔法使い」はスティーブン・スピルバーグ監督が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために自宅隔離している人々に向けて、お勧めの一本として選んだ作品。詳細はこちら。キーとなる台詞は"There's no place like home."(わが家にまさるところなし)。

「やかまし村」二部作はスウェーデンのラッセ・ハルストレム監督で、原作は児童文学作家アストリッド・リンドグレーン。「長く下のピッピ」が有名。実は高畑勲と宮崎駿は「長くつ下のピッピ」のアニメーション映画化を準備していたが原作者からの許可が降りず、いくつかの設定を流用して製作したのが「パンダコパンダ/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」なのだ。

「リトル・プリンセス」のアルフォンソ・キュアロンは後に「ゼロ・グラビティ」と「ローマ」で2度アカデミー監督賞を受賞。撮影監督のエマニュエル・ルベツキは3年連続でアカデミー撮影賞を受賞した。緑が美しい。「女の子はみんな、プリンセスなのよ」

「ハリー・ポッター」は第一作「賢者の石」から第三作「アズカバンの囚人」まで観れば十分だろう。「アズカバンの囚人」はキュアロンが監督している。

続いて実写BEST 20に入るのは、

さらに白黒映画だが、チャップリンの「モダン・タイムズ」や、心温まるクリスマス物語「素晴らしき哉、人生!」も是非観ておきたい名作である。そして特撮もので忘れてはいけないのが平成ガメラ三部作(「ガメラ 大怪獣空中決戦」「ガメラ2 レギオン襲来」「ガメラ3 邪神覚醒」)。

「禁じられた遊び」は子どもたちに、戦争とは何か?を教える教材として極めて重要。

「赤い風船」と「白い馬」はフランスのアルベール・ラモリスが監督したファンタジー映画の秀作。「素晴らしい風船旅行」という素敵な作品もある。

イギリス映画「小さな恋のメロディ」(1971)は既に欧米ですっかり忘れ去られているが、日本でだけ大ヒットして未だに愛されているという不思議な映画。トレイシー・ハイドとマーク・レスターが大変魅力的。あとビー・ジーズの音楽!

マイライフ・アズ・ア・ドッグ」はラッセ・ハルストレムがスウェーデン時代に撮った名作で、人工衛星に乗せられて地球最初の宇宙旅行生物になったライカ犬の話が出てくる。ハルストレムは相当な犬好きらしく、ハリウッドに進出してからも「HACHI 約束の犬」とか「僕のワンダフル・ライフ」を撮っている。

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」は後にアニメ版が制作されたが、こちらは岩井俊二が監督したオリジナル実写版。僕は奥菜恵に胸を射抜かれた。

「GODZILLA ゴジラ」はギャレス・エドワーズが監督した2014年ハリウッド版。ローランド・エメリッヒが監督した1998年版は救いようのない駄作なので絶対に間違わないで!!本来なら本多猪四郎(監督)・円谷英二(特技監督)の1954年オリジナル版を観て欲しいところだが、古い白黒映画だからねぇ……。

「パシフィッ・リム」も怪獣映画。ギレルモ・デル・トロ監督は後に半魚人を主人公とする「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー作品賞・監督賞受賞という快挙を成し遂げた。

レディ・プレーヤー1」はゲーム感覚で楽しめるが、出来れば事前にスタンリー・キューブリック監督「シャイニング」をご覧になっておかれることをお勧めする。

他にも色々あるので旧版「選定!小学生に観せたい映画」も併せてご覧頂きたい。

では、長編アニメーション部門に移ろう。まずBEST 10。

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」はアイルランドのスタジオ、カートゥーン・サルーンの作品。ケルト神話を題材にしているのがとっても素敵。後で紹介するテレビ・シリーズ「ウーナとババの島」(Netflix)もここが手掛けた。

ティム・バートンのダーク・ファンタジー「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」と併せて、「フランケンウィニー」も是非どうぞ。

怪盗グルー(シリーズ)」の魅力はなんと言ってもサブキャラのミニオンズだろう。

続いてBEST 20は、

さらにBEST30。

「メトロポリス」は手塚治虫原作で、監督が「銀河鉄道999」のりんたろう、脚本が「AKIRA」の大友克洋という強力な布陣。全米で最も影響力のある映画評論家といわれたロジャー・イーバートは満点評価である4つ星を与え、アニメ史上最高の作品の一つであると称えた。

ここまでに入り切らなかった古い名作を下にまとめた。

  • 太陽の王子ホルスの大冒険
  • 空飛ぶゆうれい船
  • パンダコパンダ/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻
  • ふしぎの国のアリス
  • ダンボ
  • くまのプーさん (1977年完全保存版/2011年版)
  • ルパン三世カリオストロの城
  • 機動警察パトレイバー the movie 1・2
  • アラジン
  • ライオンキング
  • アイアン・ジャイアント
  • ウォレスとグルミット 短編三部作

クレイアニメ「ウォレスとグルミット」短編三部作とは「チーズ・ホリデー」「ペンギンに気をつけろ!」「危機一発!」を指す。長編の「野菜畑で大ピンチ!」は詰まらない。

パンダコパンダ/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」は「となりのトトロ」の原点であり、街が水没する設定は「崖の上のポニョ」に流用されている。

最後にテレビ・アニメ(シリーズ)もいくつかご紹介しておこう。

宇宙よりも遠い場所」はニューヨーク・タイムズの「ベストTV 2018 インターナショナル部門」(The Best International Shows)に選出、激賞された。Netflixで配信中。京アニの「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」もNetflixで観れます。

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新型コロナウィルスという災厄の中から生まれるもの

新型コロナウィルスが世界中で蔓延し、遂に日本でも緊急事態宣言が発令されるに至った。

僕が小学生だった頃(昭和)、学校(岡山大学教育学部附属小学校)で「戦争を知らない子供たち」(作詞:北山修/作曲:杉田二郎)を歌わされた。こんな歌詞だ。

戦争が終わって 僕らは生まれた
戦争を知らずに 僕らは育った
おとなになって 歩きはじめる
平和の歌を くちずさみながら

如何にも日教組の教員が好みそうな内容だ。

しかし僕は今思う。2020年に僕らは戦争を体験した。現在世界は戦時下にある。

日々犠牲者が増加し、外出も制限され、多くの人が仕事もままならない。ほぼ戦争状態と変わらない。緊急事態宣言≒戒厳令であり、敵は目に見えないウィルスだ。

演奏会が中止になったオーケストラの楽員が「僕たちは不要不急。要らないって、言われているみたいで悲しい」と発言している様子がテレビで報道された。

ようやく気がついたか。音楽とか演劇がなくても人は生きていける。今回のような生命に関わる非常事態を迎え、扱いが二の次になることは当たり前だ。生演奏の代替品として今はCDやSpotify,Amazon Musicなど定額制音楽配信(サブスクリプション)サービスがあるしね。

芸術は心の豊かさをもたらしてくれる。しかしそれには大前提があって、「生活や心に余裕がある時」に限られる。3・11東日本大震災の際、東北の人々を励ますために芸術家たちが訪れたのも直後ではなかった。落語や漫才で人々が朗らかに笑えるようになるにも時間が掛かる。

上記事で「パニックになった時、人の本性は現れる」と僕は常々思っていると書いた。2020年3月以降、20−30歳代の若者たちの無軌道ぶりが目に余る。1月以降に大学から海外渡航を控えるよう注意喚起されていたにもかかわらず卒業旅行としてヨーロッパに行き、新型コロナウィルスを日本に持ち帰り、症状があったのに卒業式や祝賀会に出席してウィルスをばら撒いた県立広島大学や京都産業大学の4年生たち。小池百合子・東京都知事が緊急会見で外出自粛を要請した翌日の3月26日に約40人が都内のダイニングバーで「お疲れ様会」なる懇親会を開催。会は三次会まで続き、最後はカラオケだったという慶応病院の研修医たち(18人が集団感染した)。同じ3月26日にナイトクラブを訪れて感染した岐阜大学の医師3人(30代2人、20代1人)。おかげで岐阜大学附属病院は4月19日まで約30あるすべての診療科の外来診療を休止することになった。

彼らは心の内にある欲望が外部に溢れ出ることを制御出来ない。遊びたくて仕方がないー本能の命ずるまま生きている。自分さえ良ければ満ち足りるのだ。他者のことは一切考えない。そして「自分は絶対大丈夫」という変な自信、万能感を持っている。これが若さの本質であり、愚かしさ、未熟さなのだ。

僕が思うに新型コロナウィルスとの戦いに勝ち抜いた暁に、世界は大きく変わっているのではないだろうか?今回の事態は間違いなく、1929年の世界大恐慌や、1939年に勃発した第二次世界大戦に匹敵する危機的状況である。第二次世界大戦の前後で、特にドイツと日本は劇的な変化を遂げた。それも良い意味において。ピンチはチャンスだと考えたい。

精神科医・医学博士である高橋和巳はその著書「人は変われる」(ちくま文庫)の中で、心には三つの能力がある、と記している。

第一の能力は、自分から離れることができる(自分を客観視できる)能力。第二の能力は、絶望することができる能力。そして第三は、純粋性を感じることのできる能力。現在の解釈を越えてより深い「新しい解釈」を生み出すことで、人は古い自分を乗り越えていく。

人が絶望的状況に直面した時、対処するためのキーワードは「どうしようもない」と「あきらめました」。この言葉を呟くことで頭の中に配置の転換が起こる。現実をあきらめることで、自分に対する自信を取り戻す。そして新しい行動を取り始めるのだ。

文庫本の解説を書いた女優・中江有里は「あきらめました」を、大きな嵐をやり過ごすための魔法の言葉だ、と述べている。

第三の純粋性を感じる能力とは、思い込みや過去の自分の常識に縛られないで、新しい心の動きを感じることができることを指す。

多くの人々は現在、新型コロナウィルスに対して絶望的な気持ちを抱えている。しかしこの苦境を乗り越えることできっと「新しい解釈」「新しい自分」を見出すだろう。僕らはまだまだやれる。決してへこたれない。

北米では殆どの映画館が閉鎖になっている。そして再開されても以前のように観客は戻ってこないと予想されている。「映画は映画館で観るもの」という固定概念・過去の常識がここで一気に雲散霧消する。日本でもライブハウス同様、多くのミニシアターが閉館に追い込まれるだろう。仕方がない、あきらめた。動画配信時代の到来である。

また、新日本フィルハーモニー交響楽団が新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から演奏会の中止・延期を余儀なくされており、楽団存続の危機に立たされている(緊急支援のお願いページへ)。大阪府にある4つのオーケストラ(大阪フィル、関西フィル、大阪交響楽団、日本センチュリー交響楽団)も似たような状況だろう。どこかが経営難で解散に追い込まれても不思議じゃない。仕方がない、あきらめた。そもそも下手くそなオケが大阪に4つもあるなんて無駄、不経済なのである。1つや2つなくなったって文化の火は消えないし、今こそ発想の転換を図るべき時なのだ。新型コロナウィルスで野田秀樹氏が言うような「演劇の死」は訪れないし、クラシック音楽だって死なない。どっこい生きている。

お荷物になっている在阪オケをどうするかという問題については随分昔から俎上に載せられてきた。2006年に関西経済連合会の秋山喜久会長(当時)が「大阪に4つもあるのはどうか」と語ったことに端を発する。

さらに橋下徹氏が大阪府知事・大阪市長を努めた時代に、大阪センチュリー交響楽団に対して大阪フィルと統合するよう促したが、両楽団が突っぱねて見送られたという経緯がある。そうして大阪センチュリーは日本センチュリー交響楽団に改名した。

しかし悪あがきはもうおしまいだ。 火急の事態が逼迫しており、即座の対応が求められる。あなた達は「不要不急」の存在なのだから、経営の合理化を目指して前向きに統合についての話し合いを進めてもらいたい。今こそ生まれ変われ!

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アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネート!フランス代表「レ・ミゼラブル」(ユーゴー原作に非ず)

評価:

Les-mise

公式サイトはこちら

フランス映画「レ・ミゼラブル」は米アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞した。いずれもポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」(韓国)の後塵を拝したわけだが、常に2番手の位置をキープしていた。「パラサイト」さえなければ受賞出来ただろう。

ややっこしいことに、ヴィクトル・ユーゴー原作ではない。ユーゴーの小説の舞台となった場所で繰り返し起こる現代の悲劇について描いている。だから題名に難がある。どうしてもミュージカル版を含め何度も映画化されたあの「レ・ミゼラブル」だと勘違いしてしまうよね(製作者はそれを狙っているのかも知れないが)。

喉がカラカラになり、皮膚がヒリヒリするような緊迫した映画だ。群集心理の怖さをこれほど巧みに描いた作品を他に知らない。もし僕が警官だったら、やはり恐怖のあまり我を忘れて彼らに発砲してしまったかも知れない。

群衆は火炎瓶を投げ、こん棒を奮って襲ってくるわけだから、まるで1960年代終盤の日本の学生運動(安田講堂事件など)みたいだなと思った。

息苦しさを感じながら、映画館を後にした。

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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

評価:A

Knivesout

アカデミー賞で脚本賞にノミネート、映画公式サイトはこちら

スター・ウォーズ/最後のジェダイ」で物議を醸したライアン・ジョンソン監督が卓越した仕事をした。本格ミステリ映画として出色の出来。

ダニエル・クレイグ演じる私立探偵ブノワ・ブランは名前からして如何にもフランス人風なのだけれど、南部訛りの英語を喋るという得体の知れない存在。これがもう、アガサ・クリスティーが創作したベルギー人探偵エルキュール・ポアロを彷彿とさせて、本格ミステリ・ファンにはたまらない!それに加え、移民問題など時事ネタを盛り込む脚本のさじ加減が絶妙だ。

クリス・エヴァンス(キャプテン・アメリカ)やアナ・デ・アルマス(ブレードランナー 2049)、クリストファー・プラマー(サウンド・オブ・ミュージック、ゲティ家の身代金)ら、脇を固める役者たちが極めて充実している。アンサンブルの妙。必見。

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映画「スキャンダル」

評価:B+

Bombshell

カズ・ヒロ(辻一弘から改名;2019年に米国の市民権を取得)らがアカデミー賞(メイクアップ&ヘアスタイリング部門)を受賞。ほかシャーリーズ・セロンが主演女優賞、マーゴット・ロビーが助演女優賞にノミネートされた。映画公式サイトはこちら

FOXニュースの創立者でCEOだったロジャー・エイルズのセクシャル・ハラスメントに対する女性職員の告発を描く実話である。映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラに端を発する #MeToo運動の機動力となった事件だ。

原題はBombshellー爆弾、人を驚かすような不愉快な事件という意味と、かわい子ちゃんという意味もあり、double meaningとなっている。

見応えはあった。社会勉強として最適。ただ、ポスターの3人が映画の中で有機的に絡み合わないので、その点がちょっと肩透かしかな。実話なので仕方ないのだけれど。

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