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2020年2月 9日 (日)

2020年 アカデミー賞大予想!

恒例の第92回アカデミー賞受賞予想である。相当自信がある(鉄板)部門には◎を付けた。

  • 作品賞:1917 命をかけた伝令
  • 監督賞:サム・メンデス「1917 命をかけた伝令」
  • 主演女優賞:レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」◎
  • 主演男優賞:ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
  • 助演女優賞:ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」◎
  • 助演男優賞:ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」◎
  • 脚本賞(オリジナル):ポン・ジュノほか「パラサイト 半地下の家族」◎
  • 脚色賞(原作あり):タイカ・ワイティティ「ジョジョ・ラビット」
  • 視覚効果賞:1917 命をかけた伝令
  • 美術賞:イ・ハジュン「パラサイト 半地下の家族」
  • 衣装デザイン賞:ジャックリーン・デュラン「ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語」
  • 撮影賞:ロジャー・ディーキンス「1917 命をかけた伝令」◎
  • 長編ドキュメンタリー賞:娘は戦場で生まれた
  • 短編ドキュメンタリー:Learning to Skateboard in a Warzone
  • 編集賞:フォード vs フェラーリ
  • 国際長編映画賞:パラサイト 半地下の家族◎
  • 音響編集賞(Sound Editing):1917 命をかけた伝令
  • 録音賞(Sound Mixing):1917 命をかけた伝令
  • メイクアップ賞:辻一弘ほか「スキャンダル」◎
  • 作曲賞:ヒドゥル・グドナドッティル「ジョーカー」◎
  • 歌曲賞:Stand Up「ハリエット」
  • 長編アニメーション賞:クロース
  • 短編アニメーション賞:Hair Love
  • 短編実写映画賞:向かいの窓

今回の予想で打った大博打は「美術賞」と「歌曲賞」である。

美術賞で大方の予想は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」となっている。しかし僕はどうしてもあの映画の美術が優れていると思えない。「パラサイト」の方が断然モダンで美しい。目を引く。だから自分の直感に賭ける。

歌曲賞は映画「ロケットマン」のためにエルトン・ジョンが作曲した"(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン"が獲ると言われている。これにも納得がいかない。はっきり言う。エルトンの曲はもう古臭い、ダサい。21世紀の音楽じゃない。だから僕は聴いて素敵だなと思う「ハリエット」の"Stand Up"に一票を投じる。それともう一つ。今年、演技賞にノミネートされた20人の役者のうち、非白人は「ハリエット」のシンシア・エリボただ一人である。しかし、シンシアが受賞で出来ないことは既に決まっている。レニー・ゼルウィガーが鉄板だからだ。するとまた今年のアカデミー賞は"Too White (白すぎる)!"と非難されることになるのは間違いない。アカデミー会員としてはその事態をどうしても避けたい。人種差別主義者と烙印を押されることを彼らは心底恐れている。しかし、歌曲賞を「ハリエット」に与えれば、それを作り歌ったシンシアを讃えることが出来て、万事丸く収まるというわけ。昨年「アリー/スター誕生」で主演女優賞にノミネートされながらも受賞を逃したレディー・ガガに、歌曲賞を与えたように。

肌の色(人種)問題同様、#MeToo 運動を経た今年は女性受賞者が増えることになるだろう。「ジョーカー」のヒドゥル・グドナドッティルがそのひとり。アイスランドのチェリスト兼作曲家だ。ドキュメンタリー映画「娘は戦場で生まれた」のワアド・アルカティーブ(共同)監督もそう。そういう意味で、脚色賞に「ストーリ・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語」のグレタ・ガーウィグというサプライズ受賞の可能性も捨て切れないんだな〜。グレタは監督賞候補に漏れてとても気の毒だった。だから当然、世間から「今年も候補者は男ばっかり!」と徹底的に叩かれた。

オリジナル脚本賞は「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノと「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のクエンティン・タランティーノとの頂上決戦。でもタラちゃんは過去に「パルプ・フィクション」と「ジャンゴ 繋がれざる者」で二度同賞を受賞しているから、もういいんじゃない?

音響編集・録音賞は「1917 命をかけた伝令」と「フォード vs フェラーリ」の一騎打ち。どちらに転ぶかは蓋を開けてみないと判らない。視覚効果賞は「1917 命をかけた伝令」 でなければ「アイリッシュマン」だ。

長編アニメーションは「トイ・ストーリー4」という予想が主流なのだけれど、過去この部門で続編が受賞したことは一度も無いんだよ。唯一の例外が「トイ・ストーリー3」なのだけれど、「トイ・ストーリー」「トイ・ストーリー2」が公開された時は、長編アニメーションという部門自体が無かったという特殊事情があるんだ。なので嘗てのミラマックス(ハーヴェイ・ワインスタイン)の4倍というオスカーキャンペーン資金を投入していると噂されるNetflixの「クロース」受賞と読む。正直、大した作品じゃないけどね。金の力だ。そういう意味で長編ドキュメンタリー映画部門でNetflixの 「アメリカン・ファクトリー」受賞という可能性も捨てきれない。

演技賞で番狂わせがあるとした唯一主演男優賞で、「マリッジ・ストーリー」のアダム・ドライバー。ホアキン・フェニックスが好きじゃないので、僕の希望的観測でもある。

あとね、一番大きな夢は「パラサイト」の作品賞とポン・ジュノの監督賞受賞。そうなったら本当に嬉しくて泣いちゃうよ。

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コメント

<一番大きな夢は「パラサイト」の作品賞とポン・ジュノの監督賞受賞

夢がかないましたね!!!

投稿: onscreen | 2020年2月11日 (火) 12時01分

onscreenさん

いやもう、びっくりしました。監督賞でポン・ジュノの名前が読まれた瞬間から、「この勢いで『パラサイト』が作品賞まで獲っちゃえ!」と叫びましたよ。自分の予想の的中数なんか度外視です。新たな地平が切り開かれました。韓国語で書かれたダイアログが脚本賞を受賞したのも画期的な事件です。

投稿: 雅哉 | 2020年2月16日 (日) 13時04分

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