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サロネン/フィルハーモニア管×庄司紗矢香 【構造人類学で読み解く「春の祭典」】

1月25日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。

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フィンランドの指揮者エサ=ペッカ・サロネン/フィルハーモニア管弦楽団、独奏:庄司紗矢香で、

  • シベリウス:交響詩「太陽の女神(波の娘)」
  • ショスタコーヴィッチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番
  • パガニーニ:「うつろな心」による序奏と変奏曲〜主題
    (ソリスト・アンコール)
  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

ホールの入りは7割程度。

シベリウス「波の娘」は弦楽器の刻むリズムが明晰。

ショスタコのコンチェルト、第1楽章「ノクターン」は地獄からうめき声が聞こえてくる。ドミートリイ・ショスタコーヴィチの署名D-S(Es)-C-H(レ-ミ♭-ド-シ)音型が登場する第2楽章「スケルツォ」はネズミがちょこまか動き回るよう。第3楽章「パッサカリア」はレクイエム。そして研ぎ澄まされたヴァイオリン・ソロを経て一気呵成に狂騒的な第4楽章「ブルレスク」になだれ込む。

なお、D-S(Es)-C-H(レ-ミ♭-ド-シ)音型は交響曲第10番や弦楽四重奏曲第8番にも登場する。

バレエ「春の祭典」には生贄(選ばれた乙女)が登場するが、これは古代日本で水害など天災を鎮めるために捧げられた人柱と同じようなものだと解釈出来るだろう。新海誠監督「天気の子」に登場する天気の巫女も同様。つまり【地上の人間(文化/不連続)↔大地(祖先のいる場所/自然/連続)】という二項対立を結び、還流し、調停する役割を担っている(「天気の子」の場合は【地上の人間↔雲の上の神様】)。

また地下(大地)=祖先という考え方はオーストラリアの先住民族アボリジニの〈ドリームタイム〉と全く同じである。

そういえば武満徹は〈ドリームタイム(夢の時)〉というオーケストラ曲を作曲しているわけで、武満が初めて世界で認められる切っ掛けを作ったのがストラヴィンスキーだったという事実は正にシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)と言える

反キリスト的内容だったために、ハルサイの初演が悲鳴と怒号が渦巻く大スキャンダルのは有名な話だ(映画「シャネル&ストラヴィンスキー」で詳しく描かれた)。ここには【知性↔野生の思考】の相克があった。ニーチェの著書「悲劇の誕生」の概念を借りるなら、【アポロン的↔デュオニュソス的】二項対立ということになる。そういう意味で「春の祭典は」フローラン・シュミットが作曲した吹奏楽曲「ディオニソスの祭り」に直接繋がっている。

サロネンの指揮は大鉈を振るい、バッサバッサと目の前の障害物を上から下へ切り倒してゆく。先鋭でスタイリッシュ、オーケストラを畳み掛け駆る。一方、弱音部分は繊細。外科医が腑分けするよう。そして強烈な会心の一撃で最後を締めくくり、ホールは熱狂的興奮に包まれた。

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