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2019年12月16日 (月)

アカデミー作品賞・監督賞・助演男優賞ノミネートは確実!Netflix映画「アイリッシュマン」

評価:A

Irishman

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ロバート・デ・ニーロとハーヴェイ・カイテルが共演し、マーティン・スコセッシが監督した「ミーン・ストリート」から46年、デ・ニーロとアル・パチーノがコルレオーネ親子を演じた「ゴッドファーザー PART II」から45年、彼らが再結集した「アイリッシュマン」は正真正銘、老人映画と言えるだろう。

上映時間3時間半、かつてスコセッシ映画の特徴だった編集の「キレ」やスピード感は後退し、ズッシリと重厚な人間ドラマが展開される。

基本的には「グッドフェローズ」「カジノ」の系譜を継ぐマフィアものだが、終盤で神父が登場し(少年時代はカトリックの司祭を目指したという)スコセッシのライフワーク、遠藤周作原作「沈黙」のテーマでもある信仰が絡んでくる。デ・ニーロ演じるフランク・シーランのナレーションはまるで、教会における告解(ゆるしの秘跡)のように聴こえる。

仲間を裏切り、人を殺めた人生の最後に残されたのは孤独と後悔、そして虚無感だけだったという結末には寂寞とした苦味が残る。ジョー・ペシ演じるマフィアのボス・ラッセルは刑務所でフランクに「今から教会に行く」と告げて退場する。果たして彼らは神からゆるしを与えられたのだろうか?

そういう目でもう一回見直すと、冒頭の老人ホームの場面で、どんどん前進するカメラに聖母マリア像がしっかりと映し出されており、スコセッシの老練な語り口に唸らされた。

老人映画ではあるが、やっていることは新しく、製作資金調達が難しいことからNetflixという配信サービスで観客に届ける手法に切り替え、さらに特殊メイクではなく、CGで俳優を若返らせる"De-Aging Process"への挑戦など、その溢れんばかりの情熱と開拓者精神には脱帽するのみだ。

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