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2019年12月26日 (木)

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

評価:A-

Rise

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1978年夏「エピソード4/新たなる希望」を劇場で観て、初めて映画の醍醐味を味わった時、僕は小学校6年生だった。その映画館「テアトル岡山」は既になく、今は駐車場になっている。

あれから41年、遂に9部作のサーガが完結した。感無量だ。エピソード7から9までの製作を、ルーカス・フィルムを買収したディズニーが発表した時は「最後までジョン・ウィリアムズが元気でいてくれるかな?」ということがとても心配だったのだが、全てのオーケストラ・スコアを無事に完成させてくれて、ホッとしている。現在87歳の巨匠の筆は衰えることがなかった。華麗に鳴り響く彼の音楽にどっぷり浸かっているだけで、至福の時を過ごすことが出来た。

「フォースの覚醒」はJ・J・エイブラムス監督が、「君たちはこういう場面を見たかったんだろう?」と旧三部作のいいとこ取り、ベスト盤のような仕上がりだったが、続く「最後のジェダイ」でライアン・ジョンソン監督が「スカイウォーカー家とか血筋なんて関係ねーよ、名も無き若者たちでもフォースの力を得られるんだ!」と従来のお約束をぶち壊し、フォースの民主化を推し進めて革新的な作品になったため、喧々囂々(けんけんごうごう)たる議論が渦巻いた。また当初「スカイウォーカーの夜明け」を監督する予定だった「ジュラシック・ワールド」のコリン・トレヴォロウが降板するなどゴタゴタが続き、事態を収拾すべくJ・Jが再登板となったわけだが、なんだか懐かしい顔ぶれと既視感のあるシーンが次々と登場し、往年のファンには大満足の仕上がりになっていると思った。

例えば「帝国の逆襲」でルークが惑星ダゴバへ行き、修行を積む場面でヨーダがフォースの力で沼に沈んだXウィングを引き上げるが、そのシーンへのオマージュが「スカイウォーカーの夜明け」にもあり、そこでご丁寧にヨーダのテーマが高鳴り、音楽もそのまま再現されている。

「最後のジェダイ」で大不評だったアジア系のローズが、今回ほとんど目立たない存在になったのも、マーケティングを踏まえた賢い選択/チューニングだ。「エピソード1/ファントム・メナス」で徹底的に叩かれたジャー・ジャー・ビンクスが、エピソード2&3で表舞台から引っ込んでしまったことを彷彿とさせた。

しかし同時に、「これでいいのか?」という思いを拭い去ることが出来なかった。エンドアに行くことになれば、当然「あれ」が出てくるだろうと予想されるし、パルパティーンがレイを挑発する場面では「ダークサイドに落ちずに皇帝をやっつけるには『ジェダイの帰還』のクライマックス・シーンを応用すれば良いのではないか」と大方先が読めてしまう。全てがノスタルジックで予定調和。何の驚きも発見もなかった。ファンからの批判を恐れるあまり今回のJ・Jは安全運転に終止し、冒険心が足りなかったような気がする。

ただ一方で、「このシリーズはむしろ変わらないことに価値があるんじゃないか?」と僕の心の内で囁く声があるのも確かだ。というわけで肯定したいような、したくないような、複雑な心持ちになった。

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