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2019年11月29日 (金)

アナと雪の女王 2

評価:A

Frozenii

映画公式サイトはこちら

前作のテーマは、「他者と異なる自分の個性を封じ込めて付和雷同するのは止めて、貴方らしく、ありのままに生きなさい(Let It Go)」だった。それはLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)=性的少数者の生きづらさを解消していこうという社会的機運に直結していた(僕はエルサがLGBTだと確信している)。しかし今回は趣向をガラリと変えてきた。テーマはズバリ「生成変化(transform)しないものに価値はない。勇気を持って未知の世界へ(Into the Unknown)一歩踏み出せ!」である。正にそれを象徴するのがエルサがソロで歌う主題歌というわけ。

本作には風・火・水・大地の精霊が登場する。まるでケルト神話だ、と思った。だから「アナと雪の女王2」が作品の雰囲気的に一番近いのは、アイルランドのアニメーション・スタジオ〈カートゥーン・サルーン〉が制作した「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(トム・ムーア監督)である。日本の八百万神(やおよろずのかみ)信仰やアミニズムにも通ずる世界観であり、たいへん親しみやすい。

「ソング・オブ・ザ・シー」も海の方から聞こえてくる母の歌に子どもたちが導かれるわけで、すごく似ている。

また、オラフが言う「水には記憶がある」という概念がとっても新鮮で、心惹かれた。洞窟でエルサが体験するのは重層的な記憶の集積であり、その豊穣な時間(の結晶)イメージが魅力的。

「我々は記憶において構成されている。我々は幼年期に、青年期に、老年期に、そして壮年期に同時に存在している。」(by フェデリコ・フェリーニ)

時間(結晶)イメージについて詳しくはフランスの哲学者ベルクソンの逆さ円柱モデルを用いて下記事に解説した。ご参照あれ。

ディズニー・スタジオの底力、恐るべし。

Frozensnowman

また前作同様、ロペス夫妻が作詞・作曲した歌の数々も素晴らしい。ただアナの恋人クリストフにもソロ・ナンバーが用意されているのだが、間が持てないというか些かダレるかな。歌はもっと少なくても良かったのでは?

Frozen2

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