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2019年11月15日 (金)

映画「楽園」

評価:B+ 

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Raku

吉田修一の小説の映画化は今まで5作品観た。「パレード」「悪人」「横道世之介」「怒り」「楽園」である。「横道世之介」以外は、イヤーな気分にさせられるものばかりだ。とは言え、嫌いじゃない。なんだかゾワゾワする、ささくれ立った感情を呼び覚まし、なんとも言えない後味が尾を引くのである。

「楽園」の原作は5つの短編からなる「犯罪小説集」である。やっぱり、もやもやする!でもズシンと腹に響くものがある。村社会の閉塞感で息が詰まりそうだ。

犯人が最後まで捕まらない、という未解決事件なので、得体の知れない不気味さがある。それは例えば、ポン・ジュノ監督「殺人の追憶」とか、デヴィッド・フィンチャー監督「ゾディアック」を観た後の気分に非常に近い。あと桐野夏生の小説「柔らかな頬」もそう。長崎俊一監督でBS―iデジタル・ハイビジョン・ドラマとして制作された(大変出来が良かった)。

でも人生って、そういうものじゃないかな?物事に解決はないし、犯罪に巻き込まれた心の痛みって、結局多かれ少なかれ死ぬまで引きずって生きていくしかない。京都アニメーション第1スタジオの痛ましい放火事件にしたって、犯人が捕まっても死者が蘇るわけではない。(仮に)法廷で加害者からの反省の言葉を聴いたとしても、それで遺族の心が癒やされることもあり得ない。

瀬々敬久監督の演出は、特に低空飛行するドローン撮影が不気味で、とっても印象的だった。

役者陣の中では杉咲花がとっても可愛くて、最近僕のお気に入り。「いだてん」の彼女も好き。

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