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2019年8月28日 (水)

超実写版「ライオンキング」の抱える欺瞞

駄目だこりゃ。死ぬほど退屈した。

評価:D

Lion

今回は「超実写版」と銘打たれているが、その説明によると”ディズニーが挑んだ、実写もアニメーションも超えた新たな表現方法”なのだそうだ。身も蓋もない言い方をすれば、実写と見間違えるほどリアルなCGアニメーションということである。同じジョン・ファヴローが監督し、2016年度のアカデミー視覚効果賞を受賞した「ジャングル・ブック」の実績を踏まえての自信なのだろう。

いや、確かに技術はすごい。出てくる動物も、アフリカの風景も本物にしか見えない。CGも遂にここまで来たか!という感慨はある。

しかし映像がリアルになればリアルになるだけ、〈動物が人間の言葉を喋る〉ことの違和感が増幅する。それと〈Circle of life(生命の輪、円環構造)〉と言いながら、実は劇中でライオンが草食動物を捕食する場面を一切見せないという欺瞞が浮き彫りにされる。これは手塚治虫の名作漫画「ジャングル大帝」も同時に抱える欺瞞である。プンバァ(イボイノシシ)とティモン(ミーアキャット)のコンビは、シンバに食べられないようにするために彼に昆虫採食を勧めるわけだが、「草食動物を食べることは残酷で、相手が昆虫ならええんかい!」とツッコミを入れたくなる。矛盾だ。実際のところライオンの体は大きいのだから、昆虫のタンパク質だけだったら生命を維持出来ないだろう。人間だって草食動物をバクバク捕食しているわけだし、ライオンにこのような倫理観を押し付けるのは間違っている。そういう物語上のアラが目立ってしまった。

あと画面構成(レイアウト)も、編集(カット割り)も1994年のアニメ版とそっくりそのままで、「リメイクする意味って何かあるん???」と頭の中を疑問符がぐるぐる回り続けた。

これは〈映画〉じゃない。〈アトラクション〉だ。

それからスカー(シンバの叔父)の声はアニメ版のジェレミー・アイアンズ、ハイエナのシェンジ役はやはり94年版のウーピー・ゴールドバーグの方が断然味があって良かったなぁ。また余談だが、94年版でシンバの声を当てたマシュー・ブロデリックと、ティモン役のネイサン・レインは後に舞台ミュージカル「プロデューサーズ」(台本・音楽:メル・ブルックス)でもコンビを組み、トニー賞を総なめにした。僕は2001年8月末(9・11同時多発テロ直前)にブロードウェイでこの二人が出演する「プロデューサーズ」を観た。本当に素晴らしかった。

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