「ダンスウィズミー」は和製ミュージカル映画の救世主たり得たか?
評価:B
「レ・ミゼラブル」「グレイテスト・ショーマン」「ラ・ラ・ランド」が大ヒットするなど、日本人はミュージカル映画が大好きだ。広義に音楽映画として捉えると、昨年公開された「ボヘミアン・ラプソディ」に対する熱狂的歓迎ぶりも記憶に新しい。我が国での興行収入は130億円を超え、米国に次ぐ世界第2位の記録となった(クイーンのお膝元イギリスは第4位)。しかし悲しいかな和製ミュージカルの傑作・ヒット作がなかなか生まれない。だから予告編を見て矢口史靖監督には期待していた。「スウィングガールズ」という優れた音楽映画の実績もあるわけだし。
しかし「いきなり歌って踊り出すミュージカルはあり得ないから嫌い」とタモリみたいなことを言う主人公が人前で歌い出すきっかけが、催眠術という設定はそれこそ「あり得ない」不自然の極みであり、この開き直りは全く受け入れられなかった。問いに対する回答になっていない、これは「逃げ」だ。
それと歌われる楽曲が既成の昭和歌謡曲ばかりで古臭い。「のど自慢」大会じゃないんだから。本格的ミュージカル映画を目指すのならばオリジナル楽曲で勝負して欲しかった。そういう意味で、周防正行監督「舞妓はレディ」の方が断然志しが高かったと僕は思う。
ただ倉庫でヒロインがガラの悪い兄ちゃんたちと熱いダンスバトルを繰り広げる展開はダイアン・レイン主演、ウォルター・ヒル監督「ストリート・オブ・ファイヤー」みたいで血が滾(たぎ)ったし、会社でのミュージカル・シーンはロバート・モース主演「努力しないで出世する方法(How to Succeed in Business Without Really Trying ) 」、公園でのデュエット・ダンスは「バンド・ワゴン」のフレッド・アステアとシド・チャリシーによる"Dancing in the Dark"といった具合に往年の名画を懐かしく想い出した。
映画としてはトホホの出来だけれど、ヒロインを演じた三吉彩花が美人で大変魅力的。彼女が歌って踊る場面になるとワクワクしてしまうミュージカル・ファンとしての自分の性(さが)が悲しかった。彼女には是非とも舞台ミュージカルの世界へ来て欲しい。
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