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2019年6月17日 (月)

飢餓感を煽る映画「天気の子」宣伝戦略と、東宝の強気の商売

2018年12月13日、東宝の2019年ラインナップ発表に併せて新海誠監督 最新作「天気の子」の製作発表が行われた。この時初めて映画のタイトルが明らかにされた。

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ポスターではヒロインの顔が見えない状態であり、音楽の担当者は伏せられ、予告編もなかった。

3年前、やはり12月に製作発表された「君の名は。」では最初から予告編が公開され、RADWIMPSが音楽を担当することも明らかにされていた。つまり「天気の子」では勿体ぶって焦らす、〈小出し作戦〉に戦略が変更されたのだ。

年が明けて2019年4月10日にRADWIMPSが音楽を担当することが発表され、同時に予報(予告編)が初めてお披露目された。なんとこの間5ヶ月も新しい情報を封印していたわけだ。ここで漸く、主人公二人の顔(キャラクターデザイン)が明らかにされた。

さらに一ヶ月半後の5月25日、ボーカルとして女優の三浦透子が起用されることが発表され(RADWIMPS×女性ボーカル)、併せて予報②が登場した。

飢餓感を煽るハングリーマーケティング(Hungry Marketing) である。こういうふうに情報を小出しにする度にマス・メディアが大々的に取り上げてくれるという宣伝効果もある。畳み掛けるような、波状攻撃である。

「君の名は。」公開の時点で新海誠監督はまだまだ無名で、大々的に試写会を行い、監督が全国を回ってキャンペーンに努めたが、今回は試写会を一切行わないという作戦に出た。つまり最早、新海誠は宮崎駿に並ぶ国民的作家であり、事前の根回しなど一切必要ないわけだ。期待値は高く、黙っていても客は映画館に足を運んでくれる。「君の名は。」は試写会での前評判が高く、SNSを通して口コミで徐々に広まっていったが、今回は公開初日からSNSでの感染爆発( pandemic ) 、「バズる」ことが期待出来る。ビッグバンだ。

公開初日の7月19日午前0時から東京・TOHOシネマズ新宿と大阪・TOHOシネマズ梅田で世界最速上映が行われることが決まった。しかし午前2時に上映が終わっても終電がないんですけど!?ホテルに泊まるか、車で観に来いというわけか。無茶ぶりである。

公開日まであと約1ヶ月。僕は6月16日(日)にTOHOシネマズの劇場内グッズ売場で、「『天気の子』の前売り券(ムビチケカードなど)を販売する予定はないのですか?」と訊ねた。「現在のところありません」というのが店員からの回答だった。もしかしたら本当に「天気の子」の前売りはしないつもりなのかもしれない。

東宝は相当強気だ。観客全員が割引なしの通常料金を支払うことになれば、一人あたりの単価が高くなる。しかもTOHOシネマズはこの6月に一般料金を100円値上げした(1900円)。今から考えると、これも「天気の子」公開に連動したものだったのかも知れない。恐らく東宝が狙っているのは「千と千尋の神隠し」の興行収入308億円を抜くことなんじゃないだろうか?「君の名は。」の最終興行収入は250.3億円で、今一歩、日本記録に届かなかった(現在歴代 第2位)。「天気の子」に対する期待は大きい。映画公式サイトはこちら

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