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2019年4月12日 (金)

ブラック・クランズマン

評価:A-  映画公式サイトはこちら

Black

アフリカ系アメリカ人であるスパイク・リー監督は常に怒りに満ちている。代表作「ドゥ・ザ・ライト・シング」(1989)だって、デンゼル・ワシントン主演「マルコムX」(1992)だってそう。そしてアカデミー賞で作品賞・監督賞・助演男優賞(アダム・ドライバー)・編集賞・作曲賞など6部門にノミネートされ、脚色賞で受賞した「ブラック・クランズマン」もアメリカの白人(WASP)に対する怒りと憎しみ、呪詛がこれでもか!と詰め込まれ、爆発寸前である。ただ初期の作品と異なるのはそこにユーモアが加味されたこと。自己を客観視する余裕ができ、「俺って面倒なやつだよね」と自嘲するかのような、醒めた眼差しがそこにはあった。

しかし最後、現代のアメリカを映し出すドキュメンタリー映像となり、トランプ大統領まで出すのはやり過ぎ。Too much !マイケル・ムーア監督のドキュメンタリーのような〈プロパガンダ映画〉に成り下がってしまった。映画で政治を語るべきではない。まぁそのバランスを欠いた〈歪さ〉〈不格好さ〉〈なりふり構わないところ〉がスパイク・リーの魅力の一つでもあるんだけどね。それこそが〈作家性〉であり、「グリーンブック」に欠落した部分だ。

 

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