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2019年4月17日 (水)

アカデミー賞(メイクアップ&ヘアスタイリング部門)受賞!映画「バイス」

評価:A-

Vice

映画公式サイトはこちら。タイトル"Vice"は〈副大統領(バイス・プレジデント)〉と、〈悪徳〉という意味のdouble meaningである。

9・11同時多発テロから対イラク戦争の時代にアメリカの副大統領を務めたディック・チェイニーが主人公。勿論、ジョージ・W・ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官も登場、ラムズフェルドを演じたスティーヴ・カレルが、やはり現在日本で公開中の「ビューティフル・ボーイ」のお父さん役とは全く雰囲気が違って腹黒く、実に素晴らしい。しかしやはり本作の白眉はチェイニーを演じたクリスチャン・ベールだろう。メイクアップの効果が絶大で、全く彼だとは識別出来ない。クリストファー・ノーランと組んだ「バットマン」三部作は勿論のこと、スピルバーグが監督した「太陽の帝国」(1987)の頃から知っているんだけれどな。当時彼は13歳。もう30年以上の付き合いだぜ!?

監督は「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ。非常に個性的でユニークな作風だ。強いて挙げるなら伊丹十三のスタイル(「お葬式」「マルサの女」)に近いかも?面白おかしく滑稽な人間模様を描きながら、世の中の仕組みについてわかり易く解説してくれる側面もあるという。基本的に役者によるドラマが進行していくのだが、途中でドキュメンタリー映像や謎の第三者(最後に誰か判明する)によるナレーション・解説が挿入されたり、突如夫婦の会話がシェイクスピア劇(「マクベス」風)として演じられたり。多彩な手法が用いられる、手練(てだれ)の技。天晴なり!

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コメント

<謎の第3者

ここ、めっちゃツボに入りました。


前作同様のカメオ出演陣も良かったです!

投稿: onscreen | 2019年4月29日 (月) 08時10分

死者がナレーターを務めるというのは、ある意味ビリー・ワイルダー「サンセット大通り」のパロディですね。因みにこのミュージカル映画版が間もなくクランクインします。主演のグレン・クローズは遂にオスカーを手にすることが出来るのか!?大いに注目しましょう。

投稿: 雅哉 | 2019年4月29日 (月) 22時07分

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