「妙技爛漫〜バーゼルの喜び!〜」いずみシンフォニエッタ大阪 定期
3月1日(金)いずみホールへ。
飯森範親/いずみシンフォニエッタ大阪の定期演奏会を聴く。
- A.ゴーサン:Eclips(日蝕) 日本初演
- リゲティ:ヴァイオリン協奏曲
(独奏:神尾真由子) - オネゲル:交響曲 第4番〈バーゼルの喜び〉
本編に先立って、恒例のロビー・コンサートあり。

「泉(いずみ)」に因んだ音楽で、アルフォンス・アッセルマン(1845-1912)はハープ奏者兼作曲家。マルセル・トゥルニエ(1879-1951)はその弟子。ドビュッシーらフランス印象派を彷彿とさせる作風。因みにトゥルニエはローマ賞の二等賞を受賞しており、これは5回挑戦して最高位が「第二等次席」(事実上の第三位)だったモーリス・ラヴェルより上なんだよね。芸術家に対する真の評価は〈時の洗礼〉を受けないと下せないものだ。
フランスの作曲家アラン・ゴーサン(1943- )のEclipseはけったいな楽曲だった。そういえば武満徹にも琵琶と尺八のための「エクリプス(蝕)」があった。
リゲティの協奏曲はオカリナやリコーダーも登場し、スコルダトゥーラ(変則調弦)されたヴァイオリンとヴィオラ1丁ずつ、そして平均律で鳴らされるその他管弦楽との微細な音のズレ、微分音やハーモニクスを多用した響きで音の迷宮を創り出す。プレトークで飯森が、「絶対音感を持つ音楽家は演奏中に気が狂いそうになる」と発言していたのが印象的だった。神尾は大変な熱演。ただコパチンスカヤがラトル/ベルリン・フィルと同曲を演奏している時に(@デジタル・コンサートホール)、終盤でヴァイオリンを弾きながら歌う場面があるのだが、神尾はなし。一体全体、楽譜の指示はどうなってんの!?まぁコパチンは裸足でパフォーマンスするような野生児だから、何を仕出かすか見当もつかないところがあるのだが。
リゲティといえばスタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」(1968)である。「アトモスフェール」とか「レクイエム」が使用された。僕の場合、リゲティの面白さが漸く分かってきたのはつい最近のこと。キューブリックが「2001年」を撮ったのが39歳。恐るべき先見の明だ。
オネゲルの交響曲 第2番は第二次世界大戦中に作曲された陰鬱な音楽だ(1942年初演)。また戦争が終結した45年から46年にかけ作曲された交響曲 第3番〈典礼風〉について作曲家は次のように述べている。「私がこの曲に表そうとしたのは、もう何年も私たちを取り囲んでいる蛮行、愚行、苦悩、機械化、官僚主義の潮流を前にした現代人の反応なのです」やはり戦争が暗い影を落としている。ところが一転、第4番は軽やかで無邪気な曲想になっている。僕は本作を聴きながら、「もしオネゲルが戦争のない時代に生きていたとしたら、明るくてモーツァルトのように天衣無縫な音楽をもっともっと沢山書いていたのではないか?」という気がした。ただ仮にそうなったとして、我々聴き手にとって幸せだったのか否かは判らない。
作曲家を襲った不幸・災厄が、その創作活動にとっては必要不可欠だったりすることが間々(まま)ある。生きるとはかような、理不尽で儘ならないものである。
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