アカデミー長編アニメ映画賞&アニー賞受賞「スパイダーマン:スパイダーバース」
アカデミー賞の長編アニメーション映画部門及びアニー賞で作品賞を制覇した「スパイダーマン:スパイダーバース」を小学校1年生の息子と一緒に観た。
評価:A+
僕は基本的にアメコミ映画が好きじゃない。ヒーローなんて胡散臭い存在だとしか思わない。しかし何故か「スパイダーマン」はサム・ライミ監督の三部作、アンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンが共演した「アメイジング・スパイダーマン」二部作(監督はハリウッド実写版「君の名は。」の白羽の矢が立ったマーク・ウェブ!)、リブートされた「スパイダーマン:ホームカミング」を全て観ていて(自分でもその理由が判らない)、本作が何と7本目になる。そして「スパイダーバース」がずば抜けて一番面白かった!
マルチバース(multiverse)の話である。宇宙(universe)が1つ(uni)ではなく、多数(multi)である可能性を考慮し、それら数多くのuniverseの集合体を指す言葉だ。この「宇宙」の外に別の「宇宙」があるかも知れないと現在、多くの物理学者たちは考えている。なお「宇宙」の「宇」は「四方上下」(三次元空間全体)、「宙」は「往古来今」(過去・現在・未来の時間全体)を意味し、「宇」は空間的広がり、「宙」は時間的広がりに対応し、英語におけるspace-timeと同義である。
パラレルワールド(平行世界)と言い換えても良いだろう。時空が歪み、様々な「宇宙」からスパイダーマンたちが一箇所に集結するというアイディアが秀逸である。
そもそも「マーベル・シネマティック・ユニバース」(Marvel Cinematic Universe)という概念もスーパーヒーローが共有する架空の世界(宇宙)を意味しており、我々のいる宇宙や、マーベル・コミックの描く世界とも別物である。
本作が斬新なのは3DCGと2Dの融合である。基本的にはCGアニメーションだが、アクションシーンで突如擬音が吹出しで文字化され、コミックス仕様に一瞬変化するのだ。あと背景が粒立っており、紙面の質感を意識している。その志は高い。2002年に設立されたソニー・ピクチャーズ アニメーションはエポックメイキングな作品を創り出した。
アカデミー長編アニメ映画賞は2012年の「メリンダとおそろしの森」から17年「リメンバー・ミー」まで6年連続でディズニーとピクサーが交代で独占し続けてきた。そこにソニーが風穴を開けたことはデカイ。さぁ、来年は日本から新海誠「天気の子」が殴り込みをかけるゾ!大いに期待したい。
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コメント
確かに、大きな「風穴」ですね!
投稿: onscreen | 2019年3月31日 (日) 09時07分