イルミネーション「グリンチ」とディズニー「シュガー・ラッシュ:オンライン」
「グリンチ」
評価:B 公式サイトはこちら。
「怪盗グルー」シリーズで脇役のミニオンが大人気になったように(スピン・オフも製作された)、イルミネーション・エンターテイメント(ユニバーサル・スタジオの子会社)作品の特徴は、精巧に組み立てられたプロットというよりは、寧ろキャラクター重視という色合いが濃い。特に「SING/シング」。
「グリンチ」も例外ではなく、話の面白さよりもキャラが立っているなぁという印象。
ドクター・スースによる原作絵本は2000年にジム・キャリー主演で実写映画化もされている。
本作を観ながら感じたのは、これってディケンズの「クリスマス・キャロル」をベースにしているんじゃないか、ということ。頑固者の初老の男がクリスマス直前にふとしたきっかけで少年時代に引き戻されて、最終的に改心する物語。構造が全く同じだ。
「シュガー・ラッシュ:オンライン」
評価:A 公式サイトはこちら。
前作はアーケードゲーム(業務用ゲーム機)内のお話だったが、今回はラルフとヴァネロペがインターネットの世界に飛び出した!
脚本が練りに練られている。YouTubeとかeBayをネタにしたギャグが最高に可笑しい。またディズニー・プリンセス総出演が壮観だし、〈王子様依存型ヒロイン〉という過去の自社路線を徹底的にからかい、セルフパロディにしてしまう潔さには感服する。ディズニーもすっかり変わった。
ウォルト・ディズニーが生きていた時代を第一次黄金期とすると、ジェフリー・カッツェンバーグが築いた第二次黄金期(「リトル・マーメイド」から「ライオンキング」まで)を経て、「アナと雪の女王」「ベイマックス」など第三次黄金期をもたらした立役者は間違いなく(低迷期に解雇され後に復帰した)ジョン・ラセターである。本作でもエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねている。
しかし #MeToo 運動の余波で〈ハメられて〉、CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)だったラセターは放逐された。ディズニー&ピクサーの前途には今、もくもくと暗雲が立ち込めている。
失脚したラセターは既にスカイダンス・アニメーションのトップに就任することが決まっており、それと前後して「トイ・ストーリー3」「リメンバー・ミー」のリー・アンクリッチ監督がピクサーを退社すると表明した。アメリカのアニメーション・スタジオの勢力地図は間もなく、すっかり塗り替えられることになるだろう。「面白くなってきやがった!」(宮崎駿「ルパン三世 カリオストロの城」より)
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