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2019年1月23日 (水)

新時代の幕開け!〜米アカデミー賞候補発表

第91回アカデミー賞のノミネートが発表された。授賞式は現地時間で2月24日(日本時間で25日午前10時〜)に開催される。日本からは「万引き家族」が外国語映画部門に、「未来のミライ」が長編アニメーション部門候補に見事に選出された。

ここで、昨年12月5日にupした拙ブログ記事をご確認ください。

遡ること1ヶ月以上前にレディ・ガガの主演女優賞ノミネート、そして「万引き家族」と「未来のミライ」のノミネートをきっちり予想していたわけだが、僕より早かったひと、誰かいます?

それにしても、今回驚かされたのはアメコミ原作のマーベル・スタジオ「ブラックパンサー」(7部門候補)とメキシコ映画「ROMA/ローマ」(最多10部門候補)の大躍進だろう。漫画原作の映画が作品賞にノミネートされるのは史上初である。

そもそもアカデミー作品賞のノミネートは5作品と決まっていた。しかし規定が拡大(今年は8作品)されるきっかけになったのはクリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」(2008)が世間で非常に高い評価を受けたにもかかわらず、作品賞・監督賞にノミネートされなかったことに端を発する。つまりスーパーヒーローもの(DCコミックスのバットマン)に対する過小評価が引き金となっているので、漸く本来の目的(偏見の払拭)を果たせたと言えるだろう。「ブラックパンサー」の出演者がほぼ全員アフリカ系アメリカ人というのも画期的だ。作品賞を受賞した「ムーンライト」の流れを引き継いでいる。

「ROMA/ローマ」で喋られるのはスペイン語とミシュテカ語(メキシコ原住民の言葉)である。非英語圏の映画が大量ノミネートされるのも前代未聞だし、主演女優賞(ヤリッツァ・アパリシオ)と助演女優賞(マリーナ・デ・タビラ)で候補になったのにも仰天した。ヤリッツァ・アパリシオはこの映画に出演するまで全く演技の経験がないズブの素人である。ハリウッドで頑張っているプロの女優たちは形無しだ(落選した「メリー・ポピンズ・リターンズ」のエミリー・ブラントが可哀想)。

まぁそれだけ、「ROMA/ローマ」に風が吹いているということだろう。この勢いに乗れば、外国語映画賞のみならず本丸(作品賞)も一気呵成に攻め落とせるかも!?対抗馬と目されている「グリーンブック」が監督賞候補を逃しているだけに、一層可能性が高まった。なお作品賞&外国語映画賞のダブル受賞はアカデミー史上、前例がない

さらに「ROMA/ローマ」が作品賞・監督賞・外国語映画賞のいずれを受賞するにせよ、Netflix初の快挙であり、映像配信サービスの新時代を告げる歴史的大事件となるだろう。

映画を映画館で観る時代は間もなく終わろうとしている。

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