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風間杜夫 主演「セールスマンの死」@兵庫芸文

12月8日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」を初観劇。

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演出は長塚圭史、出演は風間杜夫、片平なぎさ、山内圭哉、菅原永二、村田雄浩ほか。

「セールスマンの死」は1949年にニューヨークで初演され、ピューリッツァー賞を受賞した。演出はエリア・カザン(映画監督として「波止場」「エデンの東」「草原の輝き」がある)、主演はリー・J・コップ(映画「波止場」「十二人の怒れる男」「エクソシスト」)。

余談だがアーサー・ミラーはマリリン・モンローと結婚したが61年に離婚した。

僕は20世紀を代表する演劇作品として、絶対次の3本だけは観ておかなければいけないとず〜っと考えていた。テネシー・ウィリアムズ「欲望という名の電車」(ピューリッツァー賞受賞)と、サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」(ノーベル文学賞受賞)、そして「セールスマンの死」である。前2者は既に鑑賞済みだったので、漸く満願成就、想いを果たせた。

なおエリア・カザンは「欲望という名の電車」初演の演出も手がけ、彼が監督を務めた映画版はアカデミー主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)・助演男優賞・助演女優賞・美術賞を受賞した。凄腕だ。

しかしラズロ・ベネディク監督、フレデリック・マーチ主演の映画「セールスマンの死」(1951)の評判は芳しくなく、むしろフォルカー・シュレンドルフ監督、ダスティン・ホフマン主演のテレビ映画(1985)の方が高い評価を得ている(何と!主人公の息子をジョン・マルコヴィッチが演じている)。

長塚圭史は大林映画「花筐/HANAGATAMI」で役者として知っていたが、彼が手がける舞台作品はお初。手堅い演出でズシリと心に響いた。次回は是非、マーティン・マクドナーの戯曲を観たい!

風間杜夫はさすがの上手さで、その名演に舌を巻いた。多分現時点でこの役を演れる役者は日本に他にいないのでは?

主人公のウィリー・ローマン(63歳)は今で言う〈認知症〉と推定される。彼が見る幻想(回想)に登場する兄ベンは山師であり、アラスカで金鉱を掘り当て大儲けした。つまりベンは冒険心溢れる人であり、堅実なセールスマンを選択したウィリーの〈なれなかった(大胆な)自分〉を表象している。また隣人チャーリーとその息子バーナードもまた、成功したビジネスマン&敏腕弁護士( Winner)であり、ウィリーとその息子たち(Loser)とは好対照をなす。やはり〈なれなかった(理想の)自分たち〉を表象しているのである。この二項対立の設定が秀逸だなと甚く感心した。チャーリーの具体的職業は劇中で明らかにされない。だから彼は実在の人物なのか、それともウィリーの脳内の住人なのか、はっきりしないところも憎いねぇ。

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