レディー・ガガがアカデミー主演女優賞を受賞する、これだけの理由(「万引き家族」や「未来のミライ」の話もしよう)
日本では12月21日に公開される「アリー/スター誕生」に出演したレディー・ガガの演技に対して絶賛の嵐が巻き起こっている(映画公式サイトはこちら)。アカデミー主演女優賞にノミネートされるのは100%確実、授賞式で彼女の名前が呼ばれる可能性も高い。
女優に関してのみ適応されるのだが、映画の中で自分自身で歌うと、アカデミー賞を受賞し易いという鉄則がある。先鞭をつけたのが「メリー・ポピンズ」(1964)のジュリー・アンドリュース。背景には「マイ・フェア・レディ」映画化に際してのすったもんだがあった。詳しくは下記事に書いた。
その後この鉄則に当てはまる女優たちを列挙しよう。「ファニー・ガール」のバーブラ・ストライサンド、「キャバレー」のライザ・ミネリ、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」のリース・ウィザースプーン、「シカゴ」のキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソン、「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイ、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン等々。ね、沢山いるでしょう?そしてジュリーにしろバーブラにしろ、ジェニファー・ハドソンもそうだけれど、確かに歌唱力は圧倒的だが演技に関しては???……頭の中で沢山の疑問符がくるくる回る。50年以上という長きにわたり、歌ったら有利である事実は揺らがない。
もう一つ挙げるなら、レディー・ガガは今や、昨年ハリウッドを席巻した #Me Too 運動のシンボル的存在になっていることである。彼女は19歳のときに音楽プロデューサーにレイプされたことをラジオで告白し、何年間もセラピーに通ったとその苦悩を語った。そしてガガはアメリカの大学キャンパスで起きた性的暴行の被害者を取り上げたドキュメンタリー映画"The Hunting Ground"のために作詞・作曲した<Til It Happens To You>でアカデミー賞歌曲賞にノミネートされ、授賞式でレイプ被害者たちと共にパフォーマンスを披露した。熱狂的なスタンディングオベーションで迎えられたことは言うまでもない(その時の報道記事はこちら)。
人は物語を求める。お膳立ては整った。あとは幕が上がるのを待つばかり。
なお「スター誕生」は今回、4回目の映画化である。ウィリアム・A・ウェルマンが監督し、1937年に公開された「スタア誕生」ではジャネット・ゲイナーがアカデミー主演女優賞にノミネートされた。ジョージ・キューカーが監督した1954年版ではジュディ・ガーランドがアカデミー主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディ部門で受賞した。1976年版ではバーブラ・ストライサンドが作詞・作曲し歌った〈愛のテーマ〉がアカデミー歌曲賞を受賞し、バーブラはゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)で主演女優賞に輝いた。
話は変わるが、日本代表の是枝裕和監督「万引き家族」がアカデミー外国語映画賞にノミネートされるのは、ほぼ確実な情勢である。2008年「おくりびと」受賞以来の快挙となる。ただし、今回の受賞はメキシコ代表のアルフォンソ・キュアロン監督「ROMA」で間違いない。
それと、運がよかったら細田守監督「未来のミライ」が長編アニメーション部門にノミネートされるかも知れない。日本では評判が悪かったが、あちらでの評価はすこぶる高いみたい。今から愉しみだね。しかし受賞するのは多分ディズニー/ピクサーの「インクレディブル・ファミリー」だろう。
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