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D. ハーディング/パリ管 ✕ I. ファウスト@ザ・シンフォニーホール

12月19日ザ・シンフォニーホールへ。

Paris

ダニエル・ハーディング/パリ管弦楽団を聴く。

  • ベルク:ヴァイオリン協奏曲(独奏 イザベル・ファウスト)
  • クルターグ:サイン、ゲームとメッセージより
    für den, der heimlich lauschet(ソリスト・アンコール)
  • マーラー:交響曲第1番「巨人」
  • エルガー:エニグマ変奏曲より第9変奏「ニムロッド」(アンコール)

客席は6−7割の入り。ハーディングは札幌公演の際に雪で滑り転倒、足を骨折したため、車椅子でステージに登場した。しかし本人はいたって元気、精力的な指揮ぶりで安心した。

僕は新ウィーン楽派から無調音楽に至る音楽史に対して否定的見解を持っている。

しかしベルクのコンチェルトは例外だ。文句なく美しいレクイエムである(献辞に”ある天使の思い出に”とある)。ファウストにはクラウディオ・アバド/モーツァルト管と共演した素晴らしいCDがあり、2012年度レコード・アカデミー大賞を受賞した。また〈ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール〉のアーカイブにはアバド/ベルリン・フィルと同曲を演奏した映像が収められており、それらを繰り返し鑑賞して今回のコンサートに臨んだ。

第1楽章には透明感があり、雪の結晶を連想させた。透き通るような哀しみ。第2楽章はfurious(怒り狂った)状態から、祈りへ(後半部にJ.S.バッハのコラール「われ満ち足れり」が静かに流れる)。結局この作品はベルクの遺作になったので、自分自身への鎮魂歌という側面もあるだろう。そういう意味において、モーツァルトのレクイエムに近いと言える。

マーラーは対向配置。最弱音が美しい。音楽は瑞々しく精緻、ハーモニーの解像度が極めて高い。「誰かの演奏にどこか似ている……」聴きながら必死に考えて、クラウディオ・アバド/シカゴ交響楽団の録音(1981)に思い至った。僕は発売時にLPレコードを買ったのだが、冒頭弦楽器のppp(フラジオレット)が聴こえないのでスレテオのボリュームを上げると、ffの大音量に飛び上がるというダイナミックレンジが広い、当時としては超優秀デジタル録音で、演奏もキレッキレだった。アバドは89年にベルリン・フィルと再録音するのだが、こちらの方はぼんやりした凡演だった。閑話休題。

第2楽章のスケルツォは弾け、全体として青春の光と影のコントラストが鮮やかだった。病んでいない真っ直ぐなマーラー。ハーディングのアプローチは的確だ。

ただ惜しむらくは、今回のプログラムにフランスものがなかったこと。折角のパリ管なのだから聴きたかったなぁ。

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