「ミッション・インポッシブル/フォールアウト」とヒッチコック映画
評価:A+
トム・クルーズ56歳。「サザエさん」の磯野波平 (54) より2歳上回っている。驚異的なタフ・ガイだ。よく撮影中に死ななかったなと、本作を観ながら唖然とした。ちなみにビルからビルに飛び移るシーンで足を骨折し、撮影は6週間中断している。
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前作「ローグ・ネイション」のオペラ「トゥーランドット」@ウィーン国立歌劇場における首相暗殺計画は、明らかにアルフレッド・ヒッチコック監督「知りすぎていた男」(1955)へのオマージュであった。また悪の組織に潜入していた女スパイが、主人公のせいで首領から疑いの目を向けられるというプロットは、ヒッチコック「北北西に進路を取れ」(59)からの引用である。
今回は《螺旋階段をトムが登るのを俯瞰で捉える→屋根から屋根に飛び移る》という流れがあり、これはヒッチコック「めまい」(58)のジェームズ・スチュアートを彷彿とさせる。またトムがミサが行われている教会で敵に囲まれる場面は「北北西に進路を取れ」における骨董品のオークション会場シーンの再現だ。そしてクライマックス、断崖絶壁で展開される死闘は「北北西に進路を取れ」におけるラシュモア山といった具合。
またクリストファー・マッカリー監督はパリでのカーチェイス・シーンについて、クロード・ルルーシュ監督の短編「ランデヴー」を参考にしたと語っている。「ランデヴー」は2016年に「男と女」がリヴァイヴァル上映された折に併映され、僕はそれを観て度肝を抜かれた。
映画史上に燦然と輝くカーチェイスといえば、直ぐ思い出すのがスティーヴ・マックィーン主演ピーター・イェーツ監督の「ブリット」(1968)、ジーン・ハックマン主演ウィリアム・フリードキン監督「フレンチ・コネクション」(71)、そして逆走が鮮烈だった、ロバート・デ・ニーロ主演ジョン・フランケンハイマー監督「RONIN」(98)である。
はっきり言う。「フォールアウト」のアクション演出は間違いなくこれら名作群を凌駕している。逆走もちゃんとあるしね。どえらい傑作だ。近年の「ミッション・インポッシブル」シリーズはしっかりチームワークが出来ているし、第1作目、第2作目の頃(トムの独擅場)と比べて明らかに進化している。
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コメント
僕も見てきました。ホント、面白かった!
金かかってますね~~。
ヒッチコックとの関連は気が付きませんでした。
一番うれしかったのは、テレビシリーズのファンを裏切ってないところです。
投稿: 最後のダンス | 2018年8月17日 (金) 22時46分
チームワークで敵を「はめる」。これぞミッション・インポッシブルの真髄ですね。
投稿: 雅哉 | 2018年8月20日 (月) 08時07分