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石丸幹二、花總まり/ミュージカル「シークレット・ガーデン」@兵庫芸文

小学校の頃、推理小説をよく読んでいた。一番お気に入りだったのはイギリスの”ミステリーの女王”アガサ・クリスティ。特にエルキュール・ポアロものは全て読破した。

いま好きなイギリスの三大小説(シェイクスピアなど戯曲を除く)を問われたら、僕は躊躇なくブロンテ姉妹の「嵐ヶ丘」「ジェーン・エア」と、フランシス・ホジソン・バーネットの「秘密の花園」を挙げる。いずれも女性が書いたことと、ヒースが生い茂るムーア(荒野)が舞台になっている点が共通している。なおバーネットはイギリスのマンチェスターに生まれ育ったが、55歳の時にアメリカの市民権を取得しているので厳密に言えば英国人と言えないのかも知れない。しかしそんなことは些事であろう。

それにしてもイギリスはヨーロッパの中でも抜きん出て著名な女性作家が多い。児童文学を見渡しても「ハリー・ポッター」シリーズのJ・K・ローリング、「ハウルの動く城」のダイアナ・ウィン・ジョーンズ、「メアリー・ポピンズ」のパメラ・L・トラヴァース、「床下の小人たち(借りぐらしのアリエッティ)」のメアリー・ノートン、「思い出のマーニー」のジョーン・G・ロビンソンなど枚挙に暇がない。その一方、フランス・ドイツ・イタリアの女性作家って直ぐに名前が出てこないでしょう?日本も清少納言・紫式部の時代から卓越した女性作家をあまた輩出してきたわけだから事情がどこか似ている。どちらも島国だから??閑話休題。

というわけで「秘密の花園」のミュージカル版には大いに期待していた。

7月24日(火)兵庫県立芸術文化センターへ。ミュージカル「シークレット・ガーデン」を観劇。カナダのスタフォード・アリマが演出を手がけた。

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この作品は1991年4月25日にブロードウェイのセント・ジェームズ劇場(現在は「アナと雪の女王」を上演中)で開幕し、709公演を経て、93年1月に閉幕した。1年8ヶ月、そこそこのヒットである。

作曲を担当したルーシー・サイモンは、シンガーソングライターで映画「ワーキング・ガール」の主題歌"Let the River Run"によりアカデミー歌曲賞を受賞したカーリー・サイモンの姉。ルーシーはこの後、ミュージカル「ドクトル・ジバゴ」の音楽を手掛けるが、2015年にブロードウェイに進出するも、4月21日に開幕し、5月10日に閉幕。プレビュー公演が26回で本公演がたった23回という惨憺たる失敗作に終わった。

正直、このミュージカル・ヴァージョンは期待外れだった。特に台本が酷い。幽霊(死者)が登場する場面が多すぎ。こんなの「秘密の花園」じゃない!寧ろヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」に近い。ほぼ怪談だ。

少年コリン(大東リッキー)の死んだ母リリー(花總まり)が現れるのはまだ許容出来る。しかし、少女メアリー(上垣ひなた)の両親とかその使用人(全員インドでコレラに罹患し、死亡)とか要らんだろ?それに〈苦行僧〉って一体何者!?幽霊が出てくる度に「ウザっ!!」とイライラした。音楽も魅力に乏しく、記憶に残る旋律が皆無。僕が今までに観たブロードウェイ・ミュージカルの中でも最低の部類であった。オフ・ブロードウェイ「ファンタスティックス」くらいの小規模なミュージカル化の方が「秘密の花園」という作品には相応しかったのではないだろうか?

しかし出演者は超豪華で、文句のつけようがない。

兄弟を演じた石丸幹二と石井一孝は息がピッタリで、「スカーレット・ピンパーネル」パーシーとショーヴランのコンビを思い出した。

今回最前列で観劇したのだが、花ちゃん(花總まり)は僕が初めて宝塚歌劇を観た1998年の宙組「エリザベート」の頃から、ちっとも変わらない。こういう表現が適切かどうかわからないが今でも「可愛い」。20年経っても年を取らないって驚異的だ。

マーサ(メイド)役の昆ちゃん(昆夏美)も相変わらず歌が絶品。さすがディズニー映画(実写版)「美女と野獣」日本語吹替版に抜擢されただけのことはある。

あと特筆すべきは子役の上垣ひなた、14歳。「ライオンキング」大阪公演でヤングナラを演じていたらしい。演技も歌も◎だった。今後の活躍を期待する。

というわけで作品の質はサイテー、パフォーマンスは極上という、けったいな公演だった。

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