トリオ・ヴァンダラー@兵庫芸文
6月16日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。トリオ・ヴァンダラーを聴く。1987年にパリで結成された常設のピアノ三重奏団で、シューベルトの「さすらい人」から名前を採られている。88年にミュンヘン国際コンクールで優勝。
実は常設のピアノ三重奏団って世界的に見ても珍しい。例えば日本人が結成した弦楽四重奏団ならクァルテット エクセルシオとかロータス・カルテット、解散した東京クヮルテットとかあるけれど、ピアノ・トリオは聞いたことないでしょう?
嘗てはチェコのスーク・トリオとか、アメリカのボザール・トリオ、ロシアのボロディン・トリオ等あったが、皆解散してしまった。だから現役ではトリオ・ヴァンダラーが恐らく実力No.1だろう。
- ハイドン:ピアノ三重奏曲 第41番
- ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第7番「大公」
- シューベルト:ピアノ三重奏曲 第2番
ハイドンは悲劇の予感が漂う。ピアノが華やか。
「大公」は音の波がうねり、グルーヴ(高揚感)があった。ヴァイオリンは抑制が効いており、しかしいざという時はちゃんと前に出て主導権を握る。
僕は中学生の頃から明朗なシューベルトのピアノ・トリオ第1番を愛聴していた。しかし第2番は正直今まで面と向かって聴いたことがなかった。今回の演奏会で初めてこの曲の魅力に開眼した次第である。
本作は1827年11月に作曲されたとされ、D929である。未完成交響楽や交響曲 ハ長調「ザ・グレート」、最後の弦楽四重奏曲 第15番 (D887)より後で、翌28年9月(死の直前)に最後のピアノ・ソナタ第19−21 番(D958-960)が作曲された。つまりすでに梅毒の宣告を受け、死を意識していた時期の作品である。
- シューベルトと梅毒/アンドラーシュ・シフ@いずみホール 2017.03.21
もののあわれとか、生きる哀しみをひたひたと感じさせる音楽だ。第2楽章アンダンテはピアノ伴奏の上にチェロが主題を奏で、まるでバリトンが歌う歌曲集「冬の旅」のよう。ホールが寂寞とした雰囲気に包まれた。
またアンコールのドゥムキーが最高に素晴らしかった!是非次回来日時には全曲を聴きたい。
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