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日本人よ、もっと誇りを持て!

是枝裕和監督「万引き家族」(公式サイトはこちら)がカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した。

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現在までに同賞を勝ち取った日本映画は衣笠貞之助「地獄門」、黒澤明「影武者」、今村昌平「楢山節考」「うなぎ」そして「万引き家族」の5作品である。

大変めでたいことである。しかし「誇りに思う」とか「日本人スゴイ」とか気軽に言えない空気が我が国には蔓延している。未だにマスコミの大勢を占める左翼ジャーナリストたちの(日の丸とか、君が代とか)「愛国心」に対するアレルギー、嫌悪(Hate)がその原因となっている。

自分が生まれた国を自慢したくなるのは自然な気持ちの発露であるし、それを安易に「右翼」とか「国粋主義」「ファシズム」に結びつけようという彼らの思考は余りにも短絡的で愚かだ。お国自慢や家族自慢は「悪」ですか?馬鹿馬鹿しい。日本人はもっと自分たちに自信を持ったほうが良い。謙虚であることと、必要以上に卑下すること・自虐は全く別物である。

例えばある小学生が学校でいじめにあい、汚物扱いされているとしよう。「ああ僕/私って駄目な人間なんだ。消えてしまったほうがいい」と、そう考えてしまったらもうお終い。自殺という最悪の結果が待ち構えている。親が真っ先にすべきこと。まずいじめをやめさせること(しかし大抵の場合は難しい)。それが無理なら逃げ出すこと。転校して環境を変える。いちばん大切なことは駄目じゃないってことを本人に分からせ、自信を持たせることだろう。否定からは何も生まれない。徹底的に肯定し続けること

さて、カンヌで5回パルム・ドールに選ばれたことがどれだけ凄いことなのかを客観的データでお示ししよう。以下、ロシアやアジアなど近隣諸国の過去の成績を列挙する。

ソビエト連邦ーロシアの受賞が「偉大な転換」「鶴は翔んでゆく(戦争と貞操)」の2回、中国がチェン・カイコー「さらば、わが愛/覇王別姫」の1回、台湾・韓国は0。

では次点のグランプリ(審査員特別賞)はどうか?日本は市川崑「鍵」、小林正樹「切腹」「怪談」、勅使河原宏「砂の女」、小栗康平「死の棘」、河瀬直美「殯の森」の6作品。ソビエト連邦ーロシアは「惑星ソラリス」「シベリアーダ」「懺悔」「太陽に灼かれて」の4作品。中国はチャン・イーモウ「活きる」、チアン・ウェン「鬼が来た!」の2作品、韓国はパク・ヌチャク「オールド・ボーイ」(原作は日本の漫画)の1作品、台湾0である。

次に米国アカデミー外国語映画賞を見てみよう。なお1950−55年は「名誉賞」と呼ばれていた。

日本映画は黒澤明「羅生門」、衣笠貞之助「地獄門」、稲垣浩「宮本武蔵」、滝田洋二郎「おくりびと」の4作品。

ソビエト連邦ーロシアは「戦争と平和」「デルス・ウザーラ(但し監督は黒澤明)」「モスクワは涙を信じない」「太陽に灼かれて」の4作品、台湾がアン・リー「グリーン・デスティニー」の1作品、中国と韓国は0(韓国映画はノミネートすら一度もされたことがない)。

あと宮﨑駿「千と千尋の神隠し」がアカデミー長編アニメーション映画賞を受賞していることも忘れてはならないだろう(ベルリン国際映画祭では金熊賞=最高賞)。これもロシアを含むアジア諸国において、唯一の快挙である。

如何です?大したものじゃないですか。日本映画・ジャパニメーションは胸を張って世界に誇れる文化なのです。

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コメント

着実に実績を積んでの受賞、素晴らしいですよね!

一方で昨日の日経朝刊の文化面で監督が述べているように、内向き日本人ヤバいっす...

投稿: onscreen | 2018年6月 2日 (土) 07時26分

onscreenさん、コメントありがとうございます。仰っている記事はこちらですね。

是枝さんの発言で思い出したのですが、黒澤明監督が生前、「影武者」や「乱」「夢」を海外資本で撮っていた頃、日本のマスコミは「黒沢映画は海外の観客向けであって、真の日本映画ではない」と揶揄していたのです。笑止千万。黒澤のような巨匠でも十分な製作費を出してくれる企業が日本にはない。そして彼の遺作「まぁだだよ」に対して日本の若い評論家は「もういいよ」と言い放った。我が国における映画文化の扱いは昔も今も変わらないのですよ。

投稿: 雅哉 | 2018年6月 2日 (土) 16時26分

コメント失礼いたします。

今回、受賞の快挙に水を差すような発言をしているのは、どちらかといえば常日頃「日本すごい」「美しい国を取り戻す」というような、いわゆる愛国を主張しているような人たちの方ではないでしょうか?

つまり、貧困問題や行政批判など日本社会をネガティブに描いてるのがけしからんというわけなのでしょう。

投稿: wild3am | 2018年6月 4日 (月) 17時23分

wild3amさん、誰がどのように「水を差した」のか具体的に実例を挙げていただけませんか?架空の話を続けても無意味ですので。

そもそも「万引き家族」のどこに行政批判があるのでしょう?万引きするのは国の責任ですか?貴方、映画を観たうえでちゃんと書かれているのでしょうね?

投稿: 雅哉 | 2018年6月 4日 (月) 22時07分

誰がどのように「水を差した」のかの実例の代表例を上げます。

高須克弥@katsuyatakasuさんのツイート。

――日本人の「万引き家族」を日本人が賞賛することこそ世界の恥ではないかな?
沈黙するのが国家の品格だよ。 https://twitter.com/esperanto2600/status/1002135133871370240 …〔10:30 - 2018年6月1日 〕――

高須クリニックの高須克弥氏はご自身を民族主義的愛国者と称され、日頃より「愛国」的発言をされておられるのは良く知られています。

高須氏は「万引き家族」のカンヌ受賞にはご不満のようで

――万引き家族は社会問題ではありません。万引き家族は特殊な人たちです。 日本人の美徳の対極にある人たちです。映画のおかげで有名になりました。残念なことです。――

とも述べています。
これが「愛国」主義者がカンヌ受賞に「水を差した」実例のです。

「万引き家族」「反日」で検索すると、似たようなバッシングをしている「愛国」者が少なくないことがわかります。

逆に、いわゆる「左翼」的な立場からこの映画を批難している意見は見当たりませんでした。

次に、是枝監督が映画に行政批判を込めていることは以下のインタヴューからよくわかると思います。

是枝監督は、カンヌ公式上映後に韓国紙・中央日報のインタビューに応じて、『万引き家族』を制作したきっかけについてこう明かしていた(5月17日付)。

 2010年、足立区で111歳とされていた男性が白骨化して発見され、実は30年以上前に死亡していたことが発覚。死亡届を出さずに年金をもらい続けていたとして、家族は後に詐欺で逮捕される。この足立区の事件を皮切りに全国で相次いで類似の事件が発覚し、“消えた高齢者”として社会問題化。年金詐欺として大きなバッシングを浴びた。

 このバッシングは、数年後に盛り上がった生活保護バッシングにも通じるものだが、是枝監督はこの事件をきっかけに、“社会から排斥される存在”として年金と万引きで生計をたてている一家の物語を着想したようだ。前掲インタビューで、是枝監督は、『万引き家族』の主人公一家が現在の日本で決して特殊な存在でないと強調している。

「日本は経済不況で階層間の両極化が進んだ。政府は貧困層を助ける代わりに失敗者として烙印を押し、貧困を個人の責任として処理している。映画の中の家族がその代表的な例だ」


投稿: wild3am | 2018年6月 4日 (月) 23時24分

wild3amさん。

まず話を整理しましょう。当記事で僕が書いていることはカンヌで「万引き家族」がバルム・ドールを受賞したという事実(fact)です。内容については一切触れていません。高須氏のツイートは「万引き家族」の中身(content)の話ですよね。そもそも彼が映画自体を観たかどうかすらも不明です。作品も観ずに内容について議論することは愚の骨頂です。

そして監督のインタビューはあくまで製作のきっかけの話であって、日本の行政批判が果たして映画の「目的」なのでしょうか?アメリカだってWhite Trash (Poor White)がいるわけですから。そもそも作品のテーマ【invisible people(見えない人々)】に普遍性があるからこそ、ケイト・ブランシェットらカンヌの審査員たちに評価されたわけで、我が国だけの問題ではないですよね?というわけでこの議論はこれで終了とします。要は映画という文化を出しにして、イデオロギー論争に持ち込もうとするな、ということです。

投稿: 雅哉 | 2018年6月 5日 (火) 00時16分

僕は今回無冠でしたが一緒にノミネートされた濱口監督に注目してます。結構いい絵をとるなと記憶しております
今後の活躍に期待してます

投稿: 山本山 | 2018年8月14日 (火) 20時11分

濱口竜介監督の作品は一本も観たことがないんですよ。キネ旬ベストテンで第3位になった「ハッピーアワー」って上映時間が5時間17分もあるんですってね!?ベルトルッチの「1900年」超えですか。いやはや参ったな...

投稿: 雅哉 | 2018年8月20日 (月) 08時05分

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