アカデミー助演女優賞受賞「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」
評価:A+
トーニャ・ハーディングの母親を演じたアリソン・ジャニーが助演女優賞を受賞し、他に主演女優賞(マーゴット・ロビー)、編集賞にノミネートされた。公式サイトはこちら。
むっちゃ面白かった!!痺れた。チャーリー・チャップリンの次の言葉を想い出した。
Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.
(人生は間近で見ると悲劇だが、遠くから眺めれば喜劇である)
実話である。トーニャ当人にとっては本当に気の毒な話なのだが、彼女の周りが見事にクズばっかりなので、不謹慎ながら笑ってしまう。特に元謀報員を自称する彼女のボディガード・ショーンは最高だね!《映画史上最低で賞》を彼にあげたい。
フィギュアスケートのシーンの編集が切れ味鋭くお見事。また「信頼できない語り手」という趣向が味わい深い。
僕が本作を観ながらすごく近いなと感じたのが「フォックスキャッチャー」である。
- 映画「フォックスキャッチャー」あるいは、アメリカ人のマッチョ信仰についての考察 2015.03.11
五輪選手が主人公の実話という共通項だけではない。両者ともに見事なアメリカ論になっているのである。「フォックスキャッチャー」はマッチョ信仰、そして「アイ、トーニャ」は貧富の差、White Trash (Poor White)の有り様について。なんて惨めなんだろう。藻掻いても藻掻いてもそこから抜け出せない哀しみ。トーニャのお母さんって映画「8 Mile」(アカデミー歌曲賞受賞)に登場したエミネムのお母さん(キム・ベイシンガー)みたいだった。エミネムはデトロイトのトレーラーハウスで暮らしていたんだ。彼の場合はそこから脱出して成功を掴んだのだからトーニャと好対照だね。人生いろいろ。
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