« 吸血鬼伝説=神話としての宝塚歌劇「ポーの一族」考(原作:萩尾望都) | トップページ | ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 »

2018年4月 4日 (水)

「映画ドラえもん のび太の宝島」と「リメンバー・ミー」

「映画ドラえもん のび太の宝島」評価:B+

6歳の息子と鑑賞。すこぶる愉しかった。最大の功績は脚本を書いた川村元気だろう。「告白」「悪人」「君の名は。」のプロデューサーであり、「世界から猫が消えたなら」「億男」「四月になれば彼女は」などの小説家としてしても知られている。

本作は明らかに宮﨑駿「天空の城ラピュタ」を下敷きにしている。宝島の内部構造はラピュタそのものだし、クライマックスで文明に毒された下部を切り離して上昇するのもそう。そして「魔女の宅急便」のパン屋さんが出てくるし、しずかが海賊に攫われ、それを追うという展開は「未来少年コナン」。ご丁寧なことに有名な海中のキスシーンに似た場面まで用意されている。あとフロック(兄)とセーラ(妹)の父キャプテンシルバーは庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」の碇ゲンドウだね。シルバーの野望「ノアの方舟計画」≒エヴァの「人類補完計画」という対応関係が認められる。研究者であった妻が亡くなり、常軌を逸したという設定も全く同じ。よく考え抜かれている。

「リメンバー・ミー」評価:B-

これも息子を連れて行こうと予めチケットを購入していたのだが、直前に彼がインフルエンザAに罹患し、結局独りで観た。アカデミー歌曲賞、長編アニメーション映画賞を受賞。泣く子も黙る天下のピクサー作品である。クオリティの高さは折り紙付き。しかしおもろない。第1回劇場作品「トイ・ストーリー」からピクサーのテーマはいつも同じ(ただし、異端児ブラッド・バード作品は除く)。「仲間が一番」。つまり常にバディ・ムービーなのだ。今回は「家族が一番」。何も変わらない。ひねりがなさ過ぎる。もう飽いたわ。

「ドラえもん(日本のアニメ)」にあって「リメンバー・ミー(アメリカのCGアニメ)」に決定的に欠けているもの。それは萌えである。

それにしてもここ最近のアカデミー長編アニメ映画賞受賞作品を見て欲しい。

2007年 レミーのおいしいレストラン
2008年 ウォーリー
2009年 カールじいさんの空飛ぶ家
2010年 トイ・ストーリー3
2011年 ランゴ
2012年 メリダと恐ろしの森
2013年 アナと雪の女王
2014年 ベイ・マックス
2015年 インサイド・ヘッド
2016年 ズートピア
2017年 リメンバー・ミー

なんとディズニー・ピクサー映画が11作品中10作品を占め、例外は「ランゴ」のみ!!内訳はディズニー:3、ピクサー:7なのだけれど、ディズニーが史上初めて受賞した「アナ雪」以降はジョン・ラセターがディズニー&ピクサー両スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを兼務しているんだよね。ラセター恐るべし(現在は「不適切な行為」で6ヶ月間休職中)。

| |

« 吸血鬼伝説=神話としての宝塚歌劇「ポーの一族」考(原作:萩尾望都) | トップページ | ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 »

Cinema Paradiso」カテゴリの記事

アニメーション・アニメーション!」カテゴリの記事

子供の情景」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「映画ドラえもん のび太の宝島」と「リメンバー・ミー」:

« 吸血鬼伝説=神話としての宝塚歌劇「ポーの一族」考(原作:萩尾望都) | トップページ | ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 »