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2018年3月13日 (火)

團伊玖磨:オペラ「夕鶴」@兵庫芸文と「蝶々夫人」

3月10日(土)兵庫県立芸術文化センター・中ホールで團伊玖磨作曲「夕鶴」を鑑賞。

Tsuru

このオペラを観るのは2回目だ。

配役は、

  • つう:佐藤美枝子
  • 与ひょう:松本薫平
  • 運ず:柴山昌宣
  • 惣ど:豊島雄一

園田隆一郎/ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、夙川エンジェルコール

今回つくづく感じたのはプッチーニ「蝶々夫人」との類似性である。実はこの両者、物語の構造(structure)が全く同じであることに気がついた。

  1. 團伊玖磨の管弦楽法や旋律の歌わせ方(カンタービレ)は明らかに「蝶々夫人」を意識している。
  2. 両者ともに日本の民謡・わらべ唄が引用されている。
  3. 異文化・異人の結合と乖離をテーマにしている。
    「蝶々夫人」大和撫子↔アメリカ人の男
    「夕鶴」鶴(メス)↔人間の男
  4. 二人の間には子供(またはそれに準ずるもの)が生まれるが、女はその忘れ形見を男に残して死ぬ。
    「蝶々夫人」息子を残して自決する。
    「夕鶴」鶴の千羽織を二枚織り、一枚(=子供)は大事にとっておいてねと言い残し、最後の体力を振り絞って空に羽ばたく(その先にあるのは死である)。
  5. 「夕鶴」与ひょうの「つう・・・つう・・・」という呼びかけで終わる。
    「蝶々夫人」幕切れでピンカートンが"Butterfly! Butterfly! Butterfly!"と3回叫ぶ。

佐藤美枝子は情感豊かで、芝居中に何度も涙を流していた。松本薫平の純朴そうな与ひょうも○。オーケストラは雄弁だった。

岩田達宗の演出は、最後つうが千羽織を抱えて織屋から出てくる場面で、明らかに赤ちゃんを抱っこするような姿勢だったのが印象深く、もののあはれを感じた。

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