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2018年2月 6日 (火)

映画「デトロイト」

評価:A

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公式サイトはこちら

キャスリン・ビグロー監督作品の過去のレビューは下記。

「ハート・ロッカー(アカデミー作品賞・監督賞受賞)」「ゼロ・ダーク・サーティ」そして「デトロイト」に共通するのはヒリヒリするような緊迫感である。そして映画の中で登場人物が、ある一線=狂気を越えてしまう瞬間が描かれる。

短いカットを畳み掛けるように繋ぎ、ドキュメンタリータッチの揺れる手持ちカメラで捉えられる1967年のデトロイト暴動は殆ど内戦状態と言っても過言ではない。僕が本作を観ながら想起したのは1966年にヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した「アルジェの戦い」やコスタ=ガヴラス監督の「Z」「戒厳令」、そしてオリバー・ストーン監督「サルバドル/遙かなる日々」である。つまり硬派で無骨な肌触り。仮にこれをスニークプレビュー(覆面試写会)で観たとして、監督が女性だと言い当てられる人は誰もいないだろう。

あとキャスリンの演出で際立っているのはCIAの特殊部隊がウサーマ・ビン・ラーディンを追う「ゼロ・ダーク・サーティ」もそうだったけれど、拷問/尋問シーンの凄まじさ。いたたまれない。←褒めてます

天晴である。しかし、アカデミー賞で完全に無視されたのは納得がいかないなぁ。

本作に登場する白人警官は犬畜生にも劣るクズどもである。ただし、白人が100%悪く、黒人側が一方的に正義か?と問われれば僕はそうは思わない。差別や貧困に耐えかねて怒りが爆発する気持ちは分かる。でもだからといって無関係な商店を破壊したり、略奪したり、放火して良い筈がない。治安を守る白人警官たちは今にも自分たちが襲われるかもしれないという恐怖に慄き、パニック(極限)状態にあった。つまり彼らの心理をそこまで追い詰めた黒人側にも多少非がある。過失割合は8(白人):2(黒人)相当かな。

ここで残念に思うのは非暴力・不服従で徹底的に戦ったマーティン・ルーサー・キング牧師の不在である。キングはまだ存命だったが、ブラックパンサー党結成や「ブラック・パワー」運動の過激化により、完全に求心力を失っていた(イスラム教徒によるパキスタン分離独立を食い止められなかったマハトマ・ガンジー@インドの置かれた状況に似ている)。彼のやり方に従っていれば、こんな悲劇は起きなかっただろう。そしてデトロイト暴動の翌年、キング牧師は暗殺されることになる(ガンジーもパキスタンが分離独立した翌年に暗殺された)。

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絶望の夜を、生き延びろ。 「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」と言った漢の映画で知られるキャスリン・ビグロー監督が、1967年の夏に起こったデトロイト暴動を描いた超ハードな実録ドラマ。 発砲事件の発生を受けて、現場のモーテルに突入した地元デトロイト市警の警官たちは、通常の捜査手順を無視して、容疑者となった客たちを拷問し、暴力で自白を強要しはじめる。 カオスな戦場と化した街...... [続きを読む]

受信: 2018年2月 6日 (火) 22時00分

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