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2018年1月24日 (水)

!〜関西弦楽四重奏団/ベートーヴェン・ツィクルス第2夜

1月22日(月)ザ・フェニックスホールへ。関西弦楽四重奏団によるベートーヴェン・ツィクルス第2夜を聴く。

Ks

  • 弦楽四重奏曲 第4番
  • 弦楽四重奏曲 第8番「ラズモフスキー第2番」
  • 弦楽四重奏曲 第15番

第1回(レビューはこちら)が長調ばかりだったのに対し、今回は短調の楽曲がずらりと並んだ。

初期の第4番は例えば鋭いナイフのような切れ味のアルバン・ベルク弦楽四重奏団の方向性とは違って、小気味良い演奏。「若気の至り」という言葉を想い出した。

ラズモフスキー第2番はしなやかに歌う。終楽章は「狩り」を連想した。馬のギャロップ。躍動感があった。このカルテットは特にヴィオラとチェロの低音部が卓越しており、土台がしっかりと支えた美しいピラミッド型音響を成している。

弦楽四重奏曲(SQ)第15番は名曲中の名曲。ベートーヴェンの最高傑作は?と問われたら僕は後期ピアノ・ソナタ第30−32番と、SQの第14番か第15番を挙げる。どちらがbetterかは計り知れない。どれも最高!論じても意味がない。

中間の第3楽章は病気のせいで作曲を一時中断し、回復した後に追加されたもので、「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題されている。ゆったりした教会旋法の部分と、より速めの「新しい力を得た」部分とが交差する。真摯な祈りと、漲る力/大いなる自信に溢れている。僕は小学校5−6年生の頃に読んだ武川寛海(著)「ベートーヴェンの虚像をはぐ」(現在絶版)のことを想い出した。

B

この本の中で有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」の話題が取り上げられて、そもそもベートーヴェンは信心深いカトリック教徒なのだから、その教えに背く自殺を本気で考える筈がない。遺書に書かれたことは単なる妄想の産物だと一刀両断されており、目から鱗が落ちた。SQ 15番を聴けば、彼の信仰心が如何に篤かったかが窺い知れる。

終(第5)楽章は運命という波に呑み込まれて、アッと言う間に遥か彼方に押し流されてしまうような印象を抱く。厳しく、決然とした超弩級の名演だった。はっきり言って第1回よりも格段の進化を遂げており、今後の展開が一層愉しみとなった。

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