アンジェリーナ・ジョリー監督「最初に父が殺された」(カンボジア映画)
評価:B
アンジェリーナ・ジョリーが監督したカンボジアとアメリカ合衆国の合作映画。会話はクメール語であり、アカデミー外国語映画賞のカンボジア代表として出品されたが、先日発表された【選考において次の段階に進む9作品】の中には入れなかった(日本代表「湯を沸かすほどの熱い愛」も落選)。Netflix作品であり、現在世界へ配信されている。上映時間136分。公式サイトはこちら。予告編あり。
クメール・ルージュの虐殺を生き延びたカンボジア女性の回想録が原作であり、実話だ。志は立派である。真摯に創られているが、如何せんアンジーは映画監督としての才能が欠如している。稀に俯瞰ショットにハッとする瞬間もあるが、兎に角スローモーションの演出が多すぎる。くどい。素人が陥りやすい落とし穴にまんまと嵌まっている。これなら”ひとりミュージカル映画”「愛のイエントル」のバーブラ・ストライザンド監督の方が遥かにマシ。ついでに言うなら僕は「ハクソー・リッジ」を高く買うが、メル・ギブソンの演出もスローモーションがtoo muchだと想っている。
映画スターで監督としても優れた才能だと今までに感じたのはクリント・イーストウッドと、チャールズ・ロートン(「狩人の夜」)、そしてエリッヒ・フォン・シュトロハイム(「愚かなる妻」「グリード」)くらいかな。アカデミー作品賞・監督賞を受賞したリチャード・アッテンボローの「ガンジー」(1982)にしろ、ケビン・コスナーの「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990)にしろ、僕に言わせればたしかに真面目な映画だけれど冗長で凡庸、面白みに欠ける。だって今や「ガンジー」とか「ダンス・ウィズ・ウルブズ」を不朽の名作だと褒める人なんて誰もいないでしょ?餅は餅屋だ。
ただ、歴史の勉強になるという意味で、「最初に父が殺された」の資料的価値はあると言えるだろう。
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