エマニュエル・パユ×エリック・ルサージュ@兵庫芸文
11月30日(木)兵庫県立芸術文化センターへ。
エマニュエル・パユ(フルート)とエリック・ルサージュ(ピアノ)のデュオを聴く。
- モーツァルト:ソナタ 第17番(原曲はヴァイオリン・ソナタ)
- シューベルト:「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲
- ドビュッシー:ビリティス(カール・レンスキ編)
- フォーレ:シシリエンヌ/コンクール用小品/幻想曲
- プーランク:フルート・ソナタ
ー以下アンコールー - マーラー:「子供の不思議な角笛」より《ラインの伝説》
- マーラー:「亡き子をしのぶ歌」より
《いつも思う。子どもはちょっと出かけただけなのだと。》
11月23-25日に東京と川崎でサイモン・ラトル/ベルリン・フィルの来日公演があった。その後、首席奏者であるパユはそのまま日本に留まり、各地でリサイタルを開催。ル・サージュはレ・ヴァン・フランセの仲間である。
- レ・ヴァン・フランセ(エマニュエル・パユ、ポール・メイエ 他)@いずみホール 2012.04.16
- レ・ヴァン・フランセ 2016 @いずみホール 2016.11.01
パユは兵庫県と縁が深い。1989年に第2回 神戸国際フルートコンクールで優勝している。神戸市が補助金打ち切りを決め、コンクールが岐路に立たされた2015年には神戸市長に手紙を送っている→内容はこちら。その甲斐もあり、結局どうにか存続されることになった。
彼はiPadの電子楽譜を使用。譜めくりはフットペダルで。こういうやつ。
ただし楽章間は指でタップ。
最初のモーツァルトから弱音の美しさが際立つ。これが下手な奏者になると息のフーという音ばかり目立ち、掠れちゃうんだ。基本、頭と音尻はノン・ヴィブラートで、伸ばす中腹に装飾的ヴィブラートを掛ける感じ。
「しぼめる花」の序奏はさすらい人の姿が目に浮かぶよう。孤独で寂しい。変奏曲になると一転して華麗に。
「ビリティス」はドビュッシー特有のゆらぎが素敵。武満徹が愛した水のイマージュ。全6曲で最初にギリシャ神話の半獣神《パン》が登場するのだが、僕が知っているだけでもドビュッシーは《パン》を3回取り上げている。まず「牧神の午後への前奏曲」(牧神=パン)、そして無伴奏フルートのための「シランクス」。旋律はそれぞれ異なるが、何れもフルートが「パンの笛」のイメージを担っているのが特徴。
フォーレは凛として格調高い。
フルートのために書かれた楽曲の史上最高傑作であるプーランクのソナタは冒頭のpure toneから魅了された。
アンコールのマーラーは優雅で洗練され、優しく繊細。文句なし。《フルートの貴公子》は相変わらずパーフェクトであった。
- エマニュエル・パユ×トレヴァー・ピノック/J.S.バッハのフルート・ソナタ 2010.05.26
- ベルリン・バロック・ゾリステン with エマニュエル・パユ 2014.03.07
- エマニュエル・パユ & クリスティアン・リヴェ「アラウンド・ザ・ワールド」 2015.09.21
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