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エタニティ 永遠の花たちへ

評価:A

フランス=ベルギー合作映画。原題はÉternité。公式サイトはこちら

Postereternity

トラン・アン・ユン監督(1962- )はベトナム生まれだが、12歳のときベトナム戦争を回避して家族でフランスの移住した。そういう意味で長崎に生まれ、5歳でイギリスに渡ったカズオ・イシグロに境遇が似ている。

アカデミー外国語映画賞にノミネートされたデビュー作「青いパパイヤの香り」(1993)は1951年のサイゴン(現ベトナムのホーチミン市)を舞台にしているが、全編がフランスで組んだセットで撮られた。そしてこれは庭の映画であった。

「エタニティ」も庭の映画である。物語の大半は室内と庭で展開される。主役のオドレイ・トトゥ(アメリ、ロング・エンゲージメント)は10代から老年期まで演じるが、自宅と教会以外に彼女が外に出ることは一切ない

母→娘→孫へと連なる悠久の時。その中で繰り返される生と死(ニーチェの言う「永劫回帰」)。さらに処女作への回帰。喜びや悲しみを感じる一瞬に永遠(Éternité)はある。

ユン監督の「ノルウェイの森」は余り評判が芳しくなかったが、僕はとっても好きだった。「エタニティ」もそうで、特に欧米での評価は惨憺たるものである(例えばインターネット・ムービー・データベースの評価は10点満点で5.6点。「ノルウェイの森」は6.4点、「青いパパイヤの香り」は7.4点)。多分それは彼らがキリスト教文化であることと無関係ではないだろう(ニーチェはイエス・キリストの教えを否定した)。本作の核(コア)は流転・転生にあり、実にアジア的発想なのだ。

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