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2017年8月30日 (水)

【アフォリズムを創造する】その5「善悪の基準」

この世に絶対的な正義/善とか絶対的な悪など存在しない。真理などないのと同じこと。善悪はあくまで相対的価値観であり、時と共に移ろう。

例えばモーセの十戒に書かれた「汝、殺すなかれ」が絶対的な善かどうか検証してみよう。

体を刺す蚊を叩き殺すのは悪ではないだろう。熊が人間を襲ったら自衛のために射殺するのはやむを得まい。しかし蚊に刺されても殺生せず、為されるがままの坊さんも世の中にはいるだろう。

また生きていくための食肉として家畜を屠殺したり、魚を食べるのは悪ではなかろう。一方、菜食主義者というのもいる。しかしベジタリアンも植物は食べるわけで、植物も生き物だ。ということは彼らは動物の殺生は罪悪だが、植物なら構わないと考える差別主義者ということになる。

ここで「汝、殺すなかれ」の対象は人間に限定されるという解釈が登場する。では何故他の動物を殺すのは許され、人間だけ駄目なのか?その線引の根拠は?と問われたら、貴方は明確に答えられますか?

シーシェパードなど海洋環境保護団体は「鯨やイルカは知性が高い動物だから殺してはいけない」と言う。殺人が絶対的悪であるという根拠もここにあるのだろうか。ならば知的障害者や植物人間なら抹殺することも許される?この理屈を突き詰めて行くと、ナチス・ドイツが実行した犯罪と同じ穴の狢になってしまう→安楽死政策「T4作戦」に関する詳細はこちら

戦争で敵を殺すのは悪か?それは罪に問われない。つまり「汝、殺すなかれ」が正しいかどうかは時と場合による。あくまで相対的なものだ。

第二次世界大戦を見てみよう。日本の軍人たちは「東京裁判」(極東国際軍事裁判)で裁かれ、7名が絞首刑となり、16名が終身刑を言い渡された。連合国側は1人も裁かれなかった。何故か?連合国側が勝ったからである。勝てば官軍だ。

戦争終結後、勝者が敗者を一方的に裁く。ここに「正義」はあるのだろうか?

戦争は軍人と軍人の殺し合いである。武器を持たない非戦闘員を殺してはならない。これが一応のルール、建前だ。現代においてもスカッド(弾道ミサイル)の誤爆が国際的非難を受けるのもこのルールに基づいている。

日本の真珠湾攻撃はアメリカ軍の太平洋艦隊と基地を対象にした攻撃であった。非戦闘員は狙っていない。ではアメリカ側はどうか?広島と長崎に投下された原子力爆弾は多くの一般市民の命を奪った。また東京大空襲は軍事施設以外も含む絨毯爆撃(無差別攻撃)で約11万7千人の死者が出た。大阪などでも大空襲があり、全国で被害者の総数は55万9千人に及んだ。果たしてこれらは大量虐殺(Massacre)・戦争犯罪ではないのだろうか?

「東京裁判」において、インド人のパール判事は国際法に照らして被告全員無罪であることを終始主張した。

戦後70年以上経過し、今は21世紀である。しかし未だに「日本軍はこんな酷いことをした」と言い募り、日本人に謝罪させ罪悪感を植え付けようとする者たちが後を絶たない。中国や韓国はもとより、我が国にも朝日新聞・東京新聞など自虐史観を強要するマスメディアがある。しかし不思議なことに彼らは、連合国の罪には一切触れない。何故なんだろう?戦争に一方(絶対)的な正義の側と悪の側なんてあるのだろうか?彼らはまるで、原罪を主張し「悔改めよ!」と狂ったように叫ぶキリスト教の司祭のようだ。実際に戦場で何があったかは知らない。しかし裁判において、祖父母の罪を孫が問われる判例などあるだろうか?あまりにも愚かしい。過去のことはどうでも良い。もっと建設的な、未来に向けての話をしようではないか。

2003年アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは「大量破壊兵器」を保持しているということを理由に、イラクを「の枢軸」と決めつけ、イラク戦争を起こした。2006年独裁者サッダーム・フセインは処刑された。しかし結局「大量破壊兵器」は見つからなかった。一体、とは誰のことだろう?

人間が社会という集団生活を営むにあたり、守らなければならないルールがある。それが道徳だ。自分は他人から殺されたくない。故に「汝、殺すなかれ」。つまりこれは真理ではなく道徳なのだ。町で困っているお婆さんを見かけたら親切にしてあげる。これは彼/彼女が善人だからではない。自分が年を取ったときには他者から助けてもらいたい。つまり情けは人のためならず。親切は持ち回り、相互扶助だ。「自分にしてもらいたいことを相手にせよ」という黄金律、道徳が根底にあるのである。

Q.E.D.

真理と呼ばれているものを徹底的に疑え。そして「正義」を振りかざす者を絶対に信じるな!

「正義」を振りかざすとは、例えば自分自身が被害者でもないのに、いわゆる「従軍慰安婦問題」につけ込んで(日韓合意調印後も)永遠に日本を攻撃し続ける卑しい者たちのことを指す。

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